早く買った人が損をする・購入者との間で交わす守秘義務契約とは
最近読んだ本にマンション販売価格の購入時期による価格差について興味のわくことが書かれていた。
それは価格割引の事実が外に漏れないようにする為の対策についてである。
その一つとして、割引価格で購入する顧客との間で販売会社は価格を口外しないことを明記した「守秘義務契約」を結ぶのだということである。
これは外部、特に高価格で購入した先住者にこうした情報が漏れるのを防ぐための対策なのである。
それはそうだろう。売れ残り物件を処分するのにはそうとう思い切った割引額を設定しなければ物権は処分できないだろうから。
でもその割引価格を先住者に知られたら、彼らからも値引きを求められることは必至で、裁判の訴訟にも発展していくであろう。
そういったことを予想しての対策なのである。
では下の事例を見てほしい。
販売価格の相違から生じる典型的なトラブルの訴訟事例である。
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私より300万円も安く売るってどういうこと?
(事例)
Aさんは、分譲業者B社から、平成17年に新築マンションを3000万円で購入したが、すべての部屋が売れたわけではなかった。
B社の従業員は、「うちは値引き販売は絶対にしません。」と述べていた。Aさんが入居開始後もB社は販売を続けており、Aさんの隣の部屋も入居者がいなかった。
平成18年になって、Aさんの隣の部屋に買い手がついたようで、Cさんが入居してきた。ところが風の噂で、Cさんがマンションを買った値段は、当初の販売価格3000万円から300万円も値引きした2700万円であったことがわかった。
Aさんの部屋とCさんの部屋とは広さも階も間取りも同様の部屋なのに、なぜCさんは300万円も安くマンションを買うことができるのか?
納得がいかないAさんは、B社に対し、値引き販売によってマンションの価値が下落したとして損害賠償を求めて訴訟を提起した。
事例と同様のケースが問題となった訴訟(東京地判平成8年2月5日判タ907号188頁)では、当該ケースにおいては、販売業者が値下げ販売しないことを約束したとか、値下げ販売したことによって生じた他のマンション所有者に生じた損害を補填する義務を負っていたとは認められないとし、さらに、一般に、不動産の価格は、需要と供給の関係で決まるものであり、不動産市況によって価格が変動することは自明の理ともいうべきことであるから、マンションの販売業者である被告に、売買契約締結後に不動産市況の下落があってもなお当該販売価格を下落させてはならないという信義則上の義務があるとも認められないとして原告の請求を認めませんでした。
Aさんの気持ちからすれば不満の残る判決かもしれませんが、一方で販売業者の契約の自由をあまりに制限することになっても困ります。そのバランスのとりかたを示した裁判例といえるでしょう。
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不動産価格は時価主義
この事例で分かるように、こうした訴訟では多くの場合売り手側の不動産会社が勝利を収めるのが普通である。
つまりマンションなどの不動産物件の売買には時価主義という考え方が取り入れられており、その
時々によって業者が自由に価格を設定できるのである。
しかし道義的問題として先住者との価格差はできるだけなくするのが望ましい。
そういった業者の思惑もあって、割引価格を先住者に知られないようにと先ほどの「守秘義務契約」をむすぶのである。
したがって例え二重、三重構造の価格であってもも法的には認められているのであり、訴訟に持ち込んでも無駄なのである。
マンション購入者は後で泣きを見ないように、この点を踏まえて購入時における業者との価格交渉には特に慎重に臨みたいものだ。
最近読んだ本にマンション販売価格の購入時期による価格差について興味のわくことが書かれていた。
それは価格割引の事実が外に漏れないようにする為の対策についてである。
その一つとして、割引価格で購入する顧客との間で販売会社は価格を口外しないことを明記した「守秘義務契約」を結ぶのだということである。
これは外部、特に高価格で購入した先住者にこうした情報が漏れるのを防ぐための対策なのである。
それはそうだろう。売れ残り物件を処分するのにはそうとう思い切った割引額を設定しなければ物権は処分できないだろうから。
でもその割引価格を先住者に知られたら、彼らからも値引きを求められることは必至で、裁判の訴訟にも発展していくであろう。
そういったことを予想しての対策なのである。
では下の事例を見てほしい。
販売価格の相違から生じる典型的なトラブルの訴訟事例である。
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私より300万円も安く売るってどういうこと?
(事例)
Aさんは、分譲業者B社から、平成17年に新築マンションを3000万円で購入したが、すべての部屋が売れたわけではなかった。
B社の従業員は、「うちは値引き販売は絶対にしません。」と述べていた。Aさんが入居開始後もB社は販売を続けており、Aさんの隣の部屋も入居者がいなかった。
平成18年になって、Aさんの隣の部屋に買い手がついたようで、Cさんが入居してきた。ところが風の噂で、Cさんがマンションを買った値段は、当初の販売価格3000万円から300万円も値引きした2700万円であったことがわかった。
Aさんの部屋とCさんの部屋とは広さも階も間取りも同様の部屋なのに、なぜCさんは300万円も安くマンションを買うことができるのか?
納得がいかないAさんは、B社に対し、値引き販売によってマンションの価値が下落したとして損害賠償を求めて訴訟を提起した。
事例と同様のケースが問題となった訴訟(東京地判平成8年2月5日判タ907号188頁)では、当該ケースにおいては、販売業者が値下げ販売しないことを約束したとか、値下げ販売したことによって生じた他のマンション所有者に生じた損害を補填する義務を負っていたとは認められないとし、さらに、一般に、不動産の価格は、需要と供給の関係で決まるものであり、不動産市況によって価格が変動することは自明の理ともいうべきことであるから、マンションの販売業者である被告に、売買契約締結後に不動産市況の下落があってもなお当該販売価格を下落させてはならないという信義則上の義務があるとも認められないとして原告の請求を認めませんでした。
Aさんの気持ちからすれば不満の残る判決かもしれませんが、一方で販売業者の契約の自由をあまりに制限することになっても困ります。そのバランスのとりかたを示した裁判例といえるでしょう。
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不動産価格は時価主義
この事例で分かるように、こうした訴訟では多くの場合売り手側の不動産会社が勝利を収めるのが普通である。
つまりマンションなどの不動産物件の売買には時価主義という考え方が取り入れられており、その
時々によって業者が自由に価格を設定できるのである。
しかし道義的問題として先住者との価格差はできるだけなくするのが望ましい。
そういった業者の思惑もあって、割引価格を先住者に知られないようにと先ほどの「守秘義務契約」をむすぶのである。
したがって例え二重、三重構造の価格であってもも法的には認められているのであり、訴訟に持ち込んでも無駄なのである。
マンション購入者は後で泣きを見ないように、この点を踏まえて購入時における業者との価格交渉には特に慎重に臨みたいものだ。
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