2011年12月19日月曜日

ホテルマン ・ いま、むかし

ホテルのフロント

お粗末なパート社員募集広告

折り込み求人広告にある大手ホテルのフロントマンの募集広告が出ていた。

全国チェーンの誰でも知っている一流と名がつく都市ホテルである。

パート社員の募集広告だが、募集要項には応募資格や条件などは何も書いていない。

書いてあるのは職種、勤務時間と賃金、それに応募方法だけである。

・職種 フロント
・勤務時間  9:00〜16:00または15:00〜22:00の交代勤務。
・時給     800円〜1000円
・応募方法  事前に履歴書郵送。

たったこれだけである。

しかし、パートといえ、これが一流といわれるホテルの社員募集広告であろうか。

いくらなんでも、これではお粗末すぎるではないだろうか。

フロントマンといえば訪れる客に真っ先に接する大切な役割を持つセクションではないか。

ここでの対応が客の第一印象を決定する重要な要素になるのである。

したがってここで勤務する人は決して誰でもいいわけではない。

それをこんなまるで二束三文のような募集広告で、いったいどれほどの人材が集まるというのだろうか。

いかに就職難の時代とはいえ、こんな安っぽい広告ではいい人材の応募など望むべきもない。


ホテルには格というものがある

しかし、このホテルの人事担当者は何を考えているのだろうか。

ホテルには格というものがあって、それが高いほど訪れる客の質も高くなる。

客の質が高くなるということは、その客を応対する従業員の質もおのずと高くなる。
というのがごく当たり前のことである。

だが、この募集広告を出しているホテルはその原則を無視しているではないか。

先ほども述べたようにこのホテルは全国チェーの名の通った一流ホテルである。

したがって宿泊料もビジネスホテルのように安くはない。

だと、当然、客のほうも社会的にステータスの高い人が多いと思われる。

であればそうした地位の高い客の応対に当たるホテル側の社員にも一段と高いレベルのサービスの提供が求められる。

それゆえに、誰でいいわけにはいかないのである。

ましてや一流ホテルといえば、訪れる客は日本人ばかりではなく、世界各国の外国人も多いはずである。

それら外国人を相手にするとなると、英語のひとつや、ふたつは使えなくてはならないだろう。

そうした事情を抱えているのが一流ホテルであるゆえんなのである。

なのに、パート社員で、しかも賃金はまるでそこら一般の中小企業と同じような低い賃金で社員を募集するという、その魂胆がわからない。

ひょっとして、こうした募集担当をしている社員も、時給800円ぐらいで雇われている意識の低いパート社員なのだろうか。そんな憶測さえしたくなる。

いくら建物や設備が立派でも、そこで働く社員がこれでは一流が泣く。

少なくとも一昔前のホテルマンはこうではなかった。

物腰柔らかく、言葉遣いには丁寧な中にもセンスがあり、外国人相手には流暢な英語を話し、しっかりと客の信頼を得ていた。

それゆえにホテルマンという職業にプライドも持っていた。だが今はそんなものは無い。

それが折り込みのパート社員募集広告の文面にありありと表れている。

いまやホテルマンという職種のはっきりとしたカテゴリーさえなくなってきているのではないだろうか。

もしそうだとすると、ホテルマンという用語も死語になるのも時間の問題に違いない。

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