日本の平均寿命男女格差は6.8歳、もっとも高いポーランドは8.5歳
下の表は平均寿命の世界ランキングである。だが今回注目するのはその順位ではない。問題にしたいのは数字の4列目に並んでいる男女の平均寿命格差である。
例えば平均寿命が世界でトップの日本を見てみると4列目の数字は92.2となっている。
これは女性の平均寿命に対する男性の平均寿命の率である。つまり女性の平均寿命が100とすれば男性は92.2でしかないということである。
もちろんこれは男女の平均寿命の差が大きければ大きいほど下がってくるのである。
ちなみにこの数字が89.5ともっとも低いと思われるポーランドの男女の平均寿命の差は8.5歳である。
だがこの女高男低の男女格差に1国だけ例外がある。それは34位のカタールである。
この国に限ってはこの数字が100を越えており、僅か0.6歳だけ男性のほうが寿命が長いのである。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
平均寿命(2010年)
no 国名 平均寿命(歳) 男 女 男/女
1 日本 82.9 79.6 86.4 92.2
2 香港 82.9 80.0 85.9 93.1
3 スイス 82.2 80.1 84.5 94.8
4 イタリア 81.7 79.2 84.4 93.8
5 オーストラリア 81.7 79.5 84.0 94.6
6 シンガポール 81.6 79.3 84.1 94.3
7 スペイン 81.6 78.7 84.7 92.9
8 イスラエル 81.5 79.7 83.4 95.6
9 アイスランド 81.5 79.5 83.5 95.2
10 スウェーデン 81.5 79.5 83.5 95.2
11 フランス 81.4 78.1 84.8 92.1
12 ノルウェー 81.0 78.9 83.2 94.8
13 マルタ 80.9 78.9 83.1 94.9
14 カナダ 80.8 78.6 83.2 94.5
15 韓国 80.8 77.4 84.3 91.9
16 オランダ 80.7 78.8 82.7 95.3
17 ニュージーランド 80.7 78.8 82.7 95.3
18 英国 80.4 78.5 82.4 95.3
19 ギリシャ 80.4 77.9 83.0 93.9
20 オーストリア 80.4 77.7 83.2 93.4
21 アイルランド 80.3 78.0 82.7 94.3
22 ルクセンブルク 80.1 77.6 82.7 93.8
23 ドイツ 80.0 77.5 82.6 93.8
24 ベルギー 79.9 77.4 82.6 93.7
25 フィンランド 79.9 76.7 83.2 92.2
26 スロベニア 79.4 76.3 82.7 92.3
27 キプロス 79.4 77.3 81.6 94.7
28 コスタリカ 79.2 76.8 81.7 94.0
29 デンマーク 79.1 77.1 81.2 95.0
30 ポルトガル 79.0 76.1 82.1 92.7
31 キューバ 79.0 77.0 81.0 95.1
32 チリ 78.9 75.9 82.0 92.5
33 米国 78.2 75.9 80.7 94.1
34 カタール 78.1 78.4 77.8 100.9
35 ブルネイ 77.9 75.7 80.3 94.2
36 チェコ 77.4 74.4 80.6 92.3
37 アルバニア 76.9 73.9 80.1 92.2
38 メキシコ 76.7 74.3 79.2 93.9
39 アラブ首長国連邦 76.6 75.7 77.5 97.6
40 バルバドス 76.6 73.4 79.9 91.9
41 モルディブ 76.6 75.4 77.7 97.1
42 クロアチア 76.5 73.5 79.6 92.3
43 ポーランド 76.2 72.1 80.6 89.5
44 ウルグアイ 76.2 72.7 79.9 91.0
45 パナマ 76.0 73.4 78.7 93.4
46 ベリーズ 75.8 74.4 77.3 96.3
47 シリア 75.7 74.2 77.3 96.0
48 グレナダ 75.7 74.1 77.3 95.9
49 アルゼンチン 75.6 72.0 79.5 90.5
50 エクアドル 7 5.5 72.6 78.5 92.5
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
様々な男女格差指数が算出されているが、やはり、重要なのは寿命の男女格差であろう。
男女平等は、教育、所得、財産権、発言権、政治的権利など様々な面で確保されるべきだが、出産の安全、栄養、医療へのアクセス、生命の安全など生きる権利は最も基本的なものであり、その結果を平均寿命(出生時の平均余命)は端的に示していると思われるからである。
世界178カ国の平均寿命ランキングと所得水準との相関を図録1620に掲げたが、ここでは、平均寿命の男女格差を図にした。
これをみると、男性は平均して5%~1割ほど女性より平均寿命が短い。これは生物学的な理由によるものであろう。
ただ、平均寿命の短い貧困国では、男女の平均寿命が近づく傾向が見られる。これは、出産時の母体リスクの高さからと考えられる。
表を見ると、平均寿命の男女格差が特異な国がある。カタールでは男の寿命の方が長い。同様にバーレーン、クウェート、サウジアラビア、バングラデシュ、パキスタンといったイスラム国では、男女の平均寿命に余り違いがなく、女性の寿命が相対的に短い点で目立っている。
人口大国の中国、インドでも女性の寿命は相対的に短い。
他方、ロシアを典型として、エストニア、ベラルーシ、リトアニア、カザフスタンといった旧ソ連諸国では、男性の寿命が女性の1.5割前後短く、男性が早死にである点が目立っている。
こうした国は自殺率も高い国であり、また男性の自殺率が際立って高い国であり、平均寿命の男女格差と相互に関連している可能性が高いと思われる。
社会実情データ図録より
0 件のコメント:
コメントを投稿