大阪万博が再び計画されているが
いま大阪では、再び万博を開催しようと、開催予定の2025年に向けて誘致運動に力が注がれているようです。
早いもので、1970年の大阪万博から、はや半世紀近く経ちます。
早いもので、1970年の大阪万博から、はや半世紀近く経ちます。
今日ご紹介するのは、万博当時、VIPの宿泊先になった会場から遠くない大阪市内のホテルで勤務していた頃の懐かしい記録です。
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1970年3月・わたしの職場日誌
(×
月
×日)
EXPO開幕まであと数日、まわりの空気がにわかに慌ただしくなってきた。
各国のパビリオン関係者もこのところ最後の追い込みに懸命のようだ。
コロンビアから来たロドリゲス氏もその一人。疲れ切った顔で深夜2時ごろ帰ってきた。
聞くところによると、彼の国は万博がオープンして、すぐに最初のナショナルデイをやるということで、政府代表の彼はその準備に日夜謀殺されているそうだ。
「お疲れのようですね」
「いや、まったく疲れた。このところ毎日こんな時間になるのだよ」
やや不機嫌そうな表情で、そう言いながら鍵を受け取るとそそくさと自分の部屋へ向かっていった。
ふと数か月前の、このホテルのopen直前のことを思い出した。
ああ、あの時の我々の状態と同じなんだな。さぞきついでしょう。えらいでしょう。
でもロドリゲスさん、お国のためです。しんどいでしょうが頑張ってください。
Good
night. Have a nice sleep
(×月×日)
万博第一日目。夜も更けつつある10時半ごろ、急に辺りがガヤガヤと騒々しく
オヤッ、お帰りだな。それにしてもこんな時間にゾロゾロと。
ああそうだ。万博は9時半にcloseするのだ。それからホテルへ帰ると、そうか、これでいいのだ。
ああそうだ。万博は9時半にcloseするのだ。それからホテルへ帰ると、そうか、これでいいのだ。
それにしてもこのラッシュは凄い。前から横から、ひっきりなしに自分のルームナンバーを叫ぶ声が乱れ飛ぶ。
これから当分の間、この時間帯はこうなのだな、と思うと、いささかげんなりする。
客の波が少し途絶えたころ、アメリカ人らしい一人に万博第一日目の様子を訊いてみた。
「どうでしたか、今日のエキスポは?」
「ベリーグッド、ファンタスティック!」
「ああそうですか」
こちらはどれくらい入ったかを訊くつもりだったのだが、いささか拍子抜けの返事、質問の表現が悪かったのだ。
でも帰ってくる人の顔はみな満足気だ。この様子だと、まず初日の万博は順調だったらしい。
それにしても今日は良く客が入ったものだ。
手元に残っている客室はわずか10室余りしかない。
手元に残っている客室はわずか10室余りしかない。
さあ今日のアーニング(売上報告書)の結果が楽しみだ。
(×月×日)
22階の特別室、インペリアルスイートに今日から5日間の予定でクウェートの石油王S氏夫妻の予約が入っている。
このホテルが誇る1泊20万円(現在の!貨幣価値では80~100万円ぐらい)の部屋に5泊も予約があるということは、なんとも嬉しいことだ。
しかも泊まる人がクウェートの石油王とくる。
聞くところによると、この夫婦は万博見物のために飛行機を一機チャーターしてやってきたそうである。
まったく豪華な話ではないか。
さあ天下のお金持ち、S氏夫婦をわれわれスタッフ全員で迎えよう。
(×月×日)
万博が始まって1週間過ぎた。思わぬキャンセルなどがあって、やや空室が出る日もあるが、客室売り上げ状況はまずまず順調である。
それにしても寒い毎日で、3月も終わりというのに、このところ千里丘陵には雪のちらつく日がやたら多い。
これでは暖かい国から来た人には気の毒だ。
チリ―からきたFさんは、ジャパンは毎日chilly(チリ―)だと洒落ている。
そんなに寒いのならちり鍋でもつついたら、とやり返したが、これは通じない。
この人たちのためにも、早く暖かくなってほしいものだ。
(×月×日)
3月も余すところ数日となって、このところ気温も急上昇して、やっと春らしくなってきた。
今日から万博にちなんだ国際映画祭の開幕だ。
世界各刻の映画関係者の予約がワンサと入っている。
そう言えばつい先ほど、世紀の大女優クラウディア・カルディナーレもチェックインしたようだ。
きれいだ。それになんといっても大女優としての貫禄と風格がある。
ああ、EXPOはまだ開幕したばかりだ。180日の大ロングランでまだまだ先は長い。
ああ、EXPOはまだ開幕したばかりだ。180日の大ロングランでまだまだ先は長い。
月10階もの夜勤に、はたして身体は耐えうるだろうか。
せいぜい摂生してスタミナ保存に努めなければ。
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