2013年10月7日月曜日

「読書の秋」というのは単なる願望なのか?・ 秋になっても本を読む人の姿は少ない


秋はもの思う季節であると言われています。また「読書の秋」とも言われますが、それも物思いに関係あるのでしょうか。


「秋深し隣は何をする人ぞ」という有名な句もありますが、秋は夏に比べると一気に夜が長くなり、家でくつろぐ時間が多くなリますから、少しは本を読む時間も生まれるのではないでしょうか。それが「読書の秋」といわれる所以なのかも知れません。


でもその「読書の秋」ということも、一時のように人々の間で話題として取り上げられくなったような気がするのですが、もしそうだとするとそれは何故なのでしょうか。人々が読書の対する愛着が以前より弱くなったからなのでしょうか。


そう言えば図書館へ行っても、普段より特に人が多いとも思えず、むしろ8月など夏の季節より少ないくらいです。もっとも、7~8月に人々が図書館に行くのは決して読書だけが目的ではなく、暑さを逃れ涼しい場所を求めて行く人もいるでしょうから、単純に比較することもできません。


でもせっかく「読書の秋」と言われているのですから、もっとたくさんの入場者が押し寄せてくることを図書館側も期待しているでしょうから、これではちょっと拍子抜けかもしれません。


話しの方向が少し変わりますが、人はいったいどこで読書をすることが一番多いのでしょうか。休日に自宅にいるときでしょうか?それとも通勤電車の中でしょうか。あるいは職場の休憩時間などが思い浮かびますが、


でもそのいずれをとっても、読書をする人の数は一昔前に比べたら随分少なくなっているのではないでしょうか。


それはいった何故なのでしょうか。他にすることが多くなったからでしょうか。例えばスマホなど、読書をするより重要 ? なことができたからでしょうか。それで読書にまわす時間がなくなったからなのでしょうか。


「忙しくて時間がないから本が読めない」というのは本当だろうか

人は読書をしない理由の一つとして、よく時間がないことを挙げます。たしかに読書には時間がかかりますから、時間がないとできないのは事実です。でも逆にj時間があったら人は読書をするか,という疑問もあります。


今のような高齢化社会では一昔前と比べると時間のある人はうんと多いと思います。でも今の図書館に特に高齢者が多いということはありません。


全人口の4分の1もいる今の高齢者には、若い人に比べると時間はある人はうんと多いはずです。それでも図書館に行って本を読む人はあまりいないのです。


こうしたことを考えますと、「時間がないから本が読めない」というのは、どうやら都合のよい逃げ口上かもしれません。


私は常々、本は無理をして時間を作ってでも読むものだと思っています。そうでなければ仕事をしている間はずっと読めないことになりますし、おまけに仕事を辞めて高齢者になったときも、思うように読めるものではないからです。


秋の図書館入場者は春や夏より少ない

なんだか話の筋が少しややこしくなってきましたので、話をまた「読書の秋」に戻すことにしましょう。はっきり言って読書の秋というのは、どうやら実体のない単なる人々の願望のようなものではないでしょうか。


人々は秋だからといって特に読書をすることはないのです。それをよく示すデータを下に載せておきます。


これはある図書館の1年間の入場者数です。昨年までの3年間のデータですが、太字で示しているように、秋の入場者は春や夏よりむしろ少ないぐらいなのです。


これではっきりするように、「読書の秋」というのは、どうやら実体のない人々の幻想でしかなかったのです。



ある図書館の月別入館者数


4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
22年
10,775
9,991
10,376
10,226
7,872
6,917
6,525
6,341
5,857
6,297
6,418
6,592
23年
8,780
7,790
8,318
8,020
7,128
6,999
7,819
9,215
7,359
8,728
8,889
6,535
24年 
8,486
8,508
8,431
9,537
7,926
6,789
7,888
6,919
5,751
5,998
5,296
4,972

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