2012年1月22日日曜日

出版不況の中、タイトルがやたらに長くなってきた最近の新刊書

いま出版業界は年々先細っていく本の売上高に頭を抱えている。

2009年度にはついに最後の砦とされていた2兆円もあっさり切ってしまった。

年間売上高が2兆円を下回った場合、出版社、取次、書店の全体としての採算分岐点を下回る段階に入り、

出版業界そのものの成立がなりたたなくなる恐れがあるのだ。

そんな困難な時代を迎え、各社が少しでも売上を挽回しようと、なにかと知恵を絞っている。

その中での動きの一つが、表紙で読者をひきつけようと、本文を凝縮したように見せかける文字数の多い長いタイトルでである。

このブログシリーズ2011年9月1日の 「ベストセラーに騙されるな・本はタイトルで売るがいまや出版界の常識」 の中でも書いたが、

ほとんどの読者は中身の内容はさておき、タイトルや目次にひきつけられて購入を決定するのが、いまや普通になっている。

したがって出版社は中身もさることながら、いかに読者をひきつけるタイトルをつけるかということに知恵を絞っており、作者がつけたタイトルでそのまま発売にふみ切ることは少ない。

最近の具体的な例では 「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」 のヒットで、長いだけでなく、疑問形で終わる題名が増えている。

特にビジネス系の書籍には、「餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?」 とか

「ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する」 とかなどの疑問系で終わるタイプや、

「中学生への授業をもとにした世界一簡単な「株」の本」 などのように長いタイトルがむしろ普通になってきた。

もっとも、過ぎたるは及ばざるがごとしで、あまり長すぎるとかえって逆効果のようである。

極端な例では、本の表紙の半分ぐらいを占めるほどの長さのものをたまに目にするが、これなど明らかに度を過ぎていて、逆効果になるだけであろう。

売上アップのため知恵を絞るのはいいが、タイトルの長さもほどほどにしたほうがいい。

そのうち読者にうんざりされてそっぽをむかれないようにするためにも。

ちなみに長すぎて読者に敬遠されるようなタイトるの例を挙げてみると、下のようなものがある。



これすべてタイトル

「悩みも迷いも若者の特技だと思えば気にすることないですよ。皆そうして大人になっていくわけだから。ぼくなんかも悩みと迷いの天才だったですよ。悩みも迷いもないところには進歩もないと思って好きな仕事なら何でもいい。見つけてやってください。」
(横尾忠則著、勉誠出版)

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