昭和60年代の終わり頃といえば大都市といえども今と違ってまだホテルの数は少なかった。
わたしはその頃から大阪を代表する名門ホテルに勤めていた。
その当時、一流といわれるホテルには今の人があまり知らない珍しいサービスがあった。
その一つは靴に関してのサービスである。
夜チェックインして部屋に入る時、靴を脱ぎドアの外に置いておくと、翌朝にはその
靴が磨いてあるのである。
こうしたサービスは昭和70年代はじめまでことで、今は残っていない。
なかなか奥ゆかしい気の利いたサービスであり、今思い出すと懐かしい。
またその当時、よくドアのノブにぶら下がつていたのが今回のテーマである写真のようなカードである。
当時勤めていたホテルには一つのフロアーに50ぐらい客室あったが、それらの部屋には、いつも何室かのドアノブにこのカードがぶら下げてあった。
だがこのカード、はたしてなんと呼ぶのか?当時から今に至るまでその名前がはっきりしないのである。
一説では「DDカード」というとも言われている。
そのDDが何を表すかといえば、その中の一枚に「Don't disturb please」(写真、黒のカード)と書かれたものがあり、 つまり「邪魔しないでください」ということで、平たく言えば「起こさないでください」とか「部屋に入らないでください」というサインなのである。
DDはこの「Don't disturb please」の頭文字2字を採ったものと言われているのである。
DDはこの「Don't disturb please」の頭文字2字を採ったものと言われているのである。
ではなぜこうしたサインを出さなければならないかというと、当時の一流と言われるホテルには客室係のメイド(ボーイ)さんがフロアに詰めていて、彼女(彼)らが飲料水の取替えやメークベッド(就寝時間前のベッドの準備)、または清掃などで部屋を巡回していた。
だが、客としては睡眠の邪魔をされたくなかったり、その他諸々の理由で部屋を訪れてほしくないときがある。
そうしたときにドアノブに掛けるのがこのカードなのなのである。これを掛けておくと、ドアのノックさえされないのである。
そうしたときにドアノブに掛けるのがこのカードなのなのである。これを掛けておくと、ドアのノックさえされないのである。
こうしたカードだが、よく利用していたのはもっぱら欧米からの外国人客で、日本人をはじめその他の国の人はあまり使っていなかったようである。
それはやはり、こうした風習がホテル先進国の欧米で始まったことだからからに違いない。
さて、こうしたカード、外国のホテルはもちろん、国内でも一部の伝統ある都市ホテルには今でも残っているようですが、皆さんは利用したことありますか?
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