2018年11月9日金曜日

本当の教養を身につけるためにはどんな本を読めばいいのだろうか


本当の教養を身につけたい、こう思っている人は少なくないはずです。でも本当の教養とは何なんでしょうか。これは難しい問題で簡単に答えられる人は少ないでしょう。

とはいえ真の教養を身につけるためにはまずこの答えを知ることから始めなければいけません。

でも意味を求めるためにgoogleを検索しても始まりません。

自らが多くの書物に当たって探らなければならないのです。でもいったいどんな本を読めばいいのでしょうか。

教養脳を磨く30冊とは


少し古くなりますが作家であり書誌学者でもある林望氏と脳科学者の茂木健一郎氏が共著で「教養脳を磨く」(NTT出版)という本を出版しています。

この本はお二人の対談集なのですが、タイトルの通り、教養の磨き方についてを語ったものです。

両氏ともイギリス留学が長く、滞在中には現地で多くの学者や文化人などと接していますが、二人ともイギリス人の教養には脱帽しています。特に自国の文化と歴史に対する造詣の深さには舌を巻いています。

私たち日本人も負けてはいられません。何しろ日本はイギリスと同じ先進7か国のメンバーなのです。何とかして先進国の国民としての恥ずかしくないだけの教養を身につけたいものです。

そのためには必要なのは、まず手始めとして両氏が教養脳を磨くための本として挙げた次の30冊を読むことをおすすめします。


教養脳を磨く30冊リスト


(林望セレクション)

1
潁原退蔵 俳句評釈 角川文庫
2
折口信夫 古代研究 中公クラシックス
3
紀貫之等 古今和歌集 岩波文庫
4
島津忠夫 新版百人一首 角川ソフィア文庫
5
シュリーマン 古代への情熱 新潮文庫
6
杉田玄白 蘭学事始 岩波文庫
7
薄田泣菫 茶話 全3巻
8
田中冬二 田中冬二全集 筑摩書房
9
永井荷風 断腸亭日乗 岩波文庫
10
夏目漱石 私の個人主義 講談社学術文庫
11
萩原朔太郎 萩原朔太郎詩集 岩波文庫
12
林望 往来の物語 集英社新書
13
福澤諭吉 日本婦人論 日本男子論 (著作集第10巻)
14
森鴎外 渋江抽斎 岩波文庫
15
与謝蕪村 蕪村全句集 おうふう


(
茂木健一郎セレクション)

1
内田百間 阿房列車 全3巻 新潮文庫
2
小林秀雄 考えるヒント 新潮社
3
シュレーディンガー 生命とは何か 物理的にみた生細胞 岩波文庫
4
高木貞治 解析概論 岩波書店
5
チャールズ・ダーウィン 種の起源 岩波文庫
6
ディラック 量子力学 岩波書店
7
ドストエフスキー 罪と罰 新潮文庫
8
夏目漱石 三四郎 岩波文庫
9
ニーチェ 悲劇の誕生 新潮文庫
10
リチャード・P・ファインマン ご冗談でしょう、ファインマンさん 岩波現代文庫
11
福沢諭吉 新訂福翁自伝 岩波文庫
12
ロジャー・ペンローズ 皇帝の新しい心 コンピュータ・心・物理法則 みすず書房
13
ダグラス・R・ホフスタッター ゲーゲル・エッシャー・バッハ あるいは不思議の環 白楊社
14
マルクス 資本論 岩波文庫
15
クロード・レヴィ=ストロース 野生の思考 みすず書房




図書館や本屋へ行く前にまず青空文庫を当たってみよう


上に挙げられた本は名著ばかりですから図書館や書店に行けばその多くが見つかるはずです。

でもその前にネットの無料電子書籍「青空文庫」を当たってみることにしました。

するとどうでしょう。作者別の目次をざっと見渡しただけで次の8冊が収録されていることが分かりました。海外作家についてはまだ調べていませんが、皆さんも探してみてはいかがですか。


青空文庫収録作品

・薄田泣菫「茶話」
・永井荷風「断腸亭日乗」
・夏目漱石「私の個人主義」
・萩原朔太郎「萩原朔太郎詩集」
・福沢諭吉「日本婦人論、日本男子論」
・森鴎外「渋江抽斎」
・夏目漱石「三四郎」
・福沢諭吉「福翁自伝」


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「教養脳を磨く」: 著者紹介


林 望 (はやし のぞむ)
1949
年東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学客員教授、東京藝術大学助教授などを歴任。
専門は日本書誌学、国文学。エッセイ、小説のほか、歌曲の詩作、能楽、評論など、幅広い分野で活躍。1991年に『イギリスはおいしい』(平凡社)で日本エッセイスト・クラブ賞、1992年に『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』(ケンブリッジ大学出版)で国際交流奨励賞、1993年に『林望のイギリス観察辞典』(平凡社)で講談社エッセイ賞を受賞。
著書に『薩摩スチューデント、西へ』(光文社)、『東京坊ちゃん』(小学館文庫)、『日本語は死にかかっている』(NTT出版)などがある。


茂木 健一郎 (もぎ けんいちろう)
ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー、東京工業大学大学院連携教授。1962年東京都生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。
2005
年に『脳と仮想』(新潮社)で第四回小林秀雄賞を受賞。
著書に『脳のなかの文学』(文春文庫)、『心を生みだす脳のシステム』(NHKブックス)、『思考の補助線』 (ちくま新書) 、『トゥープゥートゥーのすむエリー星』(毎日新聞社)など多数あり。

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