2013年4月20日土曜日

米紙ウォールストリートジャーナルが「オピニオン」で警告 ・ 日銀による危険な賭け!



しかし財政赤字が世界最大の1000兆円近くもある国がその赤字を立て直そうともせず、日銀の金融緩和という”錦の御旗”のもとに巨額の紙幣増刷を行い

その資金を自国の国債購入という形で市場にばら撒くことによってどうして構造的不況に陥っているわが国の景気が回復するのだろうか。


単純な素人考えでも、これは何かおかしい!と思うのではないだろうか。


はたしてこの状態を国民は歓迎しているのだろうか。


喜んでいるのは「アベノミクス効果」などと囃し立てている”株や債券などの投資関係者”と円安メリットを享受できる一部の輸出関連企業だけなのではないだろうか。


でも、それも長くは続かず、一時のぬか喜びに終わるのではあるまいか。


以下は米紙ウォールストリートジャーナルがオピニオンでとりあげたこの問題に関する記事である。


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日銀による危険な賭け .記事原文(英語)By KEN COURTIS
 

4月4日、日本銀行は2014年末までにマネタリーベースを倍増させることを目的とした大規模な金融緩和政策を発表した。

日銀に紙幣増刷を始めさせるという公約を掲げて昨年与党に返り咲いた自民党の支持者はこのニュースに喝采を送った。

しかし、インフレ率を急激に上げ、円の価値を下げ、さらに多くの債務を抱えるという日本政府の景気対策は日本だけでなく、他国にまで波及し得るかなりのリスクを伴っている。


日銀、景気回復に向けて大胆な賭け

. 次の数字で考えてみてほしい。日本の消費者物価上昇率が、安倍政権が目標に設定した2%という水準に達すると、10年物国債の金利は現在の0.50%から2.5%以上に上昇する可能性がある。

5倍になった金利の影響で日本政府の平均資金調達コストが増加し始めると、大蛇のような債務返済が国家予算のほぼすべてを飲み込んでしまうだろう。

さらに言えば、金利2.5%の環境下で政府債務残高を対GDP比250%という水準を維持しようとするだけでも、日本の名目GDPの年間成長率は6.25%でなければならない。

インフレ率2%で調整した実質GDP年間成長率ならば4.25%でなければならない。

 実質GDP成長率4.25%は理論上考えられないこともないが、われわれが生きている間に日本で継続的に実現されることはまずないだろう。

 ところが、日銀の今回の政策がもたらす不安は深刻な財政問題だけではない。高インフレ率、高金利は日本の金融機関にとっても悲惨な状況を生み出すだろう。

 1980年代の資産バブルが崩壊して約20年、日銀は量的緩和の世界チャンピオンとなった。日銀は日本の金融機関に潤沢な超過準備を供給、金融機関はそれで国債を購入した。
 今日、日本の金融機関のバランスシートに計上されている保有国債の総額はGDP(約540兆円)の約80%に上る。自民党のインフレ率引き上げ策がさらなる赤字財政と共に実施されると、日本の国債市場は大幅に下落し、日本の金融機関のバランスシートは急激に悪化するだろう。

これは1990年代の二の舞である。その結果、過去数年間の欧州債務危機が軽傷に思えるほど重篤な金融機関の救済や国家債務再編を経験することになるだろう。

日本政府の戦略は世界中の人々に恐ろしい結果をもたらし得る!

 4日の発表では、日銀が数兆円規模の社債購入を続けることも確認された。

自民党――日銀の独立性が強すぎると考えてきた人たちだが――は、その金額を拡大したがっているという。

さらに自民党内には、日銀が今後最大100兆円の海外資産を買うべきだという議論もある。これは米連邦準備理事会(FRB)の今年の購入予定額とほぼ同額となる。

 そうした資産購入の目的の1つには円の価値の引き下げがある。しかし、世界経済に追加で100兆円の流動性を注入することは、実体経済に吸収されない超低金利マネーのプールが大幅に拡大されることにもなる。

そのマネーの多くは最終的に、株式、高利回り債、新興市場の不動産、貴金属といった資産市場にどっと流れ込むだろう。つまり日本は、世界的な資産バブルへの資金供給においてFRB、欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(BOE)の仲間に加わることになるのだ。

 緩やかなデフレから急激にインフレへ移行することで、日本は広大な金融不安のリスクにさらされることになるだろう。

にもかかわらず、日本政府は扉を開いてそのリスクを受け入れようとしている。

日本の経済規模や財政赤字の大きさ、日本の金融システムが世界の市場といかに緊密にかかわっているかを思うと、日本政府の戦略は世界中の人々に恐ろしい結果をもたらし得る。


(筆者のケン・コーティス氏はスターフォート・ホールディングスのマネジングパートナーであり、アジア、欧州、南北アメリカの複数の企業の取締役も務めている。ゴールドマン・サックス・アジアの元副会長)



2013年4月8日 ウォールストリートジャーナル日本語版