2020年2月6日木曜日

名作を読み直してみた(4) ・ 「雁」 森鴎外


明治の文豪 森鴎外の代表作の一つである。

明治時代の作家としては鴎外より10年ぐらい後に出て、自然主義を標榜した島崎藤村や田山花袋などに比べると作風はかなり異なる。

この作品も途中までは叙情的な文章で、お玉、末造、岡田などの登場人物が魅力的に描かれているが

一転して最後の方になって唐突に「サバの味噌煮」の夕食、「池の雁を殺して」食べるなどという脈略の乏しい場面が出現し読者を惑わしたりする。

もしかして鴎外はこの作品で一種の実験(小説)を試みたのであろうか。


あらすじ
誰からも美貌を認められたお玉だが、高利貸という職業がら世間から疎んじられる末造の妾になってしまう。
そんな自分の身を卑下しながら、いつも散歩で家の前を通る大学生岡田に密かに思いを寄せる。
ある日、末造が出張で遠出するのを幸いに、岡田に逢って切ない心の内を打ち明ける決意を固める。
ところが、その日岡田は一人ではなく、この小説の語り手である僕と一緒に散歩に出たため、お玉は話しかけることができなかった。
そもそも岡田が語り手と二人で散歩に出るはめになったのは、語り手の夕食に出たサバの味噌煮が原因である。
語り手はサバの味噌煮が苦手で、それに手を付けることなく、隣部屋にいた岡田を外出に誘ったのである。
その外出で池の傍にやってきて、池で遊ぶ雁に石を投げつけて殺してしまう。それを下宿に持って帰り料理して食べる。
一方、お玉に逢っても話も出来なかった岡田は、まもなく留学でドイツに旅立つ決心を固めている。
けっきょく岡田とお玉は親密な会話を交わすことことなく終わってしまう。
語り手の夕食に出てきた味噌煮がきっかけで岡田とお玉が別離し、おまけに雁を殺して食べるという奇妙な結末で終わっている。


映像作品


映画

1953年版 - 監督:豊田四郎、脚本:成沢昌茂、音楽:團伊玖磨、出演:高峰秀子(お玉役)、芥川比呂志(岡田役)、宇野重吉(木村役)、東野英治郎(末造役)、浦辺粂子(お常役)、飯田蝶子(おさん役)、小田切みき(女中・お梅役)、三宅邦子(お貞役)、田中栄三(お玉の父・善吉役)

· 1966年版 - 監督:池広一夫、脚本:成沢昌茂、出演:若尾文子山本学姿美千子小沢栄太郎山岡久乃水戸光子井川比佐志

テレビドラマ

· 1959年版
KR(現・TBS)系、脚本:小幡欣治、出演:森光子山内明御橋公小田切みき。『サンヨーテレビ劇場』(三洋電機一社提供)で放送。
NET(現・テレビ朝日)系、出演:岩井半四郎八波むと志、藤乃高子、小桜京子。『岩井半四郎ショー』で放送。
· 1962年版 - NHK、脚本:尾崎甫、出演:小林千登勢大町文夫巌金四郎石濱朗菅井きん
· 1963年版 - MBS系、出演:不明。『南海水曜劇場』(南海電鉄一社提供)で放送。
· 1974年版 - NET系、監督:河野寿一、脚本:成沢昌茂、出演:十朱幸代岡田裕介桑山正一浜村純水曜21:00時代劇女・その愛のシリーズ』で放送。
· 1993年版 - テレビ東京系、脚本:金子成人、演出:久世光彦、出演:田中裕子長谷川和彦石橋保吉行和子中野英雄木田三千雄櫻井淳子でんでん柴田理恵、ナレーション:加藤治子月曜21:00ドラマ日本名作ドラマ』(第1期)で放送(第1作目)。
※第31回ギャラクシー賞奨励賞受賞
· 1994年版 - フジテレビ系、演出:片岡K、出演:桜金造井出薫袴田吉彦

映画・映像の項 出典・ウィキペディア


2020年2月3日月曜日

ネット時代の人名の付け方・検索で判別されやすい名前でありたい


同姓同名はこんなに多い

(同姓同名ランキング)

1位
およそ5,300人
2位
およそ4,900人
3位
およそ4,800人
4位
およそ4,700人
5位
およそ4,600人
6位
およそ4,600人
7位
およそ4,400人
8位
およそ4,400人
9位
およそ4,300人
10位
およそ4,200人
11位
およそ4,200人
12位
およそ4,100人
13位
およそ4,100人
14位
およそ4,000人
15位
およそ3,800人
16位
およそ3,700人
17位
およそ3,700人
18位
およそ3,600人
19位
およそ3,600人
20位
およそ3,600人

      出典・名字由来ネット


同姓同名が多ければネット検索してもなかなか自分が出てこない

まず上の表を見てください。目につくのは佐藤さんや鈴木さんの数の多さです。当然のことながら日本人に多い苗字だからです。

次に気づく点はランキングに上がっている名前が、 弘、勇、誠のようにすべて1字であることです。

これで分かるように佐藤、鈴木のようなありふれた苗字(男子の場合)に1文字の名前をつけると、同姓同名の確率が非常に高くなるということです。

同姓同名が多ければネットで検索しても他人ばかり出て来てなかなか自分にヒットしません。

これではネット上でアイデンティティを主張することが困難になります。

ネット時代に重要なのは発信力だと信じて、せっせと売り込んだ自分の名前が同姓同名の他人の影に隠れて検索でなかなか識別してもらえないのです。

とは言え、先祖由来の苗字はどうしようもありません。気をつけたいのは組み合わせる名前の方です。


まず自分の苗字の数(位置づけ)を知る

(苗字ランキング)

1 佐藤(Satoh) 313,079
2 鈴木(Suzuki) 268,103
3 高橋(Takahashi) 226,090
4 田中(Tanaka)  205,560
5 伊藤(Itoh) 171,104
6 山本(Yamamoto) 167,767
7 渡辺(Watanabe) 166,831
8 中村(Nakamura) 163,789
9 小林(Kobayashi) 162,481
10 加藤(Katoh) 133,341

11 吉田 128,974
12 山田 126,630
13 佐々木 116,373
14 山口 100,516
15 松本 97,511
16 井上 92,339
17 木村 90,501
18 林 84,941
19 斎藤 84,052
20 清水 82,003


同姓同名が多ければネット検索では不利になる

ランキング20位までの苗字をあげましたが、驚くべきは同姓同名の数の多さです。

20位にあたる清水さんでも82,003もあるではないですか。これほど多いとネット検索で不利になるのは明らかです。

こうした苗字の人が検索で自分にヒットさせるためには名前の方で相当なユニーク性を出さなければいけません。

ヒットさせようと思うなら間違っても前述のような1文字のありふれた名前を当てるべきではないのです。
 

2020年2月1日土曜日

小説新人賞の応募者にぜひとも伝えたいこと


予選通過率10%の壁をどう突破するか

数ある小説新人賞の中のメジャーと呼ばれる「オール読物新人賞」「小説現代新人賞」「小説すばる新人賞」などを見てみると、第一次予選の通過率はだいたい10%前後のようです。

つまり通過するのは応募総数の1割程度でしかないということです。

これだと応募作品のうち9割もの作品が落選ということになり、一次予選の時点で葬り去られてしまうのです。小説新人賞はこれほど過酷な競争にさらされるほど厳しい世界なのです。


応募者の9割が1次予選で撃沈という厳しい現実を知れ

大事な点なのでもう一度繰り返しますが、メジャーと呼ばれる出版社の小説新人賞では第一関門の一次予選を通過するのは応募総数のわずか10%程度でしかなく、その大半を占める90%の作品は、この時点でシャットアウトされてしまうのです。

作家を目指し新人賞に応募する方々は、この厳しい現実をよく見据えた上で臨むことが必要です。

要はこの厳しさをじゅうぶん認識した上で覚悟を決めた姿勢が大事なのです。

でなければ、第一次予選落選時点で、早晩モチベーションを失って、応募戦線から脱落してしまうこと請け合いです。


応募作品は誰が審査するのか

ひょっとして、あなたは応募した作品の審査は最初から応募案内に載っている一流作家の審査員によ
ってなされる、と思ってはいないでしょうか。

つまり、自分の応募作品が作家の審査員に読まれる、と思っていることです。

でもそれは大間違いです。審査員である作家の先生方に読まれるのは最終予選の勝ち残った数編の最終候補作品だけです。

したがって、この段階までに落ちてしまった作品については、作家の先生方は全く目にすることはありません。

つまり最終審査までは作家の先生抜きに審査されるのです。

ではそれまではいったい誰が審査するのかというと、それは下読みさんと呼ばれる方々によってなされるのです。


下読みさんとは

下読みさんは主として編集者、文芸評論家、ライターなどで構成されますが、この他にも、まだ売れる作品の書けない無名の新人作家なども含まれていることがあります。

作品が売れず収入の少ないこうした人々がアルバイトとして参加するのです。
 
下読みさんは初めから終わりまで作品のすべてを読むわけではない

ではこうした下読みさんたちは、どのように応募作品を審査するのでしょうか。

これについて述べる前に、まず小説新人賞に応募される作品の数がどれくらいあるかを知っておく必要があります。

一言で小説新人賞と言ってもピンからキリまでいろいろあります。

今回テーマにしているのはあくまでメジャーと呼ばれる新人賞です。

上でも上げましたが、オール読物新人賞、小説現代新人賞、小説すばる新人賞は文藝春秋、講談社、集英社という我国を代表するメジャー出版社が主催するものです。

したがって小説新人賞の中で最も格式と人気が高く、それだけに応募数も多く、1回の応募に対して1000件以上あるのが普通です。

したがって応募数に関しては毎回1000~1500件ぐらいあると考えておくといいでしょう。

ということは下読みさんはこれだけ多くの作品に目を通さなければいけないことになります。

もちろん少なくても10~20名ぐらいはいると思いますが、仮に1000件の作品を15名の下読みさんが審査するとすれば、1人あたりの作品は70件弱程度になります。

1人で70件だけではピンときませんが、対象が小説と聞けば、その大変さがよく分かるはずです。

なぜなら、小説とは長いものが普通で文字数(ページ数)は大変な量に及びます。それを1編づつ、初めから終わりまで丁寧に読んでいくことが果たして可能でしょうか。

ズバリ、それは不可能です。では、どのように読んで審査していくのでしょうか。


下読みさんが読むのは、書き出しの部分、中程を少し、それに結末の部分

一人の下読みさんが70編にも及ぶ作品を審査するとすれば、長いものでは数百ページにも及ぶ作品を初めから終わりまで丁寧に読みこなすことは到底不可能です。

でもそれほど丁寧に読まなくても作品の善し悪しは分かるのです。

良い作品を書く作者はたいてい初めの部分に全力投球で臨んでいます。

つまりなんとしても初めの1~2ページで読者を引きつけようと、あの手この手でおもしろく仕立てようと仕組んでいるのです。

したがって下読みのプロと呼ばれる人たちはこの部分を読むだけで作品の善し悪しは分かるのです。

それに加えて、確認の意味で、中程少しと、結末の部分を読めば内容を判断するにはじゅうぶんなのです。


どんな尺度で作品の良し悪しが決められるのか

・書き出しで引き込まれるか
下読みさんが最も力を入れて読むのは作品の書き出しの部分です。最初の1~2ページ、多くて3~4ページ、この部分に読者を引き込む力があるかどうかを見るのです。

なぜなら多くの読者はこの部分をチェックして購入するかどうかを決めるからです。

つまり最初の1~2ページだけ見て、内容が良いか(おもしろいか)どうかを判断して購入か否かを決めるからです。

・オリジナリティはあるか
たとえおもしろいと思っても模倣ではいけません。大事なのはあくまでオリジナリティです。過去に何か似通った内容の作品はなかったかをよくチェックします。

・面白いかどうか
小説の大事なポイントはなんと言ってもおもしろさです。「おもしろくなくては小説ではない」と言い切る作家もいるくらいです。したがって、この点が最重要ポイントとして厳しくチェックされます。


誤字脱字はそれほど気にしなくても良い
原稿には誤字脱字がつきものです。大事な小説新人賞の応募となると応募者の多くの人は、この誤字脱字に大変気を使うでしょう。

つまり、せっかくの力作が誤字脱字が原因で落選したらたまらない。と思うからです。

もちろん誤字脱字はないに越したことはありません。しかし、これについてはそれほど神経を使わなくても構いません。通常のチェックをこなせばそれで十分です。

仮にいくつかの誤字脱字があったとしても、それが審査に決定的なマイナスを与えることはありません。誤字脱字より大事なことは小説としての内容の魅力です。


予選で落ちてもモチベーションを下げないためには発表前に次の応募作品を用意しておく

小説新人賞応募者にとって、せっかく書いた小説が、あえなく一次予選で落選してしまったらその落胆は小さくはないはずです。

なにしろ長い日数をかけて書きあげた大事な作品が一時審査だけであえなく葬り去られてしまうのは実に忍び難いことです。

落胆のあまり、もう新人賞には応募したくないと、すっかりモチベーションを失ってしまうかも知れません。

でもそれでは作家への道は開けません。一度の失敗ぐらいで諦めてしまっては何事も始まりません。

とはいえ、落選のショックでしばらくは新しい作品執筆の手が止まるかも知れません。

それを避けるためには、予選結果の発表前に次の作品を執筆しておくことです。

幸い、応募締切から発表までは、少なくても半年ぐらいはあるはずです。それだけあれば次の作品はじゅうぶん書けます。

落選しても何度でも挑戦するためにはこうした準備が大切なのです。

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