2011年4月18日月曜日

孫子の兵法・彼を知り己を知れば百戦危うからず・だが意外と知られていないこの後に続く文節


己を知ることの難しさ

言わずと知れた有名な「孫子の兵法」の一節である。

これは戦時の兵法訓であるのだが、これまで私たちはこれをまるでビジネス訓のように捉えてきてはいまいか。

ビジネス訓、あるいは営業訓と言い換えてもいいのだが。

つまりこれが引き合いに出されるのはいつもビジネス現場なのであり当然のごとく戦場ではない。

その場面も上司が部下に向かっての話す朝礼時などの訓話の中などが多いのではなかろうか。

私も営業の責任者であった頃はよくこれを引き合いに出して部下の奮闘を促したものだ。

でも私が人からこれについて聞くときはたいてい前段の一節、つまり「彼を知り己を知れば百戦危うからず」までであり次に続く文節についてはあまり聞いたことが無いような気がする。

次の節とは「彼を知らずして己を知れば一勝一負し、彼を知らず己を知らざれば戦う毎に必ず殆うし」と続くのである。

およそ人とあい対するときそれが戦場であれ、ビジネスの交渉現場であれ相手のことを知らなければ作戦などの立てようもなくまるで勝負にならない。

したがって事に当たる前には相手についての研究が必至である。

それを知ってこそ戦略が立てられるのである。

そしてそれと共に必要なのが自分について知ることである。

先ず己を知り、そのうえで他を知る

知ってるようで知らないのが自分の能力なのだ。

特定の要因とか範囲で自分をあたかも有能であるように過大に評価したり、あるいはたった一度の失敗で自信をなくしまって自分を過小に評価してしまう。

こういったことも多いのではないだろうか。

このように自分のことですら知るのは難しいのであるから相手のこととなるとなおさらである。

それ故に孫子はそれを知ることの必要性を強調しているのだろう。

そして暗に自分のことや相手のことについて完全に知ることは不可能だと言っているのである。

そうである故に次の節で「一方のことだけしか知らなければ一勝一敗に終わる」と言っているのである。

さらに「どちらについても知らなければ戦いにはすべて敗れる」と言っている。

孫子は長い戦いの歴史を通じてのこうした例をよく観察しているのであろう。

それ故にこうしたことも現実に起り得ると警告を発しているのである。

私たちは先ず自分ことをよく知るために努力し、その能力を認めることである。

簡単そうなことだがこれがなかなか実行できないことなのである。

だからこそこれができるといつも相手に負け続けることはなくなるのである。

これが出来た上でその次に相手を知るための努力をしてこそ負けを少なくして勝ちを多くすることができるのではないだろうか。

最近よく言われる勝ち組、負け組とはこうしたことに原因があるのではないだろうか。

不況が続く今の時代こそこの孫子の名格言をじっくり見直してみるときである。

なお孫子というのは人名ではなく書物の名前で作者は春秋戦国時代、斉の国の出身の孫武という男だということである。

Link 「孫子の兵法」完全版
http://maneuver.s16.xrea.com/cn/sonshi.html

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