上のグラフに見るように、長期間右肩上がりの増加を続けてきたわが国の自動車保有台数も、ここ数年間ピタリと止まり、いまや緩やかだが下降線を描いてきてさえいる。
この大きな原因の一つなっているのが、最近見られる若者の極端な車離れである。
さて今回のテーマであるこの問題の原因について、皆さんだったらどんな答えを出すであろうか。
一見簡単そうだが、難問である、とも言える。
2年ぐらい前、テレビのインタビューに出たトヨタの社長ですら「原因はよく分からない」と答えていた。
だがこの問題、答えを出すには深く考えすぎないほうがいい。
その答えはズバリ一言。
日本では車が普及しすぎて、相対的に見て価値が低くなってきたからなのである。
つまり費用対効果、コストパフォーマンスの観点から、車の所有についてを若者が考えるようになってきたからなのだ。
若者の車離れと言われるこの場合の若者とは、主に男性を指している。
その男性の若者が車を所有したがらないのである。
答えを出すにはまず今から30年〜40年前のことを考えてみればいい。
この時代に若者が車に魅力を感じたのは、まず第一に生活スタイルとして車に乗ることがカッコイイと思えたこと。
第二は車を持って自分自身がカッコヨクなったら女性にモテルと思ったこと。
そして第三は彼女を作って一緒にドライブしたいと思ったこと。
これが若者が車に大きな愛着を持った三つの要素である。
だが今はどうだろう。
車に乗ることがかっこいいだろうか?いまや一家に2〜3台あることも珍しくなく、ごく"普通の人"の誰でもが持つている車なんか別にかっこよくもなんともない。
100万円も出せば簡単に買えて、希少価値もない。女性にもてるなんて事はまったくない。
なぜなら若い女性の多くが自分自身ですでに車を所有しているではないか。
第三のドライブだが、今は車での長いドライブなど女性は好まなくなっている。
長距離移動にはむしろ新幹線や飛行機のほうが人気がある。
これらの三つの理由に加えてもうひとつ大きな理由がある。
それは若者の仕事をめぐる社会環境の大変化である。
つまり非正規社員が増えたため、、彼らの可処分所得が大幅に減少してきたことである。
これが車購入に費用が回せない大きな原因の一つになっているのである。
どうやらこの傾向は当分続きそうで、再び右肩上がり増加を望むのは、難しいようである。
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