シドニーシェルダンの比較的初期の作品に「明日があるなら」という小説がある。
もう10年以上も前に読んだものだが、まるで息もつかせないほどの見事なストーリー展開に胸をわくわくさせながら時間のたつのも忘れて一気に読み通したことを覚えている。
はっきり言って「こんなに面白い小説があったのか」と思わせるほどエンターティンメント性が豊かで、物語としては最高に魅力的な作品であった
この小説をおもしろくさせている要素の一つとしてあげられるのが登場人物のユニーク性であろうが、とくにひきつけられたのが主人公の扮する名詐欺師ぶりである。
ここでその詐欺師が展開する見事なの手口を幾つかご紹介することにする。
なおこの本を読んだのはずいぶん前のことなので、記憶に誤りがあったりして、実際のストーリーと比べて細部に多少の食い違いがあれば、それはお許しいただきたい。
詐欺の手口(その1) まんまと引っかかった宝石店の店主
ある宝石店にすごく珍しい高価な宝石が陳列されていた。
主人公はある企みをもって数万ドルもするその宝石を買うことにした。
そしてそれを購入してしばらくたって再び宝石店におもむき、無いことをを承知の上で、店主に「同じものをもう一つ欲しいと伝えた」
当然のごとく「あれ一つだけで同じ物はありません」と店主がこたえた。
先刻そのことは承知しており、主人公は店主に対してある提案をした。
「どうしてもあれと同じものがほしいので、新聞に広告でも出して探して欲しい。値段はいくら高くてもいいから何としても探して欲しい」
値段はいくら高くてもいいと言うセリフに店主は食指を動かされ、早速広告を出して探すことにした。
広告に提示された買取価格は驚くほど高価格であった。
その広告を見た主人公は、今度は入念に変装をして先日その店で購入した宝石を携えて、別人になりすましてまた宝石店へて向かった。
そして宝石をまんまと二倍の値段で売却したのである。
そしてホテルへ戻り、急いで身支度をするとチェックアウトして空港へ向かいその街を去ってしまったのである。
詐欺の手口(その2) 本物の100ドル紙幣と偽の印刷機
主人公のところにある男が訪れた。
部屋には印刷機らしいものと、その機械の上には濡れた100ドル紙幣が何枚もべたべた張られていた。
男が不思議そうにたずねた。
「あれはいったい何なんですか?」
「あああれねえ、先ほどあの印刷機で作ったばかりの100ドル札さ。まだ乾いてなくてねえ。ああして干しているんだよ」
「へえ、あの機械でつくった100ドル札・・。」
男はそう言いながら印刷機のそばへ近づいていき、100ドル札と機械を交互に眺めていた。
席に戻ってくると男は言った。
「それにしてもいいできですな。本物とまったく区別がつかない」
「気にいってくれましたか。どうですか。あれが乾いたら1枚進呈しますから、外で使ってみたらいかがかな」
しばらくして男は乾いた100ドル札を手にして早速タバコを買いに外へ出た。そして満面に笑みを浮かべて戻ってきた。
「タバコ店でもまったく疑われませんでしたよ。ほらこれタバコのおつり」男はそう言って釣銭をテーブルに広げて見せた。そして店主にこう言った。
どうですか。私にあの印刷機を譲ってくれませんか。値段はお望みの金額で構いませんから。
主人公は男の言い分を飲んで100万ドルでその印刷機は売却した。
そしてすぐさま事務所をたたみ姿を消した。
その機械というのは今はもう出回っていない古い複写機で、上に張っていた100ドル札は本物を水で濡らしたものであったのだ。
もう10年以上も前に読んだものだが、まるで息もつかせないほどの見事なストーリー展開に胸をわくわくさせながら時間のたつのも忘れて一気に読み通したことを覚えている。
はっきり言って「こんなに面白い小説があったのか」と思わせるほどエンターティンメント性が豊かで、物語としては最高に魅力的な作品であった
この小説をおもしろくさせている要素の一つとしてあげられるのが登場人物のユニーク性であろうが、とくにひきつけられたのが主人公の扮する名詐欺師ぶりである。
ここでその詐欺師が展開する見事なの手口を幾つかご紹介することにする。
なおこの本を読んだのはずいぶん前のことなので、記憶に誤りがあったりして、実際のストーリーと比べて細部に多少の食い違いがあれば、それはお許しいただきたい。
詐欺の手口(その1) まんまと引っかかった宝石店の店主
ある宝石店にすごく珍しい高価な宝石が陳列されていた。
主人公はある企みをもって数万ドルもするその宝石を買うことにした。
そしてそれを購入してしばらくたって再び宝石店におもむき、無いことをを承知の上で、店主に「同じものをもう一つ欲しいと伝えた」
当然のごとく「あれ一つだけで同じ物はありません」と店主がこたえた。
先刻そのことは承知しており、主人公は店主に対してある提案をした。
「どうしてもあれと同じものがほしいので、新聞に広告でも出して探して欲しい。値段はいくら高くてもいいから何としても探して欲しい」
値段はいくら高くてもいいと言うセリフに店主は食指を動かされ、早速広告を出して探すことにした。
広告に提示された買取価格は驚くほど高価格であった。
その広告を見た主人公は、今度は入念に変装をして先日その店で購入した宝石を携えて、別人になりすましてまた宝石店へて向かった。
そして宝石をまんまと二倍の値段で売却したのである。
そしてホテルへ戻り、急いで身支度をするとチェックアウトして空港へ向かいその街を去ってしまったのである。
詐欺の手口(その2) 本物の100ドル紙幣と偽の印刷機
主人公のところにある男が訪れた。
部屋には印刷機らしいものと、その機械の上には濡れた100ドル紙幣が何枚もべたべた張られていた。
男が不思議そうにたずねた。
「あれはいったい何なんですか?」
「あああれねえ、先ほどあの印刷機で作ったばかりの100ドル札さ。まだ乾いてなくてねえ。ああして干しているんだよ」
「へえ、あの機械でつくった100ドル札・・。」
男はそう言いながら印刷機のそばへ近づいていき、100ドル札と機械を交互に眺めていた。
席に戻ってくると男は言った。
「それにしてもいいできですな。本物とまったく区別がつかない」
「気にいってくれましたか。どうですか。あれが乾いたら1枚進呈しますから、外で使ってみたらいかがかな」
しばらくして男は乾いた100ドル札を手にして早速タバコを買いに外へ出た。そして満面に笑みを浮かべて戻ってきた。
「タバコ店でもまったく疑われませんでしたよ。ほらこれタバコのおつり」男はそう言って釣銭をテーブルに広げて見せた。そして店主にこう言った。
どうですか。私にあの印刷機を譲ってくれませんか。値段はお望みの金額で構いませんから。
主人公は男の言い分を飲んで100万ドルでその印刷機は売却した。
そしてすぐさま事務所をたたみ姿を消した。
その機械というのは今はもう出回っていない古い複写機で、上に張っていた100ドル札は本物を水で濡らしたものであったのだ。
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