ずっと以前、桐島洋子さんの本で「料理の上手な人は頭がいい」というようなタイトルの作品を読んだことがある。
頭のいい人ほど、手際よく短い時間で見た目もよく美味しい料理を作ることができる。
ざっと言ってこうした内容であったように思うが、読んだときは大いに納得したものである。
まあ考えてみれば頭のいい人は料理に限らず何をさせても上手のことが多いのだが・・・。
今回のテーマはその「頭のいい人は~上手」シリーズの一つと言ってもいい「ことわり方上手」について述べてみたい。
ビジネス競争が激化する一方の今の時代、どの企業も自社商品の売り込みに必死なのは当然なことである。
そうした中で昨今増えているのが電話での売り込みである。でもこの種の電話で多いのは商品の直接売込みではなく、そのための商談アポの取りつけのための電話である。
休みの日などに、この種の電話の応対に出たことの無い人など今ではおそらく一人もいないであろう.。
そう思えるほど、こうして電話は増えてきている。
こうした電話に接した際、ほとんどの人は相手の要望には応ずることなく、断りの方向へと向いていくのが普通なのだが、問題はその断り方である。
ここでかしこい人とそうでない人は大きく分かれる。
まずかしこくない人であるが、こうした人たちはまず相手のことをまったく考えないで自分本位の断り方をする。
そもそも今日の資本主義社会においては機会こそ違え、売ったり売られたりする関係で成り立っていて、いつ自分や自分の身辺の人が逆の立場に立つかわからない。いかに予期しない迷惑電話と言えども、こうした構図の今の社会ではある程度仕方ないという部分もあるのだ。
そうした今の世の中の成り立ちの構図をまったく理解せず、一方的に相手を無視したり蔑視した断り方をするのである。
具体的に言えば、黙ったまま「ガチャン」と荒っぽく電話を切ったり、あるいはザツな動詞で語気鋭く一言「いりません」とだけ言って相手の言葉をさえぎるように切ったり、
また「そんな電話かけてくるな」と怒鳴ってみたり、
まあ、そうした類の断り方である。
しかし相手も人間である。そうした断りには反感を抱く。
たとえどんな関係であれ、社会の人間関係において相手に反感を抱かすのはいわば悪い種をまくようなもので、後々の為にはいいことではない。
そうしたことを心得ているのが社会の人間関係と今の世の中の構図をよく理解した賢い人たちの断り方で、まずこの人たちは相手が誰であろうが、たとえ自分が迷惑と思っていようが、一応相手のことも尊重して決して無礼な言葉を吐いたりはしない。
ではどんな断り方をするのかというと、一例でしかないが、以下のようなものである。
「わざわざお電話ありがとうございます。あいにく当方はその件については間に合っていますので、申し訳ありませんが、お断りさせていただきたいのですが」と、
なにもここまで丁寧でなくてもいいのだが、だいたいこんな感じである。
こんな断り言葉に接すれば、今時の勧誘員は「相手にしつこく迫らないこと」をよく教育されているので、すぐに快く引き下がるのである。
とにかくかしこい人ほど相手の感情を逆なでしないように上手に断るものなのである。
断る側として、その方が後味がいいということもよく心得ているのである。
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