2012年5月1日火曜日

この世の中はすべて欲で回転している ・ 書評 「金のなる木」 シドニーシェルダン著 天馬龍行(超訳) アカデミー出版


 すでに周知のことではあるが、この作家の作品はいつもアカデミー出版から出され、訳も単なる翻訳ではなく、いつも超訳という指定がついている。


 ではその超訳とは普通の翻訳とどう違うのだろうか。


 ちなみに翻訳には直訳、意訳、翻案とあるのだが。



超訳とは

意訳をさらに推し進め、訳文の正確さを犠牲にしてでも読みやすさ・分かりやすさを優先させる翻訳手法。

ときには大幅な原文の省略を行うことさえある。なお、訳者の天馬龍行氏はアカデミー出版社長で、「超訳」は同社の登録商標。
                               
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 今回の「金のなる木」だが、これまでの氏の作品、例えば「明日があるなら」などと比べるとタッチが軽く重厚さに欠けていて、読みごたえという点ではやや不満が残る、

  だが、コメディふうに書かれておりその分読みやすく、最後まで一気に読み通せた。

 この作品は氏の遺作と言われているが、惜しい作家を亡くしてしまったものだ。

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他の書評より

(その1)
ギネスブックに載るほど世界中でベストセラーを連発し、『トニー賞』『エドガー賞』『アカデミー賞』と、
もの書きとして最高の賞を総ナメにした天才作家のシドニィ・シェルダン氏だが、彼の十八番は映画の脚本で見せたようなコメディタッチの起承転結。
氏の絶頂期に書かれたこの中編小説『金の成る木』はまさにシェルダン・コメディの面目躍如。
誘拐事件あり、新油田発見あり…と、総額1億ドルをめぐる謎解きバトルの行くえは?


(その2)
死んだ大富豪が遺産のお宝を謎付きで小出しにすることにしたため、
相続者たちがお宝の謎を解いて分捕り合戦する喜劇。

学習用に書かれたということで、読みやすいのですが、
だんだんキャラが暴走し始め、お宝が荒唐無稽化していくのは軽すぎです。

もっと重厚な悲喜劇が作者の良さだと思うのですが。


(その3)
シドニー・シェルダンの遺作と言われている本です。亡くなったケチな大富豪の遺産を目指して、相続権のある4人が11週にわたって争奪戦を繰り広げます。

毎週月曜日にビデオに納められた遺言書をヒントに分散された遺産を探す。

これが11週間にわたって毎週繰り返される。内容はいたって単純ですが、読み応えがありました。
 
シドニー・シャルダンと言えば、学生の頃、ゲームの達人という本を読んで物凄くはまったことを思い出します。

電話帳の様な分厚い本を寝る間を惜しんで読み続けたことを思い出します。

5年前に亡くなっていたんですね。あのストーリー展開は、新しく読む者を引きつけました。いくつもの別々のストーリーが繋がっていく面白さは、今では色んな作家が使うようになりましたね。

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