社会保険庁の調査によると、2010年4月1日現在で、今後保険料を納付し続けてもトータルで期間が25年に満たない無年金者の数は次のようになっている。
この数字は、いま若年層に広がっているニートやフリーターの今後の動向によってはますます増加することが予想されている。
■現在確定している無年金者数
▽60歳未満約45万人
▽60歳以上65歳未満約31万人
▽65歳以上約42万人
また、同庁によると、海外の国々の保険料納付最低加入期間は以下のようにになっている。
■海外の国々、最低加入期間
▽英国 男性11年・女性9.75年
▽ドイツ 5年
▽米国 10年
▽韓国 10年
▽フランス 期間指定なし
いずれも日本より短く、政府・与党は無年金の防止など対応策の検討を始めている。
■加入期間に満たない無年金者の問題
過去に年金保険料の納め忘れがある人を救済する法改正が国会で成立し、来年秋までに施行される。
無年金や低年金になる恐れがある最大1710万人が対象で、施行から3年に限り、未納にした保険料を10年前まで遡(さかのぼ)って納付できる。しかし、誰でも救済されるわけではない。原則、25年間納付しないと年金を受け取れない現行制度の壁は厚そうだ
(実例)
東京都練馬区に住む小島良子さん(59)=仮名=は最近、この先の暮らしのことで頭を痛めている。
夫(75)は今年8月、長年続けた個人タクシーを廃業した。去年までは人一倍元気で、「死ぬまで働く」と豪語していたが、動脈硬化症の手術後、入退院を繰り返したためだ。
収入が途絶えた今、諦め切れないのは、厚生年金と国民年金の加入期間が合計で24年と8カ月しかないこと。年金受給資格の25年にたった4カ月足りないために、年金額はゼロだ。
夫は18歳で会社員になり、その後、タクシー運転手として勤務した。この間、11年弱は厚生年金に加入。
個人タクシーを開業後は国民年金に加入し、13年弱は保険料を納めた。しかし、業績が悪化し、年金保険料の免除を申請した後は手続きが滞り、業績が回復した後も納付はせずじまいになった。
昭和61年以前に会社員だった妻に養われていたと認められた「カラ期間」を合わせても、年金加入期間はトータルで296カ月にとどまる。
■無年金者118万人に…記録漏れも影響 社保庁推計
年金保険料納付期間が25年に満たないため、年金をもらえない高齢者や今後納めても受給できない人が計約118万人に上ることが、社会保険庁の推計で分かった。
この「無年金者」の中には、納付しているにもかかわらず宙に浮いた5000万件の中に記録が紛れ受給できない人もいるとみられる。
日本の受給制度は納付期間が諸外国と比べ長いうえ、1カ月でも欠ければ受給できない。
政府・与党も制度の見直しなど対応策を検討している。
現行制度では、国民、厚生、共済の各年金の支払期間の合計が25年にならないと保険が受け取れない「25年ルール」がある。
特例で保険料免除期間がある場合はこれも加算される。70歳以上は原則として納付が認められない。
無年金者の実態について、社保庁は長年「不明」としてきた。しかし04年、会計検査院が社保庁の資料を基に60歳未満で約39万人が受給できないと推計。
一方、社保庁は同年、65歳以上について受給できない人は約40万7000人に上ると国会の質問主意書に回答していた。
だが、60歳以上65歳未満については明らかになっていなかった。
0 件のコメント:
コメントを投稿