顧客心理を掴んでいる
ある日、スーパーでの買い物でレジに立ったとき、係りの女性がおもむろに聞いた。 「ネギの長さ、どうしましょうか?」
思いがけない質問であったが、なぜだか私は「半分にカットしてください」と反射的に答えていた。
そんな質問など予想もしていなかったのに、なぜ反射的に答えられたのだろうかと、後で考えて不思議に思った。
でも、よく考えてみると別に不思議でもなんでもない。
私はネギを袋に入れるときは、たいていボキッっと半分に折って入れている。
そうしないと袋からはみ出るからである。別にはみ出てもどうってことないのだが、人目につくのがなんとなく気になるからだ。
いまやスーパーには常時半分ぐらいは男性客がいて、男の買い物など別に珍しくもなんともない。したがって買い物自体には何の抵抗もない。
しかし、袋をさげて外を歩くときはどうかといえば、まったくなんともないかといえば嘘になる。
小さな袋ならまだしも、買い物が多くなって袋が大きく膨らんでいるときは少し人目が気になる。
ましてや袋から中身が飛び出しているとなるとなおさらである。ネギとか大根とかの、丈の長い野菜を買ったときに、時としてそうしたことが起こる。
それを予防するとために、袋に入れるときネギは半分に折り、大根は葉っぱの部分のちぎって入れることにしているのである。
その日のレジでの質問はそうした私の心理を知っているかのような質問であったのである。
駅前の市街地の店だけに徒歩の客が多いことを想定しての対応で、まさに顧客心理を先回りしてしっかりと掴んでいるではないか。
この対応には恐れ入った。何よりその細やかな気遣いがうれしい。
このことで私は一気にこの店のファンになった。
たとえスーパーであろうと、何も品揃えや価格だけが大事なのではない。
こうした顧客心理をつかんだ細やかな対応もまた大切なのだ。と、いたく感心した次第である。
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