未曾有の大災害ともいわれる今回の東北大地震ではその予知予防にまったくと言っていい
ほど貢献できなかったこの分野における学者や研究者の方々のその無念な心中は察して余りある。
おそらくこうした関係者の方々の中には無力感や脱力感で打ちひしがれている人も多いかと思われる。
それに関しては深い同情の念を禁じえない。
だが、今回彼らが苦心して予防のために築き上げた10メートルもの防ちょう堤さえまったく役に立たず、まるでそれをあざ笑うかのように津波は楽々と堤防を乗り越えて当該地域をはじめ東北地方や東日本各地に膨大な数の死者を伴う未曾有の大被害を与えたのである。
こうしたことから考えて、果たして今後も地震の予知や予防は可能なのであろうかと疑問を抱かざるを得ない。
したがって従来と同じような方法や手段で数百億円とも言われる巨額な予算を当ててこのまま予知・予防活動を続けていいのだろうか。
このことに関しては少なからずの疑問を抱くのは私に限ったことではないだろう。
すでによく知られていることだが津波という日本語がTSUNAMIという英語になるほど日本は世界屈指の地震大国であり、どの国よりこの分野での研究は進んでいるはずである。
まして近い将来必ず起こるだろうと予想されている東海地震や南海地震などの予知活動が進んでいる最中に勃発したの今回の巨大地震の予知・予防についての失敗は大きな禍根を残しそれ故に国民の不安を益々増幅させることは間違いない。
また今回事態をさらに悪化させたのが原子力発電所の爆発事故である。
これについては外部に漏れ出た放射性物質の問題を筆頭にまだ収拾の目途がたっていない中ではあるが、例え最悪の事態になる前に終息したとしてもそれで問題を終わらせるのではなく、我々国民としては今後この原発問題はこれまで以上に注視していかなければならない。
つまり原子力発電存続の是非の論議、また電力会社に対してのさらなる情報開示についての要求など従来よりもより強力な手段を講じていかねばならない。
今回の福島原発は世界中の人にも少なからずの不安を抱かせており、原発を抱える国々ではいずれもこれについての再考の動きを見せている。
かつて原爆を体験した我々日本人は何よりも放射能のこわさをよく知っている国民である。
その日本がまたしも放射性物質の漏洩に脅かされているのである。
どうやら私たち一人一人は今回のことであらためて原発について深く考え直さなければならないようである。
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