著者の自伝的小説である。
短編ではあるが、一編一編に若かりし頃の著者の実生活がよく表れている。
特に第1篇の作品「赤」では、暴力バーの殺人現場で目にした真っ赤な鮮血を見事に描き出している。
エンターティンメント系無頼派作家の面目躍如たる作品ではないだろうか。
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「色」が象徴する生のさまざまな深奥!
紫に染められた祖母の髪、真横に疾る白い雪、黄色に咲き乱れる連翹。9つの色が読む者の心を染める。花村萬月が贈る短編小説の極み。
赤、紫、灰、黒、白、青、緑、黄、茶――。9色それぞれがタイトルの短編小説で編まれた連作集は、短編小説という表現形態そのものに挑んだ花村萬月さんの刺激的な試みです。
合法ハーブ(現在は脱法ドラッグ?)と薬物に関する独自の考察「緑」、作者に英才教育を施し、自らも創作者たらんとした父親を描いた「黄」、
深いコンプレックスに敢えて分け入り、自意識の深奥ぎりぎりで母親を描いた「茶」など、虚実と普遍を往来する9つの物語は、かつてない色彩を脳内に顕現させることでしょう!
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花村 萬月
花村 萬月(はなむら まんげつ、1955年生まれ、本名:吉川一郎、日本の男性作家。東京都出身。現在、京都府在住。
経歴
東京都生まれ。父親は明治の生まれで、母親とは30歳ほど離れていた。生まれて間もなく蒸発した父親が小学校入学後に戻り、旧仮名遣いの本で読書を強制される。
東京都生まれ。父親は明治の生まれで、母親とは30歳ほど離れていた。生まれて間もなく蒸発した父親が小学校入学後に戻り、旧仮名遣いの本で読書を強制される。
父親の方針により小学校を休みがちになったが、様々な学問の基礎を父親から教わる。問題行動の多い子どもであったため小学校6年のときに児童相談所に送られ、福祉施設の東京サレジオ学園付属小平育英学院サレジオ中学校へ進む。
卒業後は都立高校に進学したが、3日目に喧嘩が原因で退学。その後17歳で京都に移り、ヒモ生活や肉体労働を続ける。
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短編連作小説「色」
花村 萬月・著
定価:1785円(税込)
ページ数:264ページ
初版発行日:2013年6月
文芸春秋
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