2010年10月13日水曜日

「プラス思考」ばかり唱える人は胡散臭くないか?

不況になると何故だか「プラス思考」を唱える人が増えてくるようだが、それはいったいどうしてなのであろうか。

つまり、好況時だと企業などの経営はすべてがうまく運び、それまで通りの普通の考えで積極的に物事を推し進めていけば目的を達成することはそれほど困難なことではなかった。

しかし不況時になれば一般的に物は売れなくなり、企業の経営は当然厳しくなる。

したがってそうした状況下では、好況時のような普通の考え方に沿った行動では利益獲得の目的を達成することは難しくなる。

それゆえに好況時とは違った発想で行動を推し進めなければならなくなる。

その違った発想のひとつが「プラス思考」なのである。

つまり不況という「マイナス要素」をすっかり頭から消してしまう発想法なのである。

当然のことながら不況時には好況時のような当たり前の正攻法の論理では人を成功に導く為の説得ができないので、こうし思考法を用いなければならないのかもしれない。

しかし、問題解決のためにはまず正確な現状認識こそが大切で、これなしにいきなり「プラス思考」だけを押しつけるだけで、不況というマイナス要素を乗り切って成功へと導くことができるであろうか。

いや、それは絶対無理であろう。

例えどんな手段をとろうとも、その時の状況や条件によっては無理なものは無理なのである。

えてしてプラス思考の胡散臭いところは、こうした周りを取り巻く状況や条件などを一切無視して、ことに及ぼうとすることである。

こうしたやり方は信者獲得の為には手段を選ばぬ似非(えせ)宗教家やマルチ商法などの怪しい儲け話主宰者がしばしば用いているのと同じような手法ではないだろうか、

とにかく相手に余分なことを考えさせず、そのカリスマ的な力で、なんだかよく分からない内に一方的に主宰者側の考え方を押しつけてしまう。

こうしたやり方は人を煙に巻く一つの手段とも考えられ、それゆえに胡散臭さがつきまとうのである。

一方この発想の対極にあるマイナス思考は特に推奨すべきものであるとは言えないが、プラス思考に比べ、少なくとも外的条件だけはよく考慮してはいると言える。

したがってその点についてだけは評価してもいいのではないだろうか。

しかし外的条件をまったく無視した「プラス思考」は、考えようによっては一種の現実逃避であるとも言え、この発想法だけをもって物事を成功に導こうというのはいかにも短絡的で、また幼稚で無謀な手段ではないだろうか。

したがってプラス思考については前向きなその姿勢だけを評価して後は捨て去り、その後は合理的な現状分析に従った複眼的思考で計画に望み、その結果得た結論によって行動に移せばよいのではないのだろうか。

とにかく人々の弱みにつけ込んで吹き込んでくる「プラス思考」攻勢には十分ご注意を・・・。

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