かつては日本産業の雄として輸出に大きく貢献してきたわが国のIT、弱電業界であるが、いまは不況と円高による輸出不振などの影響や、韓国などのアジア新興国に追い上げもあって、その業績を大きく落としている。
特に弱電では国内最大の売り上げを誇っていた「パナソニック」でさえ韓国の巨大企業「サムスン」に売上高で大きく遅れをとっている。
このままの状態で進めば新たな構造不況業種にさえ指定されかねない。
そうした悪い状態から脱出するために、いま各社は経営改善に懸命だ。
その一環が人件費の削減であり、このところ大手各社が相次いでその削減案を発表している。
以下はそれについての新聞各社の記事である。
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●業績不振のパナソニック、新社長の報酬3割カットへ
パナソニックは、6月の株主総会後に就任する新執行部の役員報酬を減額する方向で検討に入った。
新会長と新社長にそれぞれ就任する大坪文雄社長と津賀一宏専務は3割程度、他の役員は1〜2割のカットを軸に調整する。
同社は、テレビ事業の収益悪化や三洋電機の買収に伴う損失計上が響き、2012年3月期の連結純損益が過去最大となる7800億円の赤字に陥る見通し。
国内の製造業としても過去最大級の赤字幅で、3年ぶりに役員報酬を減額することで、経営責任を明確にする。
同社労組は今春、厳しい業績に配慮して、賃上げ要求を3年連続で見送った。
朝日新聞 2012/4/8
●<シャープ>賃金減額を組合に提案 赤字で人件費削減
シャープが社員の賃金を5〜12月の8カ月間、2%減らす提案を労働組合に示したことが31日分かった。
課長級以上の管理職は4月から賃金の5%減額を実施する。
片山幹雄社長や町田勝彦会長ら役員38人は月次報酬の10〜30%減額を2月に始めた。
12年3月期連結決算で過去最悪の2900億円の最終(当期)赤字に陥る見通しとなる中、全社での人件費削減が不可避と判断した。
シャープは4月の定期昇給凍結を見送ったうえで、労組に給与カットを提案した。
労使で協議し、4月中に結論を出す方向だ。役員報酬の減額は、社外取締役を含む取締役と執行役員が対象で、12年度の賞与はゼロにする。
この結果、役員の年間報酬は20〜40%の減額となる。管理職の賃金と役員報酬のカットは当面続け、終了時期は経営状況を踏まえて判断する。
管理職の12年度の賞与の減額も検討する。
シャープはリーマン・ショック後の09年に半年間、事実上の賃下げとなる定昇凍結を実施していた。
【宇都宮裕一】
毎日新聞 2012年 3月31日
●NECが賃金カット提案へ
NECがコスト削減のため、賃金カットを労働組合に提案する。平成24年3月期の連結最終損益が1千億円の赤字になる見通しの中、コスト削減で経営の立て直しをはかる。
同社が提案するのは一般社員の賃金カットなど抜本的な経費削減策。詳細は提案後に労組で詰めるが、5%以下の削減を半年から1年程度、実施したいとみられる。
管理職の月給については4月から5〜7%削減するが、同様の措置を組合員にも一時的に適用し、経費削減につなげる。
産経新聞 2012.3.15 11:01
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