分厚い本ではない。普通より少し薄めの新書版である。
内容に惹きつけられ、間をおかず2時間ぐらいで一気に読めた。
いまわが国には心から尊敬できる人が極めて少ない。
というよりほとんどいないといっても過言ではない。
わたしたちが模範にすべき国を守る政治家でですら、次々と総理大臣が代わり、
昔と比べて大物といわれる人もすっかりいなくなり、小物ばかりのいわば烏合の衆になり下がっている。
そんな政治家など端から尊敬できない。
はたして今のわが国に尊敬できる人はいるのだろうか。
常日頃こらそんなことばかり考えている昨今だが、最近読んだ本で、ふと、この人は尊敬できるのではないか、と思える人にやっと出会った気がした。
それがかの有名な京セラの稲盛和夫氏である。
氏は70代後半という高齢にもかかわらず、最近では窮地にある日本航空の経営建て直しでもさらに名を馳せている。
今回の著書「ど真剣に生きる」は氏の半世紀以上にわたる職業人生を振り返って書かれた伝記である。
一読して感じるのは、今では日本経済の重鎮とも呼ばれる稲盛氏であるが、少しも偉ぶらず、人間として本当に素直で、立派な人であるということである。
企業家といえども単に金儲けを目指して仕事をしていない。ひたすら従業員を幸せにするために、それを目標にして、ただそれだけで仕事に生きてきた。
この人の生き方は自分のためより、他人のため、つまり利他の精神である。
ただそのことだけを考えて働いてきた結果あるのが今の京セラであり、稲盛和夫氏なのである。
この本で稲盛氏は次のようなことを書いている。
人生はドラマであり、1人1人がその主人公です、大切なことは、そこでどういうドラマの脚本を書くかです。
運命のままにもてあそばれていく人生もあるかもしれませんが、自分の心、精神というものを作って演じることも出来るのです。
人生というのは、自分の描き方一つです。ボケっとして生きた人と、ど真剣に生きた人では、脚本の内容はまるで違ってきます。
自分というものを大事にして、一日一日、一瞬一瞬をど真剣に生きていくことによって、人生はガラッと変わって行くのです。」
「たった一回しかない人生を無意味に過ごすことぐらいもったいないことはありません。
天地自然はこの宇宙で必要だったからこそ我々を存在させていると私は考えます。この宇宙に我々は必要である、自分は大切な存在なのだと、まずは信じるべきでしょう」
私は1日が終わりには今日はど真剣に勉強したか、仕事をしたかと自分に問うてみることにしている。
今日は満足出来る日だったと思える日は何日あるだろう。
残念ながら忙しかったけど、何をしたか分からない日が多かった気がします。
毎日目標を定め、意識を持って生きる、すなわち「有意注意」な生き方こそが、ど真剣に1日1日を過ごしていくことなのでしょうか。
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