わが国の基幹産業である自動車業界でまた新たに国内生産規模の縮小が進もうとしている。
今回の計画は一時的な減産ではなく、生産ラインそのものを縮小するもので、景気動向などで調整するものではなく、将来容易に復活できるものではない。
長期的な円高を見込んでの根本的な国内での生産台数の縮小計画なのである。
こうした計画的な生産縮小は今後多くの余剰人員を生むことが予想され、基幹産業であることもあって今後雇用面でも大きな波紋を呼びそうである。
以下は最近報道された一連の新聞記事である。
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トヨタ、国内の余剰能力50万台削減
300万台維持へ体質強化
トヨタ自動車は2014年にも国内の生産能力を現在より1割強(50万台)少ない310万台に減らす。
余剰能力の削減と同時に需要変動に応じて柔軟に生産量を調整できる体制を築き、円高が続く環境でも国内300万台の生産規模を維持する。
海外では生産能力を拡大し、15年に1000万台の世界生産を目指す。
トヨタの12年の国内生産台数は前年比23%増の340万台の計画。エコカー補助金や東日本大震災で生産が減った…
日本経済新聞2012/6/20 2:07
日産、国内生産能力15%減 神奈川の1ライン停止
日産自動車は7月から主力生産拠点、追浜工場(神奈川県横須賀市)の生産ライン2本のうち1本を停止し、国内の車両生産能力を15%(年間約20万台)削減する。
同工場で生産している小型車の一部はタイで組み立て、輸入する。
自動車業界ではトヨタ自動車も国内生産能力を2014年にも10%強削減する方針。円高や内需の低迷を背景に、基幹産業の自動車で国内生産体制を見直す動きが広がってきた。
日本経済新聞2012/6/21
トヨタ北米向け小型車生産、国内から欧州へ移管
トヨタ自動車は、北米向けの小型車「ヤリス(日本名ヴィッツ)」の生産を、グループ会社の豊田自動織機長草工場(愛知県大府市)から、来年5月にフランス工場に移すと発表した。
トヨタが欧州で生産した車を北米に輸出するのは初めてだ。
円高によるコスト高を解消し、ユーロ安を生かして輸出競争力を高める狙いだ。
フランスから北米へのヤリスの輸出台数は年間約2万5000台になる。
一方、これまでヤリスを生産していた長草工場は、引き続き国内向けのヴィッツや北米向け以外のヤリスを生産する。別の車種の生産で、長草工場の年間約30万台の生産レベルは維持する。
(2012年6月23日 読売新聞)
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