●17基金10年で年金枯渇、積立金試算10年以内に積立金が底をつく厚生年金基金
厚生年金基金が国から預かって運用している年金の積立金に大きな穴があいている問題で、10年以内に積立金が枯渇しかねない基金が17あることが29日、厚生労働省の調査でわかった。
運用の悪化に加え、年金給付を支えている現役世代が少なくなり、積立金の取り崩しが進んでいるためだ。
昨年3月に決算をした595基金のうち、29日現在で残っている578の基金の財政状態を分析した。
国から預かって運用している厚生年金の積立金が不足している基金は212あった。
労使の掛け金だけでは年金の給付をまかなえず、積立金を取り崩している基金は314にのぼった。
厚労省は、今のペースで取り崩しが続いた場合、残っている積立金が何年でなくなるかを試算。
実際に枯渇するかどうかは今後の給付の増減などに左右されるが、計算上、枯渇までの期間が最も短いのは、愛知県の繊維業界でつくる「尾西毛織厚生年金基金」の4.3年だった。
朝日新聞 2012/3/29
●厚生年金基金:運用担当9割「素人」 天下り増え721人−−厚労省調査
厚生労働省は28日、厚生年金基金に関する実態調査(3月1日時点)の結果を公表した。
資産の運用を担当する役職員の9割が運用業務経験のない「素人」だったことが分かった。
役職員に天下りしている国家公務員OBは721人(うち旧社会保険庁、厚労省出身者689人)で、09年5月の調査(646人)より75人増えたほか、厚労省が役員の公募を求めた10年9月以降に役員が任期を迎えた200基金中、公募をしたのは37基金にとどまることも判明した。
調査はAIJ投資顧問の年金消失問題を受けて、3月1日時点で存在する581基金を対象に実施した。
運用体制を回答したのは558基金。運用に携わる役職員は総数2065人だが、88%の1826人は運用業務の経験がない。
証券アナリストなどの資格を持っている人は2%の37人で、7割の基金は運用コンサルタントを採用していなかった。558基金中AIJに委託したことのあるのは88基金だった。
天下り役職員の内訳は役員405人(366基金)、職員316人(230基金)。職員は、09年5月時点の調査(180人)の2倍近い。
厚労省は、09年12月の旧社保庁廃止に伴って多くの退職者が再就職先に厚年基金を選んだとみている。
同省は公募要請が徹底されていないことについて、30日に改めて公募実施を求める。
毎日新聞 【鈴木直、石川隆宣】2012/3/29
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