書評 「ブルーハワイ」 燃え殻 新潮社
この作品の中で著者はこのエッセイ集について「単なる日記じゃないか」と、ネットの書評レビューに書き込まれていたのを見て「ひどく落ち込んだ」と書いている。
「単なる日記」そう言われてみれば当たっているような気もする。その日出会った人、行ったところ、過去の些細な出来事、などを思いつくままに綴っていて、いうなればどうでもいいようなテーマが多いのだ。
それらをこの作者特有の感性で上手にまとめている。つまり切り口の良さと味付けの上手さで素材の弱点をカバーしていて、何とか人に読んでもらえる作品に仕立てているのだ。
まあこれも才能あってのことだろう。この著者のエッセイを読むのはこれで5冊目で、発行順に並べてみると
『すべて忘れてしまうから』(2020年7月、扶 桑社 )
『夢に迷って、タクシーを呼んだ』(2021年3月、扶桑社)
『それでも日々はつづくから』(2022年6月、講談社 )
『ブルー ハワイ』(2023年8月、新潮社 / 2026年3月、新潮文庫)
『愛と忘却の日々』(2024年9月、新潮社)
となります。さてこれらの作品の評価ですが、私個人的にいちばん良かったのは「すべて忘れてしまうから」で、二番目が今回の「ブルーハワイ」です。
やはり最初の作品はネタも豊富でしょうし、気合の入れ方も違いますから高評価も頷けます。
では4番目に出した「ブルーハワイ」は、というと、2作目、3作目の評価がイマイチだったことを反省し、モチベーションを立て直し、気合を入れて臨んだからなのではないでしょうか。
あくまで私個人の勝手な推測ですが。
出版社内容情報
「週刊新潮はこの連載から読む」という中毒者、増殖中。待望の大人気エッセイ集。ふとしたきっかけで甦る記憶の数々。淀んでいた会議の空気を変えた女の子の大ネタ、僕が放った2点の答え(1000点満点中)、「串カツ田中」が恋しくなった縛りのキツい店、J-WAVEに寄せられたお悩み相談、母の決まり文句、祖母の遺言、柴犬ジョンの教え……ギスギスした日常の息苦しさを解きほぐす一服の清涼剤。
内容説明
週刊新潮、大好評連載。中毒者、増殖中!大人気エッセイ集。
目次
花火って途中で飽きるよね
愛には人の数だけ種類がある
はい、百九十万円
将来は南米に行くと思う
『ヌードの夜』、竹中直人さんに会った
五反田セブンスター
大橋裕之 マンガ「イラスト制作裏話」
僕はそのときずっと天井を見ていた
知らない町の知らない店のスタンプカード
首筋に芋虫
強みは誰にでもある、お金に繋がるかは別として
まあるくなって眠る、真っ白い猫
ドライブ・マイ・カー事件
仕事はできないが、嫌いになりきれない後輩
人間関係の果ての果ての姿
五万の傘が五分で壊れた
毎回同じで飽きませんか?
二十人以上のアイドルのサインを書けた先輩
座席すこし倒してもいいですか?
ちょっとスペース・マウンテン三回乗ってくる〔ほか〕
著者等紹介
燃え殻[モエガラ]
1973年生まれ。2017年『ボクたちはみんな大人になれなかった』で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
出典:紀伊国屋ウェブ