おそらく「ドクター中松」を知らない人はいないだろう。
言わずと知れた日本が誇る発明王であり、また東京都知事選へ2度も立候補したこともある超有名人である。
今年84歳とご高齢ではあるが、今も元気で活躍されている。
この人には、いろいろな方面での著書も多い。その中に「お母様」という母親を回想した一冊がある。
彼は大の母親思いで、才媛で頭脳明晰であった母について数々の思い出をこの本につづっている。彼は父親よりむしろその母親から大きな影響を受けているのである。
その彼がこの本の一節で次のような事を書いている。
幼少の頃母親に連れられて街を歩いていたときのことである。
街角でふと美しい女性に出会い、あまりの美しさにポカンとその姿に見とれていると、横で母がとつぜん言った。
「あの人、ひこページはいいけど、まめページはどうかしら」
これを読んだとき、何のことだかさっぱり意味が分からなかった。
そこで中松氏がこう解説している。
ひこページの「ひこ」は漢字で書けば「彦」となる。同じくまめページの「まめ」は「豆」となる。
それをページ「頁」の横につければ、それぞれが「顔」と「頭」という字になる。
つまり母親が言った意味は「あの人顔はいいけど、頭の方はどうかしら」という、少し嫉妬心の混じった発言だったのである。
しかし、なんという軽妙洒脱な発言であろうか。滅多なことでこんな言葉をとっさに口にできるものではない。
いかにも頭脳明晰な人ゆえの名セリフではないか。
こんな母親に中松氏は大きな影響を受けたのである。
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