2012年10月13日土曜日

ニューヨークのホテル ・ 誰も知らないウラ話(その4)



もらったチップを客に投げつけるコーヒーショップのマスター


米国でのサービスについて語るときチップの話は避けて通れない。


米国では公営機関以外のあらゆる場所でサービスを受けたときにはチップを払うことが当然なこととなっている。


したがってこれを忘れたり怠ったり、または渡した額が適正でなかったりすると少なからずのしっぺ返しがあるようだ。


今回はそのチップの金額にまつわる話である。


少し大きなホテルだと大概はあるのだが、私のいたスタットラーヒルトンにも一階のロビーの一角にコーヒーショップがあった。


従業員も私服のときは自由に利用できたので私も仕事前のひと時などにしばしば利用していた。


ある日そこで朝食をとっていたときの話である。


その店にはビリーというイタリア系アメリカ人のマスターがいた。

このマスター、明るく陽気なことはいいのだが、少し気の短いところがあって客と揉め事を起こすことが少なからずあったようだ。


私がチーズバーガーをかじりながらコーヒーを飲んでいたときである。突然「ヘイ ユー」と叫ぶビリーの声が背後から聞こえた。

その大声にびっくりして思わず振り返ってみると、険しい表情のビリーが出口のほうへ歩いていく客に向かって何か投げつけているのである。

それは客には当たらず椅子に当たってフロアに落ちた。なんとクォーター(25セント)銀貨なのである。

その後もなにやら叫んでいるビリーの様子から、どうやら客が渡したチップが少ないことに腹を立てたビリーが、貰ったクォーター銀貨を客に投げつけたのである。


だが、そうしたビリーの剣幕にその客は何の反応もせず黙って出て行った。


従業員が客に向かってお金を投げつけるという光景など日本では見たことがない。

だが、ニューヨークに来てからはこれに似た光景は別の場所でも見たことがある。

それはこのホテルの玄関であった。タクシーを降りて玄関に向かう客に向かって運転手が「ファック ユー」とののしりながらコインを客の背中に投げつけているのである。

そのときはただ驚いただけで、どうしてそんなことをするのか意味が分からなかったのだが、ビリーの1件でやっと理由がわかった。


アメリカでの一般的なチップの適正額は例えばレストランなどでは15~25%、タクシードライバーへは10~15&%とされている。


したがって私が見た2件のシーンではいずれもその額が基準を下回っていたのであろうか?







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