このところドイツや韓国あるいは米国自動車業界から非難が強まっているわが国の急激な円安であるが
これについて米ハーバード大教授が日本を擁護する記事を米紙フィナンシャルタイムズに載せている。
この教授がいまの円安を容認できるとしている点については、当事者である日本人としてはよく理解できる。
なぜなら、いわゆる失われた20年と言われる1990年代から今日まで、長引く国内経済の停滞や、円安で輸出が不調をきわめたせいで、国民の所得はこの間まったく上がることがなかった。
それどころか20年前に比べて、逆に年間60万円あまりも下がっているのである。こんなことは世界広しと言えども、どこの国でもかつて経験したことのないことである。
そうした過酷な経済的逆境に日本は20年の長きにわたって耐えてきたのである。
その後やっとやってきたのが今回の円安であり、このつかの間の好況をいったい誰が非難できると言うのだろうか。
今回のハーバード大学教授の記事は、そうした日本の真情を捉えた上での、米国人としての理解ある見解なのである。
なお、下の記事は朝鮮日報に載せられたものであり、フィナンシャルタイムズの記事が日本語に訳されたものである。
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「円安非難は偽善」米経済学者が韓国批判
米ハーバード大のニーアル・ファーガソン教授=写真=は、27日付フィナンシャル・タイムズへの寄稿で、日本の差し迫った経済状況を考えれば、国際社会は円安政策をある程度受け入れるべきであり、むしろ過去5年間に実質的な通貨価値が大幅に下落した韓国が日本を非難するのは偽善的だと主張した。
ファーガソン教授は「1971年にニクソン米大統領(当時)がドルの金本位制を放棄し、為替変動を認めて以降、過去40年にわたり『万人の万人に対する戦争』であるかのように通貨戦争が行われている。今年に入り、ある国(日本)だけが通貨戦争を触発したと非難するのは誤りだ」とし、
「過去20年間、名目国内総生産(GDP)が増えていない日本の差し迫った経済状況を考えれば、日本にしばらく休憩時間を与える必要がある」と指摘した。
その上で、ファーガソン教授は韓国について、「実質実効為替レートで見ると、ウォンは2007年8月以降、19%も下落しており、世界でも最も攻撃的な通貨戦争の戦士だった」とし、韓国が日本の円安政策を非難するのは「偽善」だと批判した。
実質実効為替レートとは、貿易相手国の物価上昇率も考慮した為替レートで、相手国よりも物価が上昇すれば、実質的な通貨価値は減少する。このため、通貨が下落したように見える国でも、物価上昇率が高ければ、実質実効為替レートは下落する。
スター経済学者として知られるファーガソン教授の主張は、アベノミクスによる円安政策に関する論争が過熱する中、国際世論が決して韓国に友好的とは限らないことを示している。
方顕哲(パン・ヒョンチョル)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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