テレビで「一ヶ月一万円生活」という超節約食生活体験を紹介する番組がロングランを続けており、いつも安定した視聴率をあげているようである。
私も数回見たことがある。
そうした節約生活の反面、レストランで2000円以上もするような高級ランチをごく普通の女性が気軽に注文しているという現実もある。
またこうした食物資のあふれた時代にもかかわらず、ごく最近、大阪府豊中市では60代の姉妹が餓死しているのが死後数ヶ月 後に発見されるという悲惨な出来事もあった。
このようにいま食生活をめぐる世間の様相は混沌としていて一様ではない。
しかしながらお金のあるなしに関わらず世の中は少しずつ節約方向に流れてきているのは事実であるようだ。
冒頭に挙げたTV番組にしてもそうした生活を支持する人が多いからこそ高視聴率でロングランを続けるのではないだろうか。
反面「高級ランチ」の売れ行きがいいというのは、いま年金受給者を中心に比較的豊かな高齢者が多く、普段は質素な生活が身についているそうした人たちも、たまに家事から解放されたいと願いもあって、時々友人たちと連れ立って息抜きにささやかな「贅沢」を味わっているに過ぎないのではないだろうか。
それを表すように私がいつもの土日に図書館へ行くとき側を通るこの町でも比較的大きな部類に入る和食レストランがあるのだが、外から窓越しに中の様子を伺ってみると、いつも客の6〜7割ぐらいは高齢者でなのである。
特に女性客グループが多いようである。
したがって高級ランチが流行っている原因は暇があり少しだけ豊かになった高齢者が多くなったからではないだろうか。
ちなみにその店のランチは2000円前後である。
まあそれはそれでいいとしよう。
話しは変わるが高度急成長が終わった頃から日本のサラリーマンの給料はそれまでは年々10%前後も上がっていたというのに、昇給がぴたりと止まり、もう20年ぐらいその額に大きな変動はなく、むしろ多少なりとも下がっているところさえあるのが少なくないというのが現状である。
食費1ヶ月1万円? |
ただ物価が安定しており、それに家族の一員に比較的豊かな高齢者が含まれていたりして、雰囲気的には生活に困窮している様子はまったく伺えない。
でも、急成長時代に比べると、皆生活は堅実になっており、むやみに物を買わなくなっているのではなかろうか、
それに一家の主人が以前のように小遣いを使わなくなり、休日の過ごし方にしてもなるべくお金のかからないレジャーを楽しむ方向へと変わってきているのではないだろうか。
こうした物を買わなかったりレジャーにお金をかけなくなっている今のトレンドが不景気に輪をかけているという説もある。
でもこれが「成熟社会の姿」なのではないだろうか。
かつてのわが国のようにいま急成長期にある中国などと比べて今の日本の消費生活スタイルが違うのは当然なことであるのではなかろうか。
余談になるが3年ほど前になるが私が勤めていた会社で、あるパートタイムの若い既婚女性であるが給料日の昼休みには必ず銀行に両替に行って封筒に数十個の500円硬貨を詰めて持ち帰ってくる人がいた。
「それいったいどうするの?」と興味半分に聞いてみると、これ主人のお小遣いなの、一日ひとつづつこれをあげるの、お小遣いは一ヶ月15000円だけど一度に渡すとすぐ全部使ってしまうから500円硬貨30枚に換えてきたの」と答えるのである。
それを聞いた私は「若いのになかなか堅実でしっかりしているな」とおおいに感心したものだ。
総じて言えば給料がドンドン上がっていく高度急成長のような時代はもう2度と望めない。
でも物価の安定した今はそれほどの食費をかけなくてもそこそこの生活は可能である。
それに国としても財政赤字を増やしてまで経済成長ばかり追わなくてもいいのだし、借金を作らない節約生活こそがむしろ国をリードする生活パターンだとも言え、小資源国に住む私たち日本人の今後の生活スタイルではないのだろうか。
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