2013年1月3日木曜日

この統計データがおもしろい(その4) ・ 「格差是正は政府の責任か?」に関する世界の意識調査






次第に広がっている貧富の格差が、いま是正すべき問題として世界中で大きなテーマになっている。


政治家が選挙の公約に、この格差是正を掲げるのは日本だけではなく世界共通のようである。


しかし問題として抱えているのは同じでも、その責任の所在がどこにあるのかに関しては、国によってそれぞれ考え方が違うようである。


つまり格差の是正がどのように、誰によってなされるべきかという点に関する考え方である。


図を見ていただければ分かるように、世界の国々の大多数が、是正の当事者に政府をあげている。


つまり格差を生み出したのは政府の責任だから、是正するのも政府がやるべきだ、という論理である。


このデータで見る限り圧倒的に多いのが政府がその責任を負うべき、とする考え方である。


だが注目すべきは米国であり、実に50%以上が政府に責任はないといっているのである。やはりフロンティアスピリッツをもつ米国民は自助の精神にあふれているのだろうか。


ではわが日本はどうかというと「政府の責任ではない」と言う意見が15%ぐらいあり、責任を政府に転嫁しない立場をと取ってる人の割合は先進国の中では多いほうで、

これを見る限り少しは自助の精神が芽生えつつあるとも言ってもいいのではないだろうか。


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責任を政府に転嫁していないのは米国で、日本にも僅かだがその傾向は見えている


国際共同意識調査であるISSP調査の2009年は格差がテーマとなっている。ここでは、格差是正が政府の責任かどうかについての意識の国際比較をグラフにした。



 格差是正について政府の責任だとする意見が多い国としては、トルコ、ポルトガルやウクライナ、ロシアなど旧ソ連諸国が目立っている。


 逆に政府の責任ではないとする国としては、米国、ニュージーランド、オーストラリアなどアングロサクソン系諸国がめっだっている(フィリピンも米国の影響か政府の責任ではないという意見が多い)。また、ノルウェー、スウェーデンなどの北欧諸国や日本もこれに近い意識となっている。


 東アジア諸国の中では、格差が大きい中国では格差是正を政府に求める意見が81.4%最も多く、韓国は75.1%で、これに次ぎ、逆に、台湾、そして日本は、それぞれ、66.4%、54.4%とむしろ英米系諸国に近い意識となっており、

かなりの差がある。これらの国における「治国平天下」といった儒教の考え方の共通性より、実際に所得格差が大きいかどうか、また市場経済主義の浸透度合いの影響による差が大きいと考えられる。


 なお、調査年次は異なるが中国人が格差に対する政府の責任を大きく考える意識が、数十年にわたる社会主義時代の文化やイデオロギーに由来していると見なしている国連の報告書を図録4680で引用したので参照。



 当図録で取り上げている国は38カ国、具体的には、グラフの順にトルコ、ポルトガル、スロベニア、ウクライナ、ロシア、クロアチア、ラトビア、アルゼンチン、ハンガリー、ブルガリア、中国、スペイン、ポーランド、エストニア、イスラエル、フランス、スロバキア、韓国、フィンランド、オーストリア、チリ、ベルギー、アイスランド、南アフリカ、キプロス、台湾、ドイツ、チェコ、スイス、英国、スウェーデン、日本、デンマーク、ノルウェー、フィリピン、オーストラリア、ニュージーランド、米国である。


社会実情データ図録 (2012年12月3日収録)

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