昼を少しまわったころ、チャーリーのカフェを出て、来た道をエセルのアパートの方へ戻っていった。
でもアパートは通り過ぎて、やや下り勾配のストリートをハドソン川のほうへ向かって歩いていった。
マンハッタンで最も西側のアベニューであるウエストエンドの交叉点を渡ると正面に急角度の階段があって、それを20段ほど下りると公園の入り口がある。
そこはリバーサイドパークといってハドソン川とウエストエンドアベニューにはさまれた延々数十ブロックの大公園である。
私は朝夕となくこの公園を散策するのが好きだった。
こちらへ来て間もないころ、一日がかりでマンハッタンの街をあるいたことがある。
そのとき驚いたことは、天を突くようにそびえ立っている高層ビルの数もさることながら、この街にある公園の多さと広さである。
歩いても歩いても尽きることのないセントラルパークは別格として、街のいたるところ広くて緑豊かな公園がある。
ニューヨークといえば、ともすれば人種のるつぼとか、摩天楼とかだけが前面に出たがるが、それにも増してPRされてもよいのが、この公園の数と大きさではないか。
その頃の私はこの街についてそんなふうに思っていた。
公園に沿ってハドソン川が流れている。
水量が多くて、いかにもゆったりとした流れである。この川を一日何回かのマンハッタン島一周の遊覧船が通る。
周囲を海と川に囲まれたマンハッタンは、この船に乗るとうまく一周できるようになっているのだ。
いったい船から見るマンハッタンはそんなものだろう? きっとすばらしいに違いない。
前々から一度この船に乗ってみようと思いつつ、まだ果たしていない。
早く乗ってみたい! 来るべきその時のことを想い私の胸は弾んだ。
川の対岸にはニュージャージーの街並みが広がっている。
高層ビルのマンハッタンに比べると低い建物が多く、緑も豊かで、いかにも閑静な住宅地であることがこちら側からもうかがえた。
チャーリーの話では、このところ犯罪の多いニューヨークから、このニュージャージーへ移り住む人が多いそうだ。
そのことをニューヨーク市長は大変残念がり、防止するのにやっきになっているとのことである。
市長ならずとも、市民なら誰しも残念に思うだろうと、このことに関しては私とチャーリーの意見は一致していた。
to be continued
0 件のコメント:
コメントを投稿