まず上のグラフを見ていただきたい。このデータは25歳以下の若年層に絞った世界の失業率である。
まず驚くべきはスペインの44%という高い数字である。これだと若者の2人に1人が失業者ではないか。
まさに街を歩けば仕事のない若者で溢れているという状態であろう。
でもスペインだけではない。スペインと同じようにいま国家が財政危機に喘いでいるイタリア、ギリシャ、ポルトガルなども、軒並みに20%を越える高失業率を抱えている。
しかしこれだけの高失業率を抱えている割には、どの国もこの問題で特に騒いではいないようなのが気になる。
特にスペインは44%という、どうしようもないような失業問題を抱えている。しかし、その割には、比較的悠然と構えているようにも見える。
そんなまるで他人事のような緊迫感の感じられない態度と、この問題に対しても、まるで無策と言ってもいいような対策のまずさが今回の経済危機の表面かなのではないだろうか。
1000兆円以上の世界一の財政危機を抱えている国の国民としてはえらそうなこともいえないが、まだ日本人は多少なりとも危機に対する緊迫感は持っている。
それゆえにわれわれからはスペインの44%を筆頭にヨーロッパ各国の軒並み20%をこえるという若年層の高失業率には頭をひねらざるを得ない。
だが、ヨーロッパから離れて、中東に目を向けると、そこにはサウジアラビアという国があるが、この国もまた若者の高い失業率を抱えている。
でも、オイルマネーがあふれる豊かなこの国の政治家はきわめておおらかで、失業している若者を働くようにと、決してけしかけたりはしない。
それどころか、われわれ日本人からは考えられないような高待遇を、そうした失業者に対して施しているのである。
以下はうらやましさを通り越して、もうたまげてしまうほどのこの国の若年失業者の様子である。
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急増する若年層、しかし就業率は低下・サウジ版ニート問題
サウジアラビアの人口は約2500万人。うち6割近くが20歳未満という非常に若々しい人口構成をしている。日本の逆ピラミッド型とは大違い。
本来なら「労働者人口が増えて素晴らしい」ということなのだが、サウジの事情は少々異なる。20代前半の30〜40%が俗に言う「失業者」なのだというのだから驚き。
しかも職がないから、ではなく「意図的に働かない」ことによる失業だ。
サウジアラビア人に対する若年層の優遇措置はざっと次のようになる。
・大学までの教育費、医療費、社会福祉費が無料。
・住宅も無償提供。
・国立大学や職業訓練場では毎月小づかいが出る。
・電気代、ガス代も補助金が国から出る。
これだけ優遇されていれば、労働意欲も無くなろうというものだ。
そして問題になっているのが「サウジ版ニート問題」。働かなくとも優雅に過ごせる環境の中で、働く意欲を失う若者が増えているというのだ。
結果として失業率は上がることになる。彼らはまさに、ニートの定義そのものであろう。
ある30歳の若者は「政府から住宅資金として900万円をもらった。仕事なんか必要ないさ」と語っていた。
また、別の不動産業者の父親を持つ若者は、公務員試験に落ちたあとは毎月30万円のこづかいをもらい、働かないで遊ぶ毎日を過ごしているという。
父親もムリして就職することもないと特に気にも留めていないとのこと。いわく「安定していて快適で勤務時間が短い公務員の仕事ならやってもいいですよ。でもそれ以外の仕事は忙しいからいやです」。
もちろんサウジアラビアにも多くの、勤勉で優秀、素晴らしい「はたらきびと」はいる。すべてがすべて、就業意欲を失っているわけではない。承知していると思うが、念のため。
点線以下はインターネット「シャリア指数覚書」より
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