いま、万能ともいわれるインターネット検索の全盛時代を迎えているが、それが人々の記憶力や考える力にどう影響を及ぼしているかという、
ある意味では衝撃的な論文が先ごろ米国の学術雑誌「サイエンス」に掲載された。
「サイエンス」といえばイギリスの「ネイチャー」と並ぶ世界の学術雑誌の最高峰であり、全世界の科学者にとってはこの二つの雑誌に論文が掲載されることは名誉極まりないことであり、まさに垂涎の的なのである。
以下はサイエンスに載せられた論文についての韓国「朝鮮日報日本語版」の記事である。
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人間の脳は衰退しているのか
【デジタルニュース部=李哲民(イ・チョルミン)部長】
われわれ人間は、インターネット時代を迎え、果たして賢くなったのだろうか、それとも衰退してしまったのだろうか。
数年間にわたるこの論争に、最近新たな研究結果が出た。
米国コロンビア大学のベッチ・スパロー教授は、学術雑誌『サイエンス』に掲載された「記憶に対するグーグル効果」と題する論文で、次のように主張した。
ハーバード大とコロンビア大の学生を対象に実験を行った結果「ダチョウの目は脳よりも大きいか?」などの難しい質問に出合うと、まず思い浮かぶのがヤフーやグーグルのようなインターネット検索エンジンだったというのだ。
また、幾つかの文章をコンピューターに入力させた時も、この文章が「コンピューターに保存されている」と聞かされていた学生は「保存されない」と聞かされていた学生よりも文章を覚えられなかった。
また、別の実験では、文章自体を暗記するよりも、その文章がどのフォルダーに保存されているかの方をよく覚えていた。
スパロー教授は「今や人間はインターネットを"メモリーバンク(外部記憶装置)"のように考えるようになった。
われわれの記憶体系は"何"よりも"どこにあるか"を優先的に覚えてしまう構造へと変わってきた」と結論付けた。
もちろん、人間が記憶の保存を外部に依存するようになったのは、これが初めてではない。
親戚の誕生日や命日を覚えるのは、これまでもっぱら妻の役目だった。
また、どの家にも当たり前のように電話帳があった。
しかし、何度かクリックすれば見たいデータに常にアクセスできるスマートフォン時代に突入したことで、われわれの外部記憶装置への依存度がさらに増したのは紛れもない事実だ。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版(2011/7/31)
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