10年以上前になるが、高校英語「NEW HORIZON」(Ⅱ)の教科書に今でも忘れられない印象的な記事が載っていた。
それは本日のブログテーマの「Space speaks」と題した、人が会話するときのお互いのスペースには「国によって違いがある」ということが主な内容の読物である。
それまでそんなことを聞いたことも、また意識したことも無かったので私にはすごく新鮮で魅力テーマに思え、読んだ後には少なからず感銘を覚えたものだ。
内容はざっとこういうものである。
このアメリカ人の著者は、ある時外国からの外交官の訪問を受けたのだが、その時のエピソードを綴ったものが今回の話である。
「その南米から来た外交官は私と話し始めると、次第に私のほうへ少しずつ前進して間隔を狭めようとした。
私としてはそれにつれて後ずさりをはじめ、もとの間隔を保とうとした。
すると彼は『何で後ずさりなんかするのだろう、私は友好的に話し合うために近寄っていっているだけなのに』とでも思うかのように、怪訝そうな表情をして、しだいに話しにくそうなそぶりを示し始めていた」
著者としては自分が話しやすいと思うスペースを保とうとして「21インチ」ほど後退しただけなのだが相手はそれを理解しなかったのである。
そのことについて後になって、会話のときの心地いいスペースというのは国によって違いがあるのではないかと気づいたのである。
つまり自分たちが心地よいと考えているスペースは違う国の人々には必ずしもそうでなく、むしろ話し憎くて、心地悪いと感じるのかもしれないというふうにである。
例えば南米の人は一般的なアメリカ人より狭いスペースを心地よいと感じるようだが、逆にそのスペースで会話を続けることはアメリカ人にとっては好ましい状態でなく、むしろ不快感さえ感じるのである。
著者はまた次のようにも綴っている。
「一般的にアメリカ人はごく親しい人との会話を除いての普通の会話では、だいたい2〜3フィーとの距離を保っているいる。
でもラテンアメリカの人々はそれでは間隔が空きすぎると感じるので次第に前進して間隔を詰めてくるのである。
そしてアメリカ人はというと、そんなに間隔をつめられるのは馬鹿にされているというふうに感じ、後ずさりするのである。
でも決して彼らは前進することを止めないので、最後は机の下にもぐってでも間隔を保たざるを得なくなってしまうのである」
最後の部分は著者のジョークであろうが、「Space speaks」というこの話、中々興味が涌く含蓄ある内容ではあった。
さてわれわれ日本人が好む会話の際のスペースはいったいどれぐらいなのであろうか。
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