つい最近も田中文科相の大学不認可問題が起ったように、今日本の大学はその質の点において大いに疑問が投げかけられている。
つまり高等教育にふさわしい学力をつけるだけの力のない大学が増えすぎているのである。
また、入ってくる学生にしても学力不足のものが多く、高等教育を受けるにはふさわしくない学生が多すぎるのである。
こうしたことが起きるのは、いまや大学入学希望者と入学定員がほぼ同数になるという、いわゆる大学全入時代を迎えたからなのである。
これは生徒数が減少したことにも原因があるが、むしろ大学の数が増えすぎたことのほうに大きな問題があるのではないだろうか。その結果が今の質の低下につながったのである。
ビジネスの世界で国際競争がますます熾烈化している今、必要なのはそれに耐えうる優秀な人材であり、それを育てられない質の低い大学など最早なんの値打ちもない。
そうした理由で田中文科相は後で撤回したとは言え、今回の3大学設置要請に対して最初は不認可を出したのである。
今求められているのはグローバル社会に通用するような真に実力に裏打ちされた人材である。
こうした意味で今回山梨大学が打ち出した全講義の英語化こそ、今後の大学がとるべき道である。
それに対して道筋をつける意味でも今回の決定は画期的なことであり、また勇気ある決断で、快挙と言ってもいいのではなかろうか。
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就職有利・不安…ほぼ全講義を英語化する国立大
. 山梨大(甲府市武田)は2016年度までに、ほぼすべての講義でテキストを英語の書籍とし、英語で講義することを決めた。
全学的な講義の英語化は、国際教育に特化した大学を除けば極めて珍しい。専門性の高い分野では、学生への負担増も課題となりそうだ。
同大総務課によると、英語化するのは、日本文学など日本語の使用が必須な科目を除く全講義。来春から段階的に導入し、4年後をめどに完全移行する。
段階的導入には、教員が英語で指導する準備期間を確保することや、一斉導入による学生のテキスト購入費の急増を避ける狙いがある。入試でも、早ければ16年実施の試験から、全学部の2次試験に英語を課すなど、比重増加を検討する。
英語化は、前田秀一郎学長や理事、学部長など10人で構成する「グローバル化推進会議」で10月に決定。既に大学院では、一部の講義の英語化を始めており、同課は「グローバル化に乗り遅れることなく、優秀な人材を育てる環境を整えたい」と説明する。
文部科学省大学振興課によると、全学的に講義を英語化し、英語の授業だけで卒業が可能な大学は、国際教養大(秋田市)の例があるが、「ほかには把握しておらず、珍しいのではないか」としている。
山梨大は医学、工学、生命環境学、教育人間科学の4学部。同大総務課は「元々英語の方が講義を進めやすい科目も多く、英語化はしやすい」としている。
これに対し、学内の意見はさまざま。ある男性教員は「日本語の教材よりレベルが高く適切な英語教材があれば、既に使っているはず。今の学生の英語力では、4年後の移行は正直難しいだろう。特に何も変えるつもりはない」と冷ややかだ。
教育人間科学部4年の男子学生(23)は「英語を重視した特色のある大学として、就職の時に有利になるかも」と話し、工学部1年の女子学生(18)は「いきなり英語になっても、授業の内容を理解できるか不安」と漏らした。
(2012年11月14日07時09分 読売新聞)
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