おそらく多くの人が思っていることだろうが、日本で一番かしこい(頭の良い)人が多いのは東京ではないだろうか。
それもそうだろう。なにしろ東京大学、慶応大学、早稲田大学などの偏差値の高い優秀な大学がたくさんあるし、それに日本の国を代表するような偉い人たちが集まる国会をはじめ多くの官庁がある。
だから東京には賢い人があふれていて、街を往く人たちはおそらく賢い人だらけではないのだろうか。
そんな気持ちを抱いて山手線の電車に乗ってみた。ときは年の瀬真っ只中の12月中ごろ。
山手線 前の席6人全員がスマホに熱中 周りの人などまるで眼中になし
東京人をよく観察してみようと思って、少し時間をかけて山手線に乗ってみることにした。
電車の移動時は人間観察にはもってこいなのだ。特に近郊電車が良い。なぜなら客席がたいていロングシートになっており、前に座る乗客全員の顔が見えるからだ。人間観察には顔かたちやその表情が欠かせないのだ。
山手線は一周約60分、その間いつも前に座った人たちが見えるわけではない。混み合う区間では立ち客に遮られて前は見えない。
でも自分が立ったらそれは避けられる。そう思って席はあったがあえて立ち客になってみた。
新宿駅で多くの乗客が入れ替わり、前のロングシートには新たに6人が客が陣取っていた。
6人とも20~30代の男女で電車が走り出して少しすると、一人がスマホを取り出すと、それにつられるように次々とがそれに習い、気がつくと6人全員がスマホとにらめっこしていた。周りの人などまるで眼中にないという様子であった。
東京山手線の乗客は大阪の環状線と何ら変わらなかった
けっきょく3時間も乗っていた山手線だが大多数の乗客が手にしていたのはスマホで紙の本を読んでいる人は皆無だった。
かしこい人が多いはずの東京だから乗客の様子も例えば大阪の環状線などに比べていくぶん異なっているのではないか、と思っていた。
つまり大阪の環状線の乗客のように誰も彼もがスマホいじりに熱中していてはいないだろうと予想していたのだ。
それだけに実態に接したときは少なからず失望を感じた。
東京人は他の地域の人より賢くあってほしい、というのが願望が崩れたからだ。
池袋という街がなんとなく好きなのだが
東京では池袋がなんとなく好きで泊まるときの宿はいつもここでとることにしている。
なぜ池袋が好きになったかというと理由は極めて単純で、以前読んだ小説で石田衣良原作の「池袋ウェストゲートパーク」がとても面白く、すごく気に入ったので、そのせいで好きになっただけなのだ。
とはいえこの池袋は新宿歌舞伎町のようなヤバそうなところも少なくなく、街頭ではおまわりさんが「客引きに注意」のアナウンスを流していたりして、決して安全な場所ともいえないところもある。
それでも好きなことに変わりはないのだ。
池袋の居酒屋 主人が自が店の前で客引きをしていた
予約してあったホテルにチェックインし、風呂を浴びると再び外へ出た。ここへ来て夜の街に繰り出さない手はないだろう。
道に迷って戻れなくなったら大変と思い、なるべくホテルからあまり離れていないところで飲むことにした。
100メートルほど歩いたところにてきとうおな居酒屋があり、そこへ入ることにした。何故そこにしたかといえば、店の前で客引きをしていた人がとても感じ良かったからだ。
後でわかったことだが、なんとこの人はその店に主人だった。主人自らが客引きをするとは、なんとも見上げたものだ。
池袋は新宿に次ぐ客引きのメッカだけに、飲み屋が客引きをするのは当たり前のことになっており、それ故に自らがお手本を示しているのではないのだろうか。
この主人は「客引きは悪質なものばかりでなく健全なものもある」ということを自らの行動で示していたのだ。
両隣の客はいずれもお一人様の若者 だがスマホいじり以外は興味示さず
この店のことで書かなければいけないのは客引きの主人のことだけではない。もうひとつぜひとも書いておきたいのはカウンター席で両隣に座った二人の客のことである。
こんなことはめったにないのだが(ひょっとして初めてかもしれない)カウンター席のわたしの両隣の客はいずれもシングル客で、二人ともも20代中ごろとおぼしきお一人様で、しかも一方は女性であった。
居酒屋のカウンター席で隣の客が一人なのは別に珍しくはない。でもいずれも20代で、それが男と女一人づつというのはいたって珍しい。
二人ともオーソドックスな服装からして仕事帰りではないのだろうか。だがカウンターでの様子は少し変わっていた。
ふたりとも注文のとき以外はまったく声を発することなく、店の人とも会話を交わすこともないことからして常連客ではない様子。
では飲み食いする以外は何をしていたかというと、店にいる間じゅうずっと手にしていたのは、言わずとしれたスマホなのだ。
二人ともたまに飲み物と食べ物を口に運ぶとき以外は、ずっとスマホとにらめっこをしていたのだ。
私からすれば「夜の居酒屋へ来て、またしてもこの光景か」と、昼間山手線で見たことが再びここで繰り広げられているのが不思議で仕方なかった。
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