2019年9月25日水曜日

この本のタイトルがユニークだ!・ 「矛盾、誤謬、詭弁、強弁、偽善、屁理屈 」 久野五郎・著 東京図書出版

 
本はタイトルで売る、と言いますが、この本のタイトルを見て、ウーンと、うなる人は多いのではないでしょうか。
 
六つの単語を無造作に並べた実にシンプルなものですが、いずれの単語もどちらかといえば硬派で地味なものばかりです。
 
その羅列のシンプルさと単語の取り合わせの妙とでもいうのでしょうか、実に魅力的に感じるのです。
 
見た人は思わず手にとって、中身を覗いて見たくなるのではないでしょうか。
 
 
矛盾、誤謬、詭弁、強弁、偽善、屁理屈 」とはどんな本なのか
日本語における複雑な概念の「曖昧」を探求した作品。 非形式的な「誤謬」が、いろいろな場面で使用されていることを解説。
 政治や司法からの国民性に至るまで、その日本社会への浸透を探る。 議論や論証に使われる基本的な言葉の定義/情報伝達(コミュニケーション)・会話・議論/種々の分野で見られる誤謬/三段論法/誤謬の小歴史、論理方法の応用での誤謬の理解、社会での益、利用及び現状
筋の通った話し方、考え方、説明の仕方や行動の大敵。政治や司法から国民性に至る迄、その日本社会への浸透を探る。

出典・BOOKデータベース

 

著者・久野五郎さんについて
 
1940年大阪府堺市に生まれる。1963年北海道大学農学部卒業。1967年カリフォルニア大学(バークレー校)科学修士。1970年オハイオ州立大学理学博士。
米国連邦政府疫病センター(Centers for Disease Control and Prevention又はCDC)でウイルス研究員として勤務。退職後現在コロラドに在住

出典・BOOKデータベース

 

この本の基本情報

· 発売日:  201907
· 著者/編集:  久野五郎 
· 発行元:  東京図書出版(文京区) 
· 発売元:  リフレ出版 
· 発行形態:  単行本
· ページ数:  310p
· 価格: 1620
· ISBNコード:  9784866412436
 

2019年9月20日金曜日

この女性作家のエッセイ集がすばらしい ・『夢のなかの魚屋の地図』井上荒野・著 集英社 2017年

 

 
 
女流作家のエッセイ集は、これまで山田詠美、角田光代、江国香織、三浦しをん、などの作品を読んできました。いずれも雑誌や新聞などに掲載した単発の作品だと、良いな、と思うものもありました。
 
しかしながら一冊にまとめられたエッセイ集になると、良いと思われる作品は少なく、「これが一流作家の作品なのか?」と疑問に思うほどの駄作といっていいつまらない作品が多くを占めているのが通例でした。
 
男性作家なら、例えば浅田次郎、山田風太郎、池波正太郎など、すばらしいエッセイ集があるのに、なぜ女性作家(エッセイストを除く)にはそれがないのはなぜだろう?と、これまでいささか疑問に思っていたのですが
 
今回この作品に出会ってそうした疑念が一掃された思いです。それほどこの作品がすばらしかったのです。
 
 
井上荒野は 父親・井上光晴のDNAを引き継いだ才能豊かな作家
 
井上荒野さんは言うまでもなく往年の大作家・井上光晴氏を父に持つ二世作家です。
 
一般的に二世作家は親を凌ぐほどの力を持っている人は少く、親の七光りといわれる存在である場合が多いのですが、井上荒野さんに限ってはそうはいえません。
 
井上光晴氏の作品をそれほど読んでない身としては断言はできませんが、彼女ほど、親の遺伝子をしっかり受け継ぎ確かな才能を発揮している作家も珍しいといえます。
 
それができたのも親子としての確かな結びつきがあったからに違いありません。このエッセイ集に出てくる父親のことを綴った多くの作品を読めばそれがよくわかります。
 
今回の作品については、自分で書評を書くより下に掲げた書評を読んでいただけると、この「夢の中の魚屋の地図」というエッセイ集がいかに優れた作品であるかをよく理解していただけるものと確信します。
 
ご紹介するのはネットで見つけた一遍の心打たれる感想文です。
 
 
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『夢のなかの魚屋の地図』
井上荒野・著(集英社 2017年)
 
 1時間以上電車に乗る予定がある、15分以上友達を待つ、天気の良い日に窓の大きなお店でお茶を飲む時のお供が欲しい、あともうちょっと家に帰りたくない。小さな理由をいくつも見つけて、私はしょっちゅう書店に寄る。
 けれど、あと1時間を一緒に楽しく過ごしてくれる本がなかなか見当たらないこともある。
 そういう時に、この人の本なら買ってみよう、と思う作家を何人か、頼りになる素敵な人として覚えている。
 その一人が井上荒野さんだ。
 短編のアソンソロジーや、文芸雑誌で読んだ文章を気に入ったのがきっかけで、どんな人かも知らないまま何冊か小説を読んでいた。
 井上荒野さんのエッセイ集を文庫で見つけて、街中で友達を待つ間、小さいコーヒーテーブルで読み始めた。
 20分ほどの間、子どものころの悩みや良い小説との出会いなどが綴られている冒頭で、これは面白い、井上荒野さんはこのような人だったのか、とあっという間に待ち時間が過ぎ、友達に会い、帰り道で電車に乗ってまた読み始めたら、井上荒野さんとお父様のことを書いたエッセイに、不意をつかれてボロボロと泣いてしまった。 本には、お父様がご病気になったことや、お父様と同じ職業である小説家になった気持ちなど、濃厚な話もたくさんあったのだけれど、私が不意をつかれたのはとても小さな挿話だった。
 お父様の書斎には、小説を書く時に使う大学ノートが大きなダンボールに百冊単位で購入してあって、幼い井上荒野さんが、ノートを貰いに行くところ。 ---勝手に持っていっても怒られはしないが、わたしはなるべく、父が部屋にいるときに調達するようにしている。ノートちょうだい。一冊でいいのか。それから父は必ず、待て、待て、といってノートをわたしから取り上げる。手を切るぞ。店先に並ばずにきたノートの表紙は端が鋭く尖っていて、うっかり触れると指の腹がスパッと切れることを言っているのだ。
 父は辞書を持ち出し、その堅い背表紙でノートの端をとんとんとたたく。そうやって鋭い角を潰していくのである。--- 私の父はまだ元気で、仕事も続けているが、イラストを描く仕事をしているから、父はいつも家で仕事をしていた。
 そして、仕事柄、父の小さな仕事部屋には、薄いトレーシングペーパーから、黄色味がかった水彩用の画用紙、コピー用紙の束、水張りをする木の枠や大きな紙、掴みきれないほどの色鉛筆、カラーインクやカラーペン、アクリルガッシュ、スクリーントーン、あらゆる紙と文房具がいくらでもあった。
 私も小さいころ、ちょっと何か描きたくなるたびに、父の部屋のドアをノックして、好きな紙を貰いに行っていた。
 部屋中に積み上がる本や、まだ何も書かれていない紙たち。
 他のどんなことよりも、絵にまつわることを聞くといそいそと教えてくれる父の様子。
 井上荒野さんのエッセイから、紙に囲まれて机に向かう父の姿が一気に浮かんで、電車の中で涙と鼻水を慌てて拭いた。井上荒野さんのお父様も、父も、娘が声をかければ紙の向こうから振り向いてくれる。私たちは紙やノートを貰って好きなものをかく。 全く意図していないときに、自分でも忘れていた原風景のようなものが目の前に現れる時、読書の楽しさで胸がいっぱいになる。
 電車の中でひとり、泣いて慌てながら、私はとても楽しくて嬉しかった。
 自分にとって特別なものになる文章は、いつでもどこかの本の中で、こっそり待っていてくれる。  
 
 
  山本彩 YAMAMOTO AYA グラフィックデザイナー 
(出典) LANDOM LIBRARY  山本彩 
 
 
【著者情報】(「BOOK」データベースより)
井上荒野(イノウエアレノ)
1961年東京生まれ。成蹊大学文学部卒業。89年「わたしのヌレエフ」で第1回フェミナ賞を受賞。2004年『潤一』で第11回島清恋愛文学賞、08年『切羽へ』で第139回直木賞、11年『そこへ行くな』で第6回中央公論文芸賞、16年『赤へ』で第29回柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
 

2019年9月16日月曜日

老後には1億円必要というファイナンシャルプランナーもいる ・FPが老後不安を煽る理由とは?

 
老後2000万円問題!
TV人気者 マツコは「それぐらいは持っているわよ」と、平然と言ってのけるが、あなたはどうか?
 
老後2000万円問題が世間を騒がせています。つい先日のテレビのバラエティ番組(8月14日夜)でも、人気タレントマツコ・デラックスが

同じく人気タレント志村けんの「2000万円ぐらい貯まった?」という質問に対して「それぐらいはあるわよ。こんなに忙しいんだもの」と、さも当然そうに応えていました。
 
これでも分かるように、いまどきの2000万円はTVの人気タレントにとってはそれほど桁違いの金額でもないようです。
 
しかしこれが一般庶民だと話は違います。最近の調査によりますと、すでに貯蓄額が2000万円以上保有している割合は、全世代平均では15.0%、年代別では29歳以下0.3%、30歳代2.5%、40歳代7.6%、50歳代14.8%、60歳代22.3%、70歳代18.6%、80歳以上18.1%となっています。
 
若い世代ほど少ないのは当然なのですが、高齢真っ只中にある70~80歳代でも18%前後しかクリアーしていません。要するに2000万を所有している高齢者は全体の5分の1もいないのです。
 

 こうした現実を知ってか知らずか、ファイナンシャルプランナー(FP)の一部に、老後には5000万とか1億必要と、盛んに煽る人がいるのは何故なのでしょうか?
 
 
ファイナンシャルプランナーが庶民の蓄財を煽るのは自分の仕事のため
 
こうした「老後不安」をシミュレーションしているFPという資格を活かして仕事をしている人はどうやってお金を稼いでいるのでしょうか。
お金のスペシャリストと呼ばれるFP達は、
  ・保険の見直し(増額)
 ・住宅や教育ローンの借換
・投資などの加入斡旋
 ・退職金や余剰金の投資指導
 
など、マネープランに関する人生設計の相談に乗り、コンサルタントとして指導することで相談料をもらうと同時に、提携する保険やローン、投資を扱う保険会社や銀行などからマージンをもらうことで、報酬を得ているです。
言い換えれば高齢者に老後の不安をちらつかせ、「保険に加入しようかな」「保険を見直そうかな」「iDeCoや投資でも始めようかな」などと思わせるように仕向け、実際に行動をとらすようにすることを目的にしているのです。
 
FPだけではない、老後2000万円問題は、金融セールスマンの格好のセールストーク
老後不安を感じている高齢者を利用しようとしているのはファイナンシャルプランナーだけではありません。
 
今回の2000万円問題は金融や保険、それに投資などにかかわる営業マンにとっては、セールストークの格好の題材として利用されることが予想されます。
 
なにしろ国が老後に2000万円必要と言っているのですから、これほど説得力抜群のセールストークはありません。
「なんとしても2000万円作らないとあなたの老後はない」、と強く相手に迫ることができるからです。
そのためには保険の増額や投資信託などの金融商品の運用、さらにぱはアパート経営などの不動産投資が必要と、セールスマンたちが強い調子で勧誘の手を伸ばしてくるのです。 

老後2000万円話は詐欺師をも元気づける?
セールスマンだけではありません。取締りが厳しくなって次第にやりにくくなってきた振り込め詐欺など特殊詐欺グループは、今回の2000万円問題に目をつけた、新しい詐欺のネタにこれを利用してくるのは明らかです。
厳しい取締りのおかげで振り込め詐欺の力が弱まってきたと思ったら、2000万円問題のおかげで、また詐欺師が元気を取り戻し、高齢者を騙そうと迫ってくるのは目に見えています。
 
 

2019年9月13日金曜日

マイブログ10周年記念・アクセス数400越え170記事のご紹介(その9)☆最終回


(記事名、Url,アクセス数)
 
 
・今この本がユニークだ ・ 書評「君に世界との戦い方を教えよう」 田村耕太郎著 講談社  http://tuneoo.blogspot.com/2013/04/blog-post_29.html  1495
 
・週刊ポストに載った驚きのデータ ・ 自衛隊員配偶者 外国籍800人で中国600人、上位に比・韓国 https://tuneoo.blogspot.com/2013/04/800600.html 2071
 
・近頃よく聞く ・ ”男前女子”とは
 
・えっ 日本料理が総合1位! ・ 2013 世界料理ランキング 
 
・このデータがおもしろい ・ 自衛官、消防官、警察官 出身大学ランキング
 
・電子足輪とは何だ!・ 有名芸能人に初の電子足輪装着命令 性的暴行で=韓国
 
・勝海舟も信奉した「六然訓」とはどのような教えなのか
 
・日本一の豪雪地帯 ・ 山形県大蔵村 今年の積雪量は
 
・大学生の喫煙率 ・ 偏差値と喫煙率は見事に一致する
 
・甲子園球場はなぜドームにしないのか?
 
 
 
 
 
 

2019年9月10日火曜日

今回の受賞作は「むらさきのスカートの女」だが、芥川賞作品の書評を書くのはつらい

 
芥川賞受賞作品を読む人が心しておきたいこと
 
芥川賞受賞作品は毎回雑誌「文藝春秋」誌上で発表されますが。そもそもこれが問題のもとなのではないでしょうか。
 
といいますのは文藝春秋は国民的雑誌ともいわれるように古くから多くに人々に愛されてきた雑誌で、いまどき珍しいぐらいの4~50万部もの発行部数を誇っている人気雑誌です。
 
総合雑誌だけに内容は偏っておらず、多くの人が関心を持つだろうと思われる話題が記事として取りあげられているスタンダードな雑誌と言っていいのではないでしょうか。
 
また教養雑誌とも呼ばれるだけあって、知的好奇心をくすぐるようなインテリジェンスを刺激する記事も少なくなく、それゆえに多くの知識人にも愛されています。
 
こうした雑誌に芥川賞受賞作品が掲載されることが問題があるのです。でも何故なのでしょうか?
 
 
芥川賞受賞作品は雑誌「文藝春秋」誌上で発表されるが
 
いまさら云うまでもありませんが、芥川賞は直木賞と並ぶわが国の文芸作品に与えられる最高の賞です。
 
それだけに毎年2回(3月と9月)の発表時には多くのマスコミに取り上げられ華々しく報道されます。その結果当然人々の関心の的になります。

それゆえに話題として広く庶民の間まで普及していき、この期間に限っては普段はあまり文芸に関係ないような人たちの間でも話題にのぼるぐらいです。

 
つまり「今回の芥川賞で話題になっているあの作品読んだ?」とか何とか。

ふだんあまり本を読まない人たちでさえ、こんなふうに話題にするのですから、日ごろから本好きを自認する人たちが放っておくはずがありません。
 
ましてや文藝春秋誌上で発表されるとあって、そうした人たちは書店に走り飛びついて読むのです。

問題があるのはこの点なのです。それは他の雑誌に比べて文藝春秋の発行部数は桁違いに多いからです。
 
雑誌が売れない昨今なのに、文藝春秋に限ってはコンスタントに40~50万部売れているのです。

ということは少なくとも4~50万の人々が、真っ先に芥川賞受賞作品を目にすることになるのです。

この4~50万人という数が問題なのです。
 
 
芥川賞の対象になる純文学の愛好者は極めて少ないのに
 
上で芥川賞の受賞作品は少なくても4~50万人の文藝春秋読者が目にする、と書きました。4~50万人は大きな数ですが、まずこの数を念頭においてください。
 
次に上げたいのは芥川賞の対象になる純文学愛好者の数についてです。

芥川賞受賞作品は一般的に純文学誌に掲載された作品が選考の対象になります。純文学誌で代表的なものは五大文芸誌ともいわれる、文学界、群像、文藝、すばる、新潮などです。

ではこれらの雑誌の発行部数はといえば、各々がいずれも1万部以下です。ということは5誌すべてあわせても、いいとこ3~4万部でしかないのです。

これを文藝春秋の4~50万部と比較すると、なんと10分の1でしかないのです。問題はこの点です。

つまり、わずか3~4万人しか愛好者がいない純文学作品を純文学には特に関心のない4~50万人もの文藝春秋読者が読むことにあるのです。

結果は明らかです。読んだ人のほとんどが、理解できない、面白くない。と思うのが普通なのです。

なぜなら芥川賞受賞作品は純文学マニアやおたくたちが対象のものであって、一般の人には無縁な作品が多いからです。

それなのに文藝春秋のような一般の読者の多い総合雑誌で発表するからミスマッチによる誤解が生ずるのです。 
 
 
芥川賞受賞作品は誤解されるのはマスコミの取り上げ方に問題があるから
 
要するに芥川賞は純文学愛好者というマニアやオタクと対象にしたマイナーな文芸作品がターゲットになっているのです。
 
狭い範囲のマニアやオタクしか理解できないものを、一般の人が好むわけがありません。
 
その理屈を無視して、マスコミが芥川賞を必要以上に取り上げて宣伝することにも問題があります。
 
その結果ベストセラーとなって、売れなくても良いものが売れてしまう馬鹿げたことが起こるのです。
 
芥川龍之介は嘆いているに違いありません。

というわけで、今回の受賞作「紫のスカートの女」も、わたしも含めて、多くの一般の人にとっては、わけの分からない作品としか思えないに違いありません。
 
 

2019年9月6日金曜日

恐るべきアフリカゾウ密猟と日本との関係


世界で唯一象牙のハンコ(印鑑)を使う日本人が注目すべき本

牙(きば)アフリカゾウの密猟組織を追って 三浦英之 小学館
 
 
牙(きば)とはどんな本なのか 
 
アフリカゾウ虐殺の「真犯人」は誰だ!?

アフリカで、年間3万頭以上のゾウが、牙を抉り取られて虐殺されている。
野生のゾウは絶滅の危機に瀕し、今後十数年のうちに地球上から姿を消してしまうと言われている。

その犯人は、象牙の国際密猟組織。
元アフリカ特派員の筆者は、密猟で動くカネが過激派テロリストの資金源になっている実態に迫り、背後に蠢く中国の巨大な影を見つける。

そして問題は、象牙の印鑑を重宝する私たち日本人へと繋がっていく。

密猟組織のドン、過激派テロリスト、中国大使館員、日本の象牙業者。
虐殺の「真犯人」とは、いったい誰なのか――


選考委員満場一致の第25回「小学館ノンフィクション大賞」受賞作。

高野秀行(ノンフィクション作家)
「ショッキングな現実が勢いある筆致で描かれ、『ザ・ノンフィクション』の醍醐味がある」

古市憲寿(社会学者)
「実は日本が加害者だった? ゾウと我々の意外な関係性が明らかになる」

三浦しをん(作家)
「私は、今後も象牙の印鑑は絶対作らないぞと決意した」

(20195月発表作品)
 
出典・グーグルブックス
 
 
日本は世界一の象牙消費大国
 
日本は世界で唯一の印鑑(ハンコ)大国ですが、なかでも象牙の印鑑は「幸運を呼ぶ」と云われ人気が高く、84年には日本だけで世界の象牙の約4割を消費しています。
 
そのため国際世論の批判が高まりましたが、にもかかわらず、今でも日本では象牙の国内市場が維持されています。
 
これには日本なりの事情があるのですが、今もアフリカで密猟が横行しているのは日本で象牙が売れるからです。もし売れなければ密漁もなくなります。
 
いま世界中で象牙の取引はやめよう、という流れがありますが、日本だけその流れに逆行しているのです。
 
この本を読んで「象牙の印鑑はぜったい買わない」と、感想をくれた読者がいたのは嬉しかったですね。(著者談)
 
出典・著者は語る 文藝春秋Book倶楽部