なぜ日本の大学は退学率が低いのか
昨年11月のブログに「勉強時間が圧倒的に少ない日本の大学生・はたしてその原因は」というタイトルの記事を掲載した。
それには「日本の大学生は一般的にアメリカの大学生などに比べて授業以外の勉強時間が極端に少ない。
その大きな原因がいったん入学してしまえばよほどのことがない限り卒業が保証されており、欧米などのように学力不足の原因により中途で振り落とされることもなく、
そのため勉学に対する学生の緊張感が乏しく余暇をアルバイトや遊興に浪費しているからである」というようなことを書いた。
したがって今回のテーマである「世界で最も少ない退学率」ということは何も別段自慢になることではなく、裏返して考えれば勉強せずに安閑としていても卒業できる大学が日本に多いからなのではなかろうか。
これに比べ欧米の大学では入学は容易であるが怠けていると振り落とされしまい卒業は難しいと言われている。
OECD諸国平均の退学率は31%であるのに対して、日本の退学率は10%と確かに最も低いレベルとなっている。
日本の他に、デンマークやベルギーも退学率が10%台と低い。
逆に退学率が高い国としては、最も高いイタリアの55%、第2位の米国53%などが過半数で目立っている。
対象となった国数は、27カ国であり、具体的には退学率の高い順に、イタリア、米国、ニュージーランド、ハンガリー、メキシコ、エストニア、英国、ポーランド、スロベニア、ノルウェー、チェコ、ポルトガル、スウェーデン、アイスランド、スロバキア、スイス、オーストリア、オランダ、オーストラリア、フィンランド、カナダ(ケベック)、ドイツ、ロシア、フランス、ベルギー(フラマン語地域)、デンマーク、日本である。
退学率が低いことはなにも誇るべきことではない
日本の大学は難しい入学試験を課して入口のハードルは高くしている。
しかし出口のハードルは驚くほど低く、これではいったい何のため高等教育であろうか。
まさに高い学費と大量の時間の浪費にしか過ぎない。
したがって今後そうした状況を改善していくには卒業へのハードルを上げて教育現場担当者が「厳しい勉学についてこれない一定数の学生の退学はやむをえない」という厳格な姿勢で臨むことが必要なのではなかろうか。
退学率が世界で一番少ないなどと言うことは何も誇れることではなく、むしろある程度高い方が望ましいと言えるのである。
インターネット「社会実情データ図録」参照
1 件のコメント:
退学率の低さですが、これは大学の責任ではなく文科省の締め付けが原因です。退学が増えることについてペナルティをちらつかされてるので、国立大学法人は特に逆らえません。退学率が海外並みでもいいから厳格に単位認定するような制度に替えろという要求は文科省に出すべきです。文科省がそう言えば、大学は従います。
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