2020年2月18日火曜日

この本が超ユニークだ!作家とお金にまつわる話が100題も・「お金本」左右社


昔の作家はお金に苦労した
良い作品が生まれたのはお金がなかったから?

人間、お金が嫌いな人は少ない。生きていくにはお金が切り離せないからだ。ということはこれがないと大変なことになる。

とすればなんとしても手に入れなければならない。ここにドラマが始まるのだが、このドラマは実に悲喜こもごも。

お金に苦労した昔の作家にはこのドラマがつきものだった。だから次々良い作品が生まれたのだろうか?

豪華な執筆陣と魅力あふれるコンテンツに注目!

(主な著者)渋沢栄一、夏目漱石、国木田独歩、泉鏡花、内田百閒、武者小路実篤、夢野久作、芥川龍之介、江戸川乱歩、宇野千代、坂口安吾、太宰治、田辺聖子、つげ義春、村上春樹、角田光代、村田沙耶香ほか

窗体底端
図書館では予約者続出の人気本になっている
良い本ですからできたら購入したいのですが、ネックになるのは2500円(税込)という価格です。せめて普通の本並みの1000~1500円程度なら手が出しやすいのですが。
というわけで今回は購入を諦めて図書館に頼ることにしました。
さっそく図書館行となったのですが、なんとびっくり、この本、人気がありすぎて予約する人が多く、すぐには借りる事ができないのです。
私の前に予約した人が4名もあり、借りられるのは1ヶ月先と言うではないですか。こんなことは過去に経験ありません。「お金本」とはそれほど人気がある本なのです。


「きっと、きっとお返しできます」と言ってなんとか借りたお金だが

友人に借金し、借りた金で酒を呑み、親の脛を囓り、執筆以外の金儲けを考える。現実と理想の間でもがきながら、今日を力強く生きるのだ。貯金は底をついても才能は枯渇しない。


❖ 目次
渋沢栄一 効力の有無はその人にあり
はじめに

Ⅰ章 俺たちに金はない!
永井荷風 文士の生活
夏目漱石 文士の生活
内田百閒 貧凍の記
萩原朔太郎 手紙 昭和四年
泉鏡花 処女作談(一)
北原白秋 手紙 大正十四年
国木田独歩 日記 明治三十年
金子光晴 どくろ杯
横光利一 書簡 昭和五年
正岡子規 手紙 明治三十年
種田山頭火 日記 昭和十四年/十五年
小川未明 童話を作つて五十年
辻潤 催眠剤が必要だ/絶筆となった原稿
武者小路実篤 気まぐれ日記
室生犀星 日記 昭和二十三年
芥川龍之介 知己料
三好達治 貧生涯
草野心平 放浪時代
堀辰雄 はがき 大正十四年
高見順 日記 昭和二十一年
森茉莉 事実と空想の周辺
石ノ森章太郎 ぼくの部屋にはベートーベンのデス・マスクがあった
橋本治 男の仕事=作家の巻
有栖川有栖 私の駆け出し時代

Ⅱ章 お金 vs プライド
太宰治 もの思ふ葦(その四)
二葉亭四迷 予が半生の懺悔
夢野久作 古き日記より
加藤謙一 直木三十五
直木三十五 書け、書け、書く
吉川英治 書簡 昭和三十三年
稲垣足穂 わが庵は都のたつみ−
やなせたかし 金がもうかる正しい原則
忌野清志郎 歌われていないことは山ほどある
羽仁説子・進 朝日新聞 身上相談

Ⅲ章 マネー、マネー、マネー
川端康成 私の生活
小泉節子 思い出の記
田山花袋 東京の三十年
内田百閒 質屋の暖簾
直木三十五 金儲けの秘伝
井伏鱒二 “本日休筆”にならぬよう
山村暮鳥 書簡 大正十二年
加藤謙一 尾崎士郎
柴田錬三郎 戦後十年
平林たい子 大晦日の夜逃げ
南伸坊 ケタ違いな話
つげ義春 散歩の日々
小松左京 威風堂々うかれ昭和史 戦後篇
赤瀬川原平 一円玉のパワーを調べる
村田沙耶香 算数苦手人間
山田詠美 まだ来ぬ春にソウルフル
町田康 死闘三日 下積みのチンジャオ
穂村弘 金額換算

Ⅳ章 出版社お金物語
野間清治 調査研究
下中弥三郎 平凡社の創立四十周年にあたり思い出を語る
佐藤義亮 出版おもいで話
石川武美 戦場雑話
菊池寛 文藝春秋・編集後記
立原正秋 《早稲田文学》編集後記
北杜夫 どくとるマンボウ青春記

Ⅴ章 借金の作法
石川啄木 ローマ字日記
金田一京助 啄木余響
吉屋信子 上海から帰らぬ人〈田村俊子と私〉
宇野千代 私の文学的回想記
壺井栄 お金のねうち
森敦 酒との出逢い
太宰治 手紙 昭和十一年
山田風太郎 日記 昭和二十六年
幸田文 一日一題
野間清治 借りたものは返す
坂口安吾 手紙 昭和十一年

Ⅵ章 男と女と金
谷崎潤一郎 佐藤春夫に与えて過去半生を語る書
芥川龍之介 書簡 大正五年
江戸川乱歩 妻のこと
小林多喜二 書簡 大正十四年
織田作之助 日記 昭和十三年
遠藤周作 人情物語る家計簿
池波正太郎 チップ
有吉佐和子 作家として、妻として、私の立場から
赤塚不二夫 今をハチャメチャに生きるのだ

Ⅶ章 金と共に去りぬ
正宗白鳥 我老いたり
種田山頭火 白い路
葛西善蔵 愚痴とクダと嫌味
宇野千代 わたしの青春物語
白洲正子 自己に忠実であること
鶴見俊輔 苔のある日記
吉行淳之介 金の使い方に関する発想法
野坂昭如 野ダイコ風の流行
石原慎太郎 貧乏の魅力
佐野洋子 死ぬ気まんまん
魔夜峰央 本日も異常ナシ vol.8
北野武 関係の問題
村上春樹 貧乏はどこに行ったのか?
角田光代 一日(1995年の、たとえば11月9日)5964円

お金Q&A
1井伏鱒二
2中島らも
3山田風太郎
4山本周五郎
5石川淳
6田辺聖子

巻末付録

芥川賞・直木賞 賞金
「中央公論」価格表
文壇人所得番付表
当代文士一ケ月製産番付

著者紹介・出典
草野心平 火の車の歌
· 
· 装幀:鈴木千佳子
· 定価:本体2300円+税
· 46判並製/336ページ
· 2019年10月30日 第一刷発行
· 978-4-86528-251-1 C0095

記事・書評



2020年2月13日木曜日

「させていただきます」が口癖になっている人は危うい


☓ ランチにはうどんを食べさせていただきました
☓ 散歩中に公園のベンチに座らせていただきました
☓ 仕事帰りに居酒屋に行かせていただきました


「させていただきます」をよく使うのはどんな人たち?

テレビを見ていていやに思うのは出演者の言葉遣いに違和感を感じるときです。

出演者と言っても言葉の教育をよく受けているアナウンサーにはあまりないのですが、多いのはバラエティ番組の出演者です。

彼らがよく発する「~させていただく」という表現がとても嫌いなのです。

普通に能動態で「~します」と言えばいいのに、何かにつけて受け身(受動態)の形の「させていただく」を使うのです。


「させていただく」が口癖になっている人とは

テレビのバラエティ番組の出演者には「させていただく」が口癖になっている人が少なくないようです。

そうした人たちの心の内を考えてみると、だいたい以下のように分類できるのではないでしょうか。


・自信のない人
物事に自信がない人は言葉にもそれが出てしまいます。物事に対してきっぱり「~します」と言い切る自信がないので、つい受身形の「させていただく」になってしまうのです。
こう言っておけば自分の意志だけでなく、他の力が働いて行動したようにも取れ、責任逃れができると思うのです。
こうした人が「させていただく」を使い続けると、いつまでたっても自信はつきません。

・人におもねる人
おもねる(阿る)とは、機嫌をとってその人の気に入るようにする、へつらう、追従(ついしょう)する、などのことをいいます。どれも良いこととは言えません。
「させていただく」という表現にはその姿が丸見えなのです。人に対してこうおもねっておけば、自分に良い結果を招く、と考えているのです。
こうした人の姿は傍で見る心ある第三者にはとても醜く映るものです。

・下心のある人
おもねるを別の言葉で言えば「下心」です。下心は言葉の裏にある「良からぬ考え」のことです。
「させていただく」という言葉にはこの下心が感じられて仕方がありません。

・国語力が弱い人
上でアナウンサーは「させていただく」を使わない、と書きました。言葉のプロであるアナウンサーは言葉についてよく教育を受けており、正しい言葉遣いを知っているからです。
とすれば「させていただく」をよく使う人は、言葉の教育が足りない国語力の弱い人と言えるかも知れません。


「させていただく」という言葉を蔓延させたのはいったい誰だ

これはもう言うまでもありません。「させていただく」という言葉を今のように広めたのは、バラエティ番組を主としたテレビ出演者です。

バラエティ番組は今や人々に飽きられてしまっていますが、正しい言葉遣いを取り戻す意味からも、早くなくなってくれればと願っています。


「させていただく」は芸能人の営業用の言葉?なのか

実はかねてより、「させていただく」はバラエティ番組など、テレビによく出演する芸能人の営業用の言葉だと思っています。

つまり「させていただきます」と言っておけば、角が立たず謙虚に聞こえ、営業に役立つと考えているのです。要は次々と仕事を貰いたいがために、こう言っているのです。

したがって正しい言葉遣いなどは考えもせず、ひたすら営業用トークの便利な言葉として使っているだけなのです。


アナウンサーは「させていただく」は使わない

同じテレビ出演者とはいえ、アナウンサーに限っては「させていただく」を使う人を見たことがありません。

さすが言語のプロだけあって正しい言葉遣いの教育をよく受けているからに違いありません。

バラエティ番組を筆頭に最近のテレビ番組には失望を感じることが多いのですが、そんな中にあってアナウンサーの正しい言葉遣いは唯一の慰めです。

2020年2月10日月曜日

転職エージェントの宣伝に煽られてはいないか


Benson氏の言葉に考えさせられた

同じ職場に長くいるのは無能なのか?

若かりし頃ホテルマンとして都市ホテルのフロントで働いていました。外国人客の多いホテルで、中には顔なじみになった客もいました。

そんな客の一人にMr.Benson(ベンソン)という人がいました。職業はバイヤーでNYのブルックリン出身の人です。

年に何度か訪れてきて毎回1週間ほど滞在するのですが、ある時彼がやってくるやいなやフロントに立っている私に向かって突然「Are you still here?」というではありませんか。

Are you still here? つまり「まだここにいるの?」という意味です。深読みすれば、まだこんな職場に勤めているの?とも取れ、少なからず蔑みや軽蔑がにおいます。

私は彼のこの言葉に深く考えさせられました。アメリカ人の彼から見れば、特に条件が良いとも言えない職場に長い間とどまることは、軽蔑の対象なのだろうか。まるで「有能な人はどんどん転職するよ」と言っているように聞こえたからです。

つまり長い間同じ職場にとどまるの無能の証に思えたのです。


終身雇用崩壊といわれる今の現実の姿は

かつて日本では終身雇用が美徳とされていました。辛抱して長い間同じ職場で務めてこそ、地位や収入が上がり安定した生活を送ることが出来る、と考えられていたのです。

しかしそれが一転して、今では「終身雇用崩壊」とまで言われるようになりました。

終身雇用崩壊を裏返せば「転職時代到来」とも言えます。それをよく表すのが最近の若者の離職率です。


最近の厚生労働省発行の「新規大卒就職者の事業所規模別離職状況」によりますと

1年目~3年目まで新卒社員のうち1年目に辞める割合は、大卒の場合で10%前後です。 

その後少しずつ下がっていきますが、1~3年目の合計離職率は30%を超えています。


転職ブームに踊らせていないか・大量の宣伝で転職を煽るエージェント

いまテレビでもネットでも、見ない日はないというくらい転職に関する大量の宣伝広告が流されています。

こうした広告で特に目を引くのは高額な報酬です。

その金額を見てみると、これがはたして日本の賃金?と、目を疑うような高賃金が並んでいます。


転職エージェントは信頼できるのか

日本人は宣伝や広告に弱いとよく言われます。つまり、新聞やテレビで宣伝されたものは、何であれ「良いもの」と思ってしまう傾向があるということを言っているのです。

このところの転職ブームに乗ってか、ネットを中心にやたらに広告宣伝の多いのが転職エージェントです。

これは転職者にとっては一面うれしい点ではあるのですが、はたして看板に偽りのない信頼できるものなのでしょうか。

はっきり言って転職業界も他の業界と同じように玉石混交です。ネットにはこれに関する情報が山ほど出ています。これらをよく精査して間違っても玉石混交の「石」に該当する業者に引っかからないことです。


26%もの人が転職に失敗という厳しい現実

終身雇用が終わったと言われている今の時代、転職は決して悪いことではありません。

とはいえ、それは無事成功裏に終わったら言えることです。

しかし現実はそうもうまくも行かないのです。

転職サイトの大手「転職会議」の調査によりますと、全転職者のうち26%の人が「失敗した」あるいは「どちらかといえば失敗した」と答えています。

これで分かる通り、転職は決して順調にいくことばかりでなく、実に4分の1もの人が失敗に終わっているのです。

この現実にしっかり目を据えて、間違っても軽はずみに転職に走らないことです。

2020年2月6日木曜日

名作を読み直してみた(4) ・ 「雁」 森鴎外


明治の文豪 森鴎外の代表作の一つである。

明治時代の作家としては鴎外より10年ぐらい後に出て、自然主義を標榜した島崎藤村や田山花袋などに比べると作風はかなり異なる。

この作品も途中までは叙情的な文章で、お玉、末造、岡田などの登場人物が魅力的に描かれているが

一転して最後の方になって唐突に「サバの味噌煮」の夕食、「池の雁を殺して」食べるなどという脈略の乏しい場面が出現し読者を惑わしたりする。

もしかして鴎外はこの作品で一種の実験(小説)を試みたのであろうか。


あらすじ
誰からも美貌を認められたお玉だが、高利貸という職業がら世間から疎んじられる末造の妾になってしまう。
そんな自分の身を卑下しながら、いつも散歩で家の前を通る大学生岡田に密かに思いを寄せる。
ある日、末造が出張で遠出するのを幸いに、岡田に逢って切ない心の内を打ち明ける決意を固める。
ところが、その日岡田は一人ではなく、この小説の語り手である僕と一緒に散歩に出たため、お玉は話しかけることができなかった。
そもそも岡田が語り手と二人で散歩に出るはめになったのは、語り手の夕食に出たサバの味噌煮が原因である。
語り手はサバの味噌煮が苦手で、それに手を付けることなく、隣部屋にいた岡田を外出に誘ったのである。
その外出で池の傍にやってきて、池で遊ぶ雁に石を投げつけて殺してしまう。それを下宿に持って帰り料理して食べる。
一方、お玉に逢っても話も出来なかった岡田は、まもなく留学でドイツに旅立つ決心を固めている。
けっきょく岡田とお玉は親密な会話を交わすことことなく終わってしまう。
語り手の夕食に出てきた味噌煮がきっかけで岡田とお玉が別離し、おまけに雁を殺して食べるという奇妙な結末で終わっている。


映像作品


映画

1953年版 - 監督:豊田四郎、脚本:成沢昌茂、音楽:團伊玖磨、出演:高峰秀子(お玉役)、芥川比呂志(岡田役)、宇野重吉(木村役)、東野英治郎(末造役)、浦辺粂子(お常役)、飯田蝶子(おさん役)、小田切みき(女中・お梅役)、三宅邦子(お貞役)、田中栄三(お玉の父・善吉役)

· 1966年版 - 監督:池広一夫、脚本:成沢昌茂、出演:若尾文子、山本学、姿美千子、小沢栄太郎、山岡久乃、水戸光子、井川比佐志

テレビドラマ

· 1959年版
KR(現・TBS)系、脚本:小幡欣治、出演:森光子、山内明、御橋公、小田切みき。『サンヨーテレビ劇場』(三洋電機一社提供)で放送。
NET(現・テレビ朝日)系、出演:岩井半四郎、八波むと志、藤乃高子、小桜京子。『岩井半四郎ショー』で放送。
· 1962年版 - NHK、脚本:尾崎甫、出演:小林千登勢、大町文夫、巌金四郎、石濱朗、菅井きん
· 1963年版 - MBS系、出演:不明。『南海水曜劇場』(南海電鉄一社提供)で放送。
· 1974年版 - NET系、監督:河野寿一、脚本:成沢昌茂、出演:十朱幸代、岡田裕介、桑山正一、浜村純。水曜21:00時代劇『女・その愛のシリーズ』で放送。
· 1993年版 - テレビ東京系、脚本:金子成人、演出:久世光彦、出演:田中裕子、長谷川和彦、石橋保、吉行和子、中野英雄、木田三千雄、櫻井淳子、でんでん、柴田理恵、ナレーション:加藤治子。月曜21:00ドラマ『日本名作ドラマ』(第1期)で放送(第1作目)。
※第31回ギャラクシー賞奨励賞受賞
· 1994年版 - フジテレビ系、演出:片岡K、出演:桜金造、井出薫、袴田吉彦

映画・映像の項 :出典・ウィキペディア