電車を利用する多くの人はすでに気づいていると思うが、
このところ急激に増えているのが大学宣伝のための「中吊り広告」である。
この中吊り広告、効果のある広告媒体として人気が高いが、近年は景気の影響やインターネット広告に押された従来型媒体による広告費総額縮小の影響を受けて、一時に比べやや減少傾向にあるようだ。
そうした中で減少どころか、このところ急激な増加を見せているのが、大学の宣伝広告である。
特に夏休み前の時期などは各校が競ってオープンキャンパスの案内広告を所せましと並べていて、まさに花盛りという観なのだ。
一昔前に、電車の中吊り広告が今のように「大学の宣伝広告花盛り」という状態になることなど、いったい誰が予想できたであろうか。
インターネット情報によると関東のT私立大学などは、年間10億円近い金額を広告費として投入しているというから驚きである。
これほどの金額でなくても1~2億円をかける大学はいまや少しも珍しくないのである。
まるでモノを作って販売する企業のごとく、大学がこうした状態になってきたのは、もちろんその第一には少子化による影響が大きいのだが、そのこと以前に、不必要に大学の数をやたらと増やしたことの方に、むしろ元になる大きな原因があるのではないだろうか。
それを証明するように、偏差値の高いもともとブランド力のある大学の広告は少なく、目立つのは偏差値の低い大学ばかりなのである。
しかし、今でこそなんとか広告費を捻出できているそうしたマイナーな大学も、生徒数減少に直結する収入減少から、いつまでも高い広告費を工面することは困難となり、やがて淘汰の方向へと進むことは明らかである。
そしてそれらの淘汰が終わり、残るべくして残った大学だけの社会に戻ったとき、中吊り広告の「大学の宣伝花盛り」という状態も無くなり、また本来の正常なスポンサーによる広告に戻っていくのではないだろうか。
それこそが望ましいことであり、そう言えるほど今の状態が異常なのではないだろうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿