日ごろから、最近の政治家に対してはあまり良い印象は抱いていないのだが、この本を読んであらてめて、わが国にも "本物の政治家" らしい立派な人がいるのだ、と久々に救われたような気持ちになれた。
著者は1927年生まれの今年84歳。ご高齢ではあるが文章からは生き生きとした姿がうかがえ、少しも衰えなど感じられない。
それも生来の好奇心の強さからきているのか、このご年齢にしてサッカーやアイスホッケーの観戦に出向き、
また文部大臣時代にはご高齢にもかかわらず、高校野球の始球式にも積極的に参加するという勇ましさである。
この方はご主人(故森山欽司氏)も政治家であり、お二人とも国会議員を25年以上を務め、政治一筋に生きてきた人たちである。
在職中は文部、法務大臣、官房長官などを歴任し、これまでの女性政治家の中では稀に見る要職に従事してきており、一時は総理大臣も、とも噂された人である。
このように政治家としては順風満帆であったのだが、一方私生活では必ずしもそうとは言えず、最愛の息子を柔道事故で亡くすという不幸に見舞われている。
この本を一読して感想として第一番にあげたいのは、政治家・森山真弓という人が、人間として謙虚で奥ゆかしく、また正直な人であるということである。
飾らない分かりやすい文章によって、時系列で追いながら政治家としての足跡を振り返っている。
一見、平凡な記述のように見えるが、その中に何かピカリと光るものがあるのを感じさせてくれる一冊である。
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森山 眞弓(もりやま まゆみ、1927年11月7日)は、日本の元官僚(労働官僚)、元政治家。前衆議院議員。旧姓名は古川 眞弓。
労働省婦人少年局局長、参議院議員、環境庁長官、内閣官房長官、文部大臣、法務大臣などを歴任した。現在は白鷗大学学長(平成19年2月から)および全国教育問題協議会最高顧問を務める。
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