2020年7月14日火曜日

芥川賞作家 綿矢りさが「紙の月」角田光代著を高校生の推薦図書にあげる理由がわからない


なぜ「紙の月」を高校生への推薦図書に選んだのか

角田光代の小説「紙の月」を読んていて、「なんと下手くそな小説だろう」とか、「矛盾した点が多

すぎるではないか」などと、不満めいた気持ちばかりが胸の内にもたげてきた。

しかし直木賞をはじめ、様々な文学賞を受賞している一流作家の作品なのに、なぜこれほどつまらないのだろうか。

しかもよく売れている人気作品だというのに。

など不満だけでなく疑問も次々湧いてくるのだ。


そもそも10年も前に出たこの新しくもない小説を読んでみようと思ったのはなぜなのか。

それははコロナ禍の真っ只中、2020年4月に出た雑誌・文藝春秋5月号に掲載された「小中高生のに全力で薦める極上12冊」という記事を読んだからだ。

その記事で「紙の月」が高校生への推薦図書として取り上げられているのだ。

記事のタイトルにある「全力で進める極上の12冊」に強いインパクトを感じて、「いったい高校生に対してどんなにスバラシイ本が紹介されているのだろう」と。大きな期待を抱いてその特集記事に臨んだのだ。

それにしても綿矢りさともある作家がなぜ「紙の月」を高校生に対する推薦図書に選んだのだろうか、その理由は?

女性作家2人が挙げた・いま学生へ読ませたい本とは

文藝春秋のこの特集記事は、コロナ禍で学校が長期休暇になり、家で過ごす時間に余裕ができた子どもたちに読書を奨励するために企画されたもので、辻村深月、綿矢りさの女性作家二人による対談形式で構成されている。

その二人のうちの綿矢りさが高校生に読ませたい本として推薦しているのが角田光代の「紙の月」なのだ。

紙の月は金融機関に務める女性の金銭横領がテーマになったエンタメ系の作品である。出た当時はそこそこ評判になり売上もよく、その後映画化された作品である。

でもこれと似たようなエンタメ小説はゴマンとあるし、その中でなぜこの作品が高校生の推薦図書になるのか疑問だ。


コロナ禍の憂鬱な気分を晴らす面白い?読み物をあげたのだろうが

下に記した二人が推薦する本のタイトルを眺めてみると、今回の「コロナ禍の憂鬱な気分を晴らす」ための目的を果たそうという意図は十分に伺える。それは本のタイトルだけみても、内容の面白さが期待できるからだ。

残念ながらこの12冊の中で、わたしが読んだことがあるのは「紙の月」以外では「池袋ウェストゲートパーク」だけで、他の作品については内容はわからないが、なんとなく「おもしろそう」とだけは感じる。

「池袋ウェストゲートパーク」はまずまず面白いと言って良い作品だが、「極上の12冊」と銘打って高校生に推薦するには少し無理があるのではないだろうか。

とはいえ「紙の月」に比べると、小説の質としてうんと優れているように感じる。



辻村深月、綿矢りさが小中高生に全力で薦める極上の12冊とは

《辻村深月が推薦する本》

(小学生向け)
・「ズッコケ3人組」シリーズ
     うわさのズッコケ株式会社「ズッコケ文化祭事件」那須正幹 ポプラ社
・角川マンガ科学シリーズ、どっちが強い!?シリーズ
  コブラVs ガラガラヘビ、カラスVsコウモリ(KADOKAWA
  
(中学生向け)
「涼宮ハルヒ」シリーズ
 「涼宮ハルヒの憂鬱」「涼宮ハルヒの暴走」谷川流(KADOKAWA
・「館」シリーズ
「十角館の殺人」「迷路館の殺人」綾辻行人(講談社)

(高校生向け)
・「WGP》シリーズ
 「池袋ウェストゲートパーク」「少年計数機」石田衣良(文藝春秋)
・「百鬼夜行」シリーズ
  「姑獲島の夏」「鉄鼠の檻」京極夏彦(講談社)


《綿矢りさが推薦する本》

(小学生向け)
・「大きな森の小さな家」L.インガルス・ワイルダー 福音館書店
・「広島の姉妹」山本真理子(岩崎書店)絶版

(中学生向け) 
・「民話と伝説 呪いの巻物」シリーズ
「日本のゆうれい話」(偕成社)絶版
・「カステラ、カステラ」明坂英二、斎藤芽生(福音館書店)

(高校生向け)
・「紙の月」角田光代(角川春樹事務所)
・「蝿の王」ウィリアム・ゴールディング(早川書房)

出典:文藝春秋20205月号


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