2012年7月30日月曜日

低賃金と過酷な重労働にあえぐアジアの労働者 ・書評 「ワーカーズ・労働をめぐるアジアの旅」 久遠 智彦著 現代書館


 この本はアジア各国で、主に下層階級に属する人々の仕事について、著者自身がその中で一緒に働いた体験をもとに、

低賃金と重労働に苦しむ彼らの日常の様子を包み隠さず赤裸々に書いたルポである。


 著者は新進のルポライターであるが、現地での様々な人々の中で、厳しい仕事を体を張って体験しながら、

人々と次第に交流を深めていき、温かい気持ちで彼らを見つめている。


 またこの本では、現在アジア各国が抱えている、言わば恥部とも言える様々な社会問題についても

その深刻な現状に鋭く迫り、問題点を赤裸々に描き出している。


 それらの社会問題とは、たとえば「フィリピンの武器密造」、「タイのエイズ問題」、「バングラディッシュの490万人にも及ぶ児童労働者」などである。


 下にこの本の目次を掲げているが、アジアの下層階級の人々が従事する仕事といえば、賃金の驚くほどの安さもさることながら、その労働の過酷さは筆舌に尽くしがたいほどのものなものである。


 同じアジアの同胞として、彼らに比べると仕事面では格段に恵まれていると思われる私たち日本人には、大いに考えさせられる一冊である。


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この本は

「労働」でしか知りえなかったアジアの現実を新進気鋭の日本人ジャーナリストが描く。渾身の体験ルポルタージュ」 

                である。

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目次

第1章 フィリピン(ゴミの山の中で働く者たち、銃の製造現場を歩く 、過酷なバナナ集荷労働者)

第2章 タイ・カンボジア(孤独病としてのエイズ、国境を越える性 ほか)

第3章 インドネシア(山岳での硫黄運搬・汗と生命力、 被災の特効薬 ほか)

第4章 バングラデシュ(幼き労働者たち、廃船哀史 ほか)

第5章 インド(彷徨える宗教家、聖者受難の時代 ほか)

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著者について

久遠 智彦
1972年、福島県生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。広告代理店、専門紙記者を経てノンフィクションライターとして独立







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