2010年11月14日日曜日

「チラシ配り」のマナーとテクニック

一週間ほど前の夜8時くらいであっただろうか。

JR姫路駅前の山陽百貨店前辺りで、チラシ配りらしい背の高い若い男がやにわに近寄ってきて、手にしていた部厚い紙の束から一枚を抜き取って私に渡そうとした。

でも、私は受け取らなかった。

ただ受けとらなかっただけでなく、こんなセリフをその男に投げかけていた。

「ごめんなさい、受けとれません。今度もう少し上手に渡してくれたら受けとるかも知れません。もっと渡し方を研究してください」

普段だと決してそんなことは言わず、受けとらないにしても黙って素通りするだけなのだが、その時は少し酒が入っていたせいかついついそんなふうに言ってしまったのだった。

もちろん微笑を浮かべながら優しく言ったのだが。

実はその男にはそれまで同じ場所で2回会っていた。

最初のときは何げなしに受けとってしまったキャバクラのチラシだったが、二回目は黙って素通りして受けとらなかった。

そしてその夜が三回目だったのである。

一回目は出会いがしらに受けとってしまったのが、二回目、三回目は受けとらなかった。
何故なのだろうか。

もちろん前と同じモノだからということもある。

でもそれだけではない。

その理由は、三回目のときの私のセリフでもわかると思うが、その男の渡し方がいかにも下手くそだったからである。

いきなり近寄ってきたと思うと、笑顔もみせず無表情で、黙って私のほうへ向かってチラシを突き出すのである。

それを見て私は一瞬「なに、この下手な配り方は。今時こんなチラシ配りも珍しい」と思ったのである。

私は前々からチラシ配りについていろいろと思っていた。

つまり、同じ時間をかけても配り手によって消化量は大いに違うだろうとか、配らせる前に徹底的にマナーやテクニックについて指導すべきだとか、声が大きく明るい人を採用すべきだとかなどについてである。

今回の姫路駅前で会った男はそれら必要要素のいずれも持ち合わせていなかった。

したがって成果もまったく上がらなかったのに違いない。

これまでに私が出会ったチラシ配りの人にはいろんなタイプの人がいた。

例えばJR大阪駅前では踊るようにタップを踏んでくるくる回りながら宣伝用ティッシュをくばる男の人。

また神戸元町駅前では店の名前の入った黄色い制服をきて、いつも万面に笑顔を浮かべてた楽しそうにチラシを配る若い女の人など。

それほどに個性を出し、テクニックを使わないと今時の歩行者はチラシなど受け取ってくれないのである。

それ故に、今やチラシ配りと言えども体と頭をフルに使わなければ勝負にならない時代なのではないだろうか。

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