2018年10月28日日曜日

言葉は移り変わる ・ 新語辞典があれば死語辞典もある

世の中の変化と同じように言葉も移り変わる


世の中のあらゆるものには移り変わりがありますが言葉も例外ではありません。

言葉の世界では新しく出た言葉を新語と言うのに対して古くから使われているものは古語といいます。その古語がさらに古くなって使われなくなると死語になるのです。

あるエッセイ集を読んでいたらある歌人の方が書いた作品に「たとえ一生に一度しか使わなくても、言葉は断捨離すべきではない。」という一節がありましたが、わたしはこの意見には反対です。

上述のように新しい言葉が次々に生まれ、古くなった言葉は人々に使われない死語として扱われるのは万物の移り変わりの上から致し方ないことなのです。

とはいえ言葉にも寿命に違いがあります。それゆえに簡単には死語にならないものもたくさんあります。言葉の寿命は人間の生命よりはるかに長いのは間違いないでしょう。

人それぞれに死語がある


言葉は数えきれないほどたくさんあります。それ故に死語辞典とはいえ一人の著者が作ったものだと思いつかない言葉も多く出てくるのは仕方ないことでしょう。

それは一人一人が異なった死語を持っているからなのかもしれません。つまり人それぞれに死語があるのです。

わたし個人としても、時々「この言葉長い間使っていないけど、ひょっとして死語になっているのでは?」と思う言葉に行き当たることがあります。

最近思いついたそんな言葉は次に三つです。


私が挙げる死語は 「夢の超特急」「夢の球宴」「北の大地」など 


・夢の超特急

新幹線ができてどれくらいになるでしょうか。早いもので今年でもう54年にもなるのです。
いまでは誰もが新幹線と呼びますが、できた当時は決してそうではありませんでした。新幹線とは別の呼び名があったのです。

それは「夢の超特急」というものです。超特急という言葉の前に「夢の」が付いたのです。

人々はこの言葉を「早く夢の超特急に乗ってみたい」「もう夢の超特急に乗った?」なとというふうに使っていたのです。

でも今こうした表現を聞くのは皆無です。開業当時は世界一のスピードを誇っていた新幹線も、今では世界中に同じような列車が走っており、中には新幹線のスピードを上回るものさえ出現しているからです。

今では新幹線も夢のように速い列車ではないのです。


・夢の球宴

夢の超特急に続いて、また夢の付く言葉ですが、これは単なる偶然です。夢の球宴と聞いて、それ何のこと?と、意味の分からない人は多いと思います。おそらく若年層の多くがそうなのではないでしょうか。

「夢の」の次に球宴がつくように、野球に関する言葉であり、プロ野球のオールスター戦のことを言うのです。オールスター戦が何故夢の球宴かと言えば、セパ両チームの名選手ばかりが一堂に会しており、一度に多くの一流選手を見ることができるからです。

でもこれはセパ交流戦などなかったひと昔前の話であって、今では交流戦をはじめ、テレビを通じて有名選手を見る機会は多くなっています。

それ故にオールスター戦といえども少しも珍しくなくなったのです。したがって夢の球宴はもはや古い言い草でしかないのです。


・北の大地

北の大地と聞いて歌謡曲の題名なのでは、と思う人もいるのではないでしょうか。この題名の演歌があるからです。

でももっと大きな意味は北海道のことを言うのです。確かに北海道は広く大地の名前がふさわしいかもしれません。でも、こう聞くと何か未開の地と聞えなくもありません。

だとすると文明から遅れた未開の地ともとられかねません。でも北海道が未開の地とはとんでもないことです。

今では新幹線も通っており、札幌のような大都市では地下鉄さえ走っています。これを見ても北の大地はもはや古くさく感じ使うことに抵抗を感じます。


死語辞典にはどんな言葉が載っているのか


ウェブには数多くの死語辞典が載っています。代表的なものの一つには次のような言葉が死語として扱われています。

死語の一覧

ア~カ行
サ~ナ行
ハ行~


死語の一覧 : 出典 ニコニコ大百科

2018年10月23日火曜日

テニスの観客は質が高い ・ 観客の年収もプロスポーツで最高額



USオープン

米国のテニス観客、平均年収2000万円は本当か?


米誌フォーブスの記事によればテニスは年収の高い層が好むスポーツであることが企業広告獲得での強みとなっているとされています。

それをよくあらわすように、USオープンの観客の平均年収は161千ドル(約1952万円)にも達しており、その8割が大卒以上の学歴となっています。

以下はこれについて書いているフォーブスのUSオープンに関する記事です。

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USオープンの観客と年収に関する記事


フォーブスは昨年6月から1年間のプロテニス選手の年収を調査。そのランキングを発表した。テニスは数あるスポーツの中でも企業からの広告収入の多さで知られる。上位12名の賞金額の総計は7100万ドル(約86億円)だが、彼らの広告収入の総計は21600万ドル(約262億円)にのぼる。


米国ではバスケットボールや野球の人気に押され気味のテニスだが、ヨーロッパやラテンアメリカではサッカーに次ぐ人気となっている。ここにあげた12名の選手は10カ国にまたがり、そのうち5名が女性選手だ。

テニスはまた年収の高い層が好むスポーツであることも企業広告獲得での強みとなっている。USオープンの観客の平均年収は161千ドル(約1952万円)に達しており、その8割が大卒以上の学歴を持っている。


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テニスの観客の年収の高さが選手の広告収入に現れている


テニス選手の広告収入は他のプロスポーツに比べても群を抜いていますが、この理由も観客の年収が高いことから、テレビのCMなどでそれだけ高い効果が期待できるからです。

日本企業も負けじと、先ごろユニクロがフェデラー選手と高額の契約を行ったことにもそれが現れています。以下がそれに関する記事です。


フェデラーがユニクロと300億円契約 ナイキから転向


ロジャー・フェデラーは1998年以来、ナイキとスポンサーシップ契約を結んでいた。グランドスラムで歴代最多の20優勝を記録したフェデラーの起用は、ナイキに大きなメリットをもたらした。フェデラーもまた、この契約により推定15000万ドル(約163億円)の報酬を過去20年間で得ていた。

しかし、その契約が今年3月に終了を迎え、フェデラーが次のスポンサーに選んだのが日本のユニクロだ。72日の英ウィンブルドンのセンターコートに彼はユニクロのウェアに身を包んで現れた。
ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は声明文で次のように述べた。

「ユニクロとフェデラー選手との新しいパートナーシップは、テニスコート上のみに限らない。私たちは世界を良い場所に変えるというゴールを共有し、多くの人々をより豊かな世界に導いていく。ユニクロはフェデラー選手のテニス界における前進を支援するとともに、新たなテクノロジーやデザインを通じたイノベーションを推進していく」

ESPN
の報道や、テニスジャーナリストのVincenzo Martucciによると、フェデラーとユニクロの契約額は10年間で推定3億ドル(約333億円)に及ぶという。また、契約期間中に彼が引退した場合も、満額が支払われると報道されている。


出典・Forbes Japan

2018年10月19日金曜日

村上春樹氏が語る・「小説を書くのは簡単?な作業」


下に掲げた記事で、村上春樹氏は小説執筆について「登場人物が勝手に動いてくれるので、それを静かに見つめるだけだ」と語っています。ということはそれを文章にまとめるだけでいいことになり、聞きようによっては小説づくりはたいして難しい作業でないようにも感じます。でも小説とはそれほど簡単に書けるものなのでしょうか。

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小説を書くのはそれほど難しい作業ではない


村上春樹さんは6日、長編小説「騎士団長殺し」の英語版がアメリカで発売されるのを前に、ニューヨークで企画されたイベントに登場しました。
編集者の質問に答える形で英語で語った村上さんは「年齢を重ね、小説家であるとともに紳士であろうとしているが、トランプであると同時にオバマであるかのように難しい。

大事なのは、払った税金の額や過去のガールフレンドについて語らないこと、そしてノーベル文学賞について考えないことだ」などと、トランプ大統領を念頭にユーモラスな語りを披露し、会場の笑いを誘っていました。
また創作活動について聞かれると「登場人物はゼロから創作しており

登場人物がひとりでに動き始め、その様子を見つめるだけだ」

と述べたうえで「小説に集中すると、現実か非現実かわからないどこかに行ってしまい、深い地下、無意識の部分に入る。そして、また現実に戻ってくる」などと話しました。

村上さんは会場からの質問も受け、「怒ることはあるのか」と聞かれたのに対し、「不公平なことやハラスメントなどには怒りを感じます。しかし、小説を書くときには怒らないようにします」と応じていました。
村上さんが公の場で語ることは珍しく、訪れたおよそ500人のファンらが聞き入っていました。


出典・NHK NEWSWEB 201810月7日


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小説を書いていると、登場人物が勝手に動く、というのは本当なのか


小説など書いたことのない一般の人には想像もつかないことでしょうが、村上春樹氏に限らず、主人公が勝手に動きだす、というのは多くの小説家が語っていることです。

小説を書く上で最も大切なことはプロット(あらすじ)の設定です。これが上手くいってこそ良い小説を書くことができるのです。

良い小説とは読者が読んで興味をひく面白い小説です。この面白い小説を書くためにプロットの設定が大切なのです。

とは言え長編小説ともなれば、この設定は簡単なことではありません。これを考え出すのには長い時間が必要になり、下手をすると小説の執筆時間の大半を占めることになるかもしれません。

ということは、プロットの設定さえうまくいけば、それに沿って書けばいいのですから、後はスラスラ楽に運ぶことができるかもしれません。


小説は必ずしも決められたプロット通りには運ばない


これも多くの小説家が語っていることですが、実際に小説を書き進めていくと、あらかじめ決めていたプロットとは異なる展開になることが珍しくないのです。

でもいったいなぜそうしたことが起こるのでしょうか。ズバリ、これは登場人物が勝手に動き出すからなのです。

例えば探偵小説としましょう。ある日、主人公はプロットに沿って犯人の足跡を追います。プロットでは函館、札幌、旭川へ足を運ぶことになっています。ところが主人公はその通りの行動をせずに、急に思いついて函館から一気に根室へ飛んでしまうのです。

うなると、札幌や旭川がと回しになるだけでなく、筋書き自体が変わってくるのです。でもこれは悪いことばかりではありません。

長編小説の場合だと著者は文字数稼ぎに苦労しますが、主人公が勝手に動いてくれると、それだけ字数が増えページ数が稼げるからです。

それに村上春樹氏が言うように、主人公の行動をそのまま文章にすればいいのですから、執筆がそれだけ楽になるのです。






2018年10月15日月曜日

このデータに注目!・子供の長所として望ましいもの(5ヵ国比較)




   子どもは親によって育てられます。したがって心の成長も親の影響を強く受けます。つまり親の考えるように子どもは育つのです。親の考え方はそれぞれです。それ故に子どもの考え方も個人によって異なってくるのです。
  ここでは子どもの長所に対する親の考え方について、その異なり方を国単位で比較しています。


日本の子供は親の言うことを聞かない

このデータで最も注目すべきは「親の言うことにしたがう」という項目です。日本は最下位であるだけでなく、数値の驚くべき低さです。これはいったい何を意味しているのでしょうか。

言うまでもなくこれは日本の子供は親を尊重していないことを表しています。言い換えれば日本の子供は道徳心が薄いとも言えます。

道徳心の第一歩は自分を育ててくれて、一番身近にいる親を尊敬することです。親を尊敬すれば親の言うことを尊重してよく聞きます。これができない日本の子供は道徳心が欠如しているからなのです。

昔は決してこんなことはなかったはずなのに、どうしてこのような状況になったのでしょうか。その原因は明らかに道徳教育の欠陥にあります。学校や家庭での道徳教育が欠落しているがゆえに、子どもは堕落した周囲の道徳環境に悪影響を受けて道徳心を失っていくのです。


子どもの好奇心に目を向けない日本の親

大人に比べて子どもの好奇心は旺盛です。好奇心こそが子どもの夢を育み、成長への大きな糧になるのです。その好奇心に親が目を向けないということは、いわば子供の成長の芽を摘むことにもなりかねません。

好奇心とは周りの新しいことに興味を示すことです。その興味こそが物事の進歩の源になるのです。子どもの好奇心を育てなければ世の中のあらゆる進歩はなくなってしまいます。


「男の子らしさ、女の子らしさ」を尊重するのも日本人らしい

思いやりに次いで多いのが「男の子らしさ、女の子らしさ」です。こうした結果がでるのは、日本人の男の子と女の子のありようを明確に区別しているからです。

例えば「男は度胸、女は愛嬌」という格言がありますが、これに従えば度胸があるのは男の子で、愛嬌のあるのが女の子ということになります。でも昨今ではこれが逆転している、という説もあります。

男の子らしさ、女子らしさは外見に現れておりそれだけでじゅうぶんです。それをものの考え方という精神面にまで持ってくることはないのです。そうした考え方をするからこそ、日本社会で女性の活躍が遅れてくるのです。



「思いやり」が欧米に比べて高い日本

各項目を見比べて気になるのは「思いやり」で日本が他国に比べて高い点です。

もちろん思いやりは悪いことではありません。思いやりとは自分のことばかり考える利己主義ではなく、他を思いやる言わば利他の精神を持つことです。利他の精神は美徳であり、これがあってこそ憎しみや争いが少ない平和な社会が実現できるのです。

とは言え、思いやりが行き過ぎるのは問題です。なぜなら常に自分のことを後回しにして他人のことばかりを優先して考えるようになり、人の動向を見てからでないと自分の態度を決められないようになるからです。

ということは自分の意思を尊重することが後回しになり、人の意見にばかり左右されることにもなりかねません。その結果、人の顔色を窺って自分の態度を決めるようになります。

こうした態度を続けるうちに次第に自分の言いたいことを言えなくなったり人の意見に反対できなくなっていきます。そして最終的には積極性や独自性を発揮できなくなってアイデンティを失うことになりかねません。

こうしたことが起こるのは思いやりを勘違いして、人のことばかりを気にして物事を考えるようになるからです。

欧米の人がしっかりしたアイデンティを持っているのは、日本人のように他人に対する思いやりを第一に考がえないことにも理由があるのかもしれません。


データ出典・社会実情データ図録



               

2018年10月9日火曜日

本当なのか! ≪食べると100%老け込む≫食品とは


あまりにもセンセーショナルなタイトルに驚いた!


現在発売中の月刊誌・文芸春秋10月号に非常に気になる記事(写真左)が載っていました。

記事のタイトルは「100%老け込む食品」というものですが、あまりにも過激でショッキングなもので、これを見て簡単にスルー出来る人は少ないのではないでしょうか。

なにしろ食べれば100%老け込むというのですから穏やかな話ではありません。

早速内容に目を通してみると、なんと挙げられた食品はすべてポピュラーなものばかりで、私たちが日常的に食べている食品ばかりではないですか。

こんな愛すべき食品が、老化するという原因で食べてられなくなるようなことがあっていいのでしょうか。もしそうだとすると、ただ事ではありません。


これが100%老化を招く食品ワーストスリーだ


格付け
食品名
牧田氏(記事の執筆者)のアドバイス
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カレーライス
白米に加え、ルーにつなぎとして使われる小麦粉やジャガイモなど糖質の多い具材が血糖値を上げる。今回の実験では、食後血糖値が180を超えた。食べたいときにはたんぱく質をトッピング。イカやエビ、貝類などの海鮮カレーであればAGEが少なく、血糖値を抑制できる。
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ポテトチップス
国立医薬品食品衛生研究所の調査である「最悪のAGE」であるアクリルアミドを最も多く含むことが分かった。どちらも、アクリルアミドの発生の条件である「120度以上の高温で食品原料を調理すること」に当てはまる。さらには血糖値を上げることで体内におけるAGEの生成も促進する。絶対に避けるべき食品。
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フライドポテト


※ワーストスリーに次ぐ食品12品目


メロンパン、ビール、バナナ、ざる蕎麦、ざるうどん、果汁100%ジュース、ポテトサラダ、コーンフレーク・グラノーダ、コーヒー飲料(無糖以外)、インスタントコーヒー、餃子、米粉パン

出典・文芸春秋2018年10月号「100%老け込む食品」

カレーライス、ポテトチップス、フライドポテトは本当に危険な食べ物なのか?


食べると100%老化するということは、死期を早めることにもつながりますから、上に上げた食品は危険な食べ物ということができます。

とはいえ、にわかには信じがたいのも事実です。なぜなら3つとも超がつくほどの人気食品であり、人々が愛してやまない食べ物ばかりだからです。

まずカレーライスですが、この食品は今や日本人の国民食とも言われほど超ポピュラーな食べ物です。しかも子供からお年寄りまで全世代に好まれています。

そんな食べ物なのに、これを食べると100%老け込む、とはまさに驚き以外の何物でもありません。

カレーライスだけではありません。次いでおやつで日常的に食べているポテトチップスが挙げられています。

いまやコンビニやスーパーのお菓子売り場で最もスペースが広いのがポテトチップスであり、この食品の人気ぶりをよく表しています。でもこの食品も食べると100%老化する、というのです。

さらにワースト3位にはポテトフライが上がっています。今や街のいたるところにあるマクドナルドへ行くと、店内でフライドポテトを食べていない人を探すのが難しいほどの超人気メニューです。

長い間多くの人に愛され続けられているこれらの食品を老化食品のワーストスリーだと言われても、人々には俄かには信じ難いのではないでしょうか。


カレーライスはトッピングに注意すれば食べ続けられるが、ポテトチップスとフライドポテトは?


上の表の記事執筆者牧田氏のアドバイスによれば、3食品とも老化の原因になる血糖値を大幅に挙げる食品に指定されています。

ただカレーライスの方は、トッピングに海鮮具材を乗せることでAGEを減らし血糖値を下げることができますから、その点だけ注意すれば、こちらの方は食べ続けてもセーフです。

しかしポテトチプスとフライドポテトはそうはいきません。なにしろアクリルアミドという最悪のAGEを最も多く含む食品であるだけに、老化したくなければ、これまでのように食べ続けるのは難しいようです。

さあどうしましょう。老けてもいいから食べ続けるか、それとも老けるはいやだから食べるのを止すかの二者択一に迫られています。

2018年10月6日土曜日

私小説作家・西村賢太の作品が面白いのはなぜなのか



西村賢太という小説家を知っていますか?


西村賢太と聞いても、まだ名前を知らない人が多いかもしれません。なにしろ芥川賞を受賞して世に出てまだ10年もたっていないからです。

グーグルで名前を検索してもヒットする情報もまだ123,000程度でそれほど多いとは言えません。

とは言え、この作家の作品のユニークさと面白さを褒めるサイトは少なくありません。芥川賞受賞作家で短期間にこれほど名前が売れた作家も珍しいのではないでしょうか。

それはひとえにこの著者のユニークな生い立ちと、本人が私小説家と自認して世に出した作品のおもしろさなのではないでしょうか。

最初に読んだのは随筆集「一私小説書きの独語」という作品


はっきり言って私が西村賢太という小説家を知ったのはごく最近のことです。知ったきっかけはベストエッセイ2016という本に作品が載っており、それが面白くて気に入りネットで情報を調べてみました。

その情報で2011年に「苦役列車」という作品で芥川賞を受賞した作家であることを初めて知ったのです。

その後図書館で作品を探してみるとエッセイ集が3冊ありました。その中の一冊が今回取り上げたのがこの作品です。

このエッセイ集には主に著者が中学を卒業して15歳で社会へ出て、四畳半のアパートで独り暮らしを始めた様子が詳しく書かれていますが、今どき中卒という身で社会の荒波にさらされる点が非常にユニークであり、レアであまり聞かない体験談だけに興味津々で読み続けることができました。

どんなところに興味が行ったかと言えば、大別すると以下で挙げるような点ではないでしょうか。

西村賢太の作品が面白い理由とは?


芥川賞受賞各品「苦役列車」をはじめとしてこの小説家の作品がなぜ面白いのか?
西村賢太全作品
を考えたとき、まず第一に挙げられるのはその生い立ちのユニークさです。


つまり今時滅多にない中学卒業の15歳で進学せずに家賃8,000円という四畳半の安アパートでひとり暮らしを始めた点です。

これが読者の最も興味を引くところですが、それに加え次に挙げる要素が読者をさらに惹きつけていきます。


・15歳で社会に出たことに対するシンパシー

著者が15歳の時と言えば、いわゆる高校全入時代とも言われていたはずで、それ故に中学卒で社会に出る子どもは極めて稀であり、それだけでも世間から注目をあびる存在でしょう。

15歳という心身とも未熟な身で、生きていくために港湾労働者として肉体労働に従事するさまは、周りの人々のシンパシーを誘わないはずがありません。

それだけに目が離せなくなり、同情がやがて興味の対象に変化していき読者は15歳の中卒の少年がどのように生きていけるのだろうか、と読者はハラハラしながら見つめていくのです。

・不幸話と自虐に満ちている

人の不幸は蜜の味と言われるように、人は他人の不幸な話を聞きたがるものです。

15歳で社会に出た著者は、間違っても幸せな生活など維持できず、いわば不幸の連続です。
肉体労働に明け暮れる不幸、四畳半一間の狭いアパートで明け暮れる毎日、安定しないパート勤務での暮らし、家賃のたび重なる延滞など、まるで絵にかいたような不幸の連続だが
作品ではそうした日常を包み隠さず綴っている。こうした自虐ともいえる苦労話が不幸話好きな読者の興味と共感を呼んでいるに違いありません。

・数々のトラブルに遭遇

不幸な生活はトラブルと背中合わせです。アパートの家賃延滞での家主とのトラブル、金の無心での母親との壮絶な争い、など、生きていくために避けることのできない戦いで15歳の少年はしだいにたくましくなっていきす。

・女と金の問題

15歳で社会に出た少年の頭の中は、金と女の問題で大方占められています。どちらの問題も男なら誰もが興味を持つことで、それ故に読者は惹きつけられて目が離せません。

・学歴コンプレックスを逆手にとる

上でも書いたように著者は中卒で社会に出て一人暮らしを始めた稀有なら経歴の持ち主です。
でも著者自身にこうした自身の経歴を卑下したり憐れんだりするところはなく、むしろ世間に対してその貴重価値を誇ろうとしており、これは学歴コンプレックスを逆手にとっているとも言えるのではないでしょうか。


・表現がストレートで赤裸々

著者は非常にストレートな表現ができる人です。対談か何かで語っていたのですが、若い女性に向かって「僕のアレは小さいよ」と堂々と言えるのだそうです。

また有名な話ですが芥川賞を受賞した後、まずやりたいことは?と問われた時「風俗へいきたい」と応えています。

このような男性の本能丸出しのストレートな表現ができることも、人気の要因かもしれません。



私小説の面白さは著者の経験の質と量に左右される


よく私小説は面白くない、という声を聞きますが、多くの読者が面白いと認めている西村賢太の小説はそうした声には当てはまりません。

とはいえ、面白くない私小説が多いのも事実です。では面白い私小説と、面白くないものの違いはなぜ生じるのでしょうか。ズバリ、それはそれを書く作家の経験の違いによります。

経験と言っても執筆経験ではありません。私小説のもとになる経験のことです。書く人の経験の質と量によって私小説の評価が決まってくるのです。

つまり人が聞いて珍しがるようなユニークな経験を多くしている人ほど面白い作品が書けるのです。さらにその体験の数が多ければ多いほど、面白い作品がたくさん書けるのです。

ということは、ユニークな経験の量が多いほど、多くの作品が書けますから、それだけ息の長い活躍ができるのです。

これで分かるように、面白い作品を書けない小説家は、経験の質が良くないだけでなく経験量が不足しているのです。



(西村賢太・プロフィール)

1967(昭和42)年、東京都生れ。中卒。

2007(平成19)年『暗渠の宿』で野間文芸新人賞、2011年「苦役列車」で芥川賞を受賞。刊行準備中の『藤澤清造全集』(全五巻別巻二)を個人編輯。文庫版『根津権現裏』『藤澤清造短篇集』を監修。

著書に『どうで死ぬ身の一踊り』『二度はゆけぬ町の地図』『小銭をかぞえる』『廃疾かかえて』『随筆集 一私小説書きの弁』『人もいない春』『西村賢太対話集』『随筆集 一日』『一私小説書きの日乗』『棺に跨がる』『形影相弔・歪んだ忌日』『けがれなき酒のへど 西村賢太自選短篇集』『やまいだれの歌』『痴者の食卓』ほか。