「2011に東大生が読んだ本」と言う新聞記事のタイトルを目にして、ふと以前これに似たタイトルの本を読んだことがあるはずだ、と思い、ここ数年こまめにつけている読書記録を繰っててみた。
すると4年前の2008年1月に平凡社新書の「東大生はどんな本を読んできたか」という書名の記録があり、そのコメントには次のように書いていた。
「明治、大正、昭和を通じてわが国の知をリードしてきた東京大学。その東大生たちの130年の長きに渡る読書史。
マルクス主義や岩波書店などに深くかかわってきたその読書傾向はまさに東大生ならではのこと。読書人必読の一冊である」。
このコメントのように、左の写真のこの本は歴代の東大生の読書傾向を綴ったものであった。
ちなみのこの本で紹介された過去の読書傾向の一部をご紹介すると以下のようになっている。
1939年、文部省によって調査された「感銘を受けたる書籍」に対する東大生の回答(p.140より)
1. 麦と兵隊(火野葦平)
2. 生活の探求(島木健作)
3. キユリー夫人伝(E.キュリー)
4. 人間(A.カレル)
1949年に入学した新制大学一期生の文一へのアンケート結果(p.179)から拾ってみると、
1. 共産党宣言(マルクス・エンゲルス)
2. 善の研究(西田幾太郎)
3. カラマーゾフの兄弟(ドストエフスキー)
4.職業としての学問(ヴェーバー)
5. チボー家の人々(デュ・ガール
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして時代は大きく変わり、今の東大生ははたしてどのような本を読んでいるのであろうか。
以下は最近の朝日新聞読書欄に載った記事である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
東京大学駒場キャンパス(主に1、2年生が学ぶ)内に店舗を構える東大生協駒場書籍部がまとめた、2011年1月〜12月の総合ランキングのうち「文庫」と「新書」のそれぞれベスト5を紹介します。
売り上げ上位の本から大学教員指定の教科書を除いてあります(教科書を除外しないと、上位はほとんど教科書になってしまうそうです)。
「さすが」と思わされる本が並ぶ一方、一部には意外な顔ぶれも? 見ているだけでいろいろと想像力をかき立てられるラインナップです。
ちなみに「文庫」の2位にランクインしている『世界史』は下巻も4位で、二冊合わせると実質的には1位でした。
春は新たな「学び」との出会いの季節。このランキングが、そんな「出会い」のきっかけになるといいですね。
文庫:1位
「思考の整理学」
著者:外山滋比古 出版社:筑摩書房 価格:¥546
文庫:2位
・「世界史」
著者:ウィリアム・H・マクニール、佐々木昭夫、増田義郎 出版社:中央公論新社 価格:¥1,400
文庫:3位
・「小説。図書館戦争 図書館戦争シリーズ 1 」
著者:有川浩 出版社:角川書店 価格:¥700
文庫:4位
・「夜は短し歩けよ乙女 」
著者:森見登美彦 出版社:角川書店 価格:¥580
文庫:5位
・「恋文の技術 」
著者:森見登美彦 出版社:ポプラ社 価格:¥651
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
新書:1位
・「TPP亡国論」
著者:中野剛志 出版社:集英社 価格:¥798
新書:2位
・「ふしぎなキリスト教」
著者:橋爪大三郎、大澤真幸 出版社:講談社 価格:¥882
新書:3位
・「入門! 論理学」
著者:野矢茂樹 出版社:中央公論新社 価格:¥777
新書:4位
・「大学生のためのレポート・論文術」
著者:小笠原喜康 出版社:講談社 価格:¥756
新書:5位
・「大学とは何か」
著者:吉見俊哉 出版社:岩波書店 価格:¥861
2011のランキング記事は朝日新聞 2012/3/18
0 件のコメント:
コメントを投稿