2020年4月1日水曜日

小説新人賞応募者にぜひとも伝えたいこと(3)


まずは第一次予選「1割の壁」を突破したい

メジャーと呼ばれる小説新人賞(オール読物新人賞、小説現代新人賞、小説すばる新人賞)などの審査は予備審査と本審査に分かれているのが一般的です。

こうした審査では予備審査には下読みさんと呼ばれる審査員、本審査には審査員として選ばれた作家の方々が当たります。

予備審査には第一次、第二次、本審査は最終候補作品の選出、最終候補作品から受賞作決定の2段階よりなります。

これで分かる通り、大事なのはまず予選である第一次予選を通過することです。でなければその後の道は開けません。

ひとことで第一次予選通と言っても、それは決して容易なことではありません。なぜならこれを通過するのは応募作品の1割程度でしかないからです。

つまり、応募作品が1000件だとすると、通過するのはわずか100件程度でしかないのです。

メジャーの小説新人賞は第一次審査からしてこれほど厳しいのです。でもこの厳しい関門を通過しなければ小説家への道は開かれないのです。

ではどうすればこの最初の関門を通過することができるのでしょうか。


書き出しで惹きつけらるかどうかが審査の評価を決する

前回のこのシリース(その2)でも書きましたが、小説新人賞の応募作品は予選の段階ではすべて下読みさんと呼ばれる審査員によって優劣が評価されます。では下読みさんはどのようにして作品を審査していくのでしょうか。

メジャーと呼ばれる小説新人賞の応募作品は、大抵は1000~1500件ぐらいに及びます。

一言で1000~1500件と言っても、それが小説となれば大変な量に及びます。なぜなら小説とは長いのが普通ですから、仮に応募作品の平均の量を400字原稿用紙100枚程度としても、応募数が1000件なら、トータルではその量は10万枚に達するのです。

審査員はこの膨大な量の原稿を審査しなければならないのです。はたしてこれだけの量を1件1件をはじめから終わりまで読んで行くことは可能でしょうか。

いや、それは不可能です。仮に15~20人程度の下読みさんがいるとしても、応募作品が1000件なら一人あたり50~70件にもなるのです。

これだけの量の原稿を初めから終わりまで読み通すのは到底不可能です。では審査員はどのように審査をしていくのでしょうか。


書き出しが良く(おもしろく)なければ一次予選も通過しない

上で書いたように小説新人賞の審査員は応募されたすべての作品に目を通さなければなりません。とはいえ、1000件にも達する大量の作品をはじめから終わりまで読むことは到底不可能です。

ではどうするかといえば、はじめの部分と、中程、それに結末の部分だけに読むのです。

こう聞けば、それで良し悪しが判断できるのか、と疑問に思う向きもあるかも知れませんが、心配には及びません。この方法で審査しても、優れた作品を見落とすことはまずないのです。

その理由は優れた作品の書き手は、書き出しに最も注意を払い、中程のストーリーの展開にも留意し、終わりの方のクライマックを持ってきて締めくくるからです。それ故に三ヶ所を重点的に読むだけで、優秀作品の見落としはないのです。

このことは読者の書店での購入作品選びを見てもよく分かるはずです。大抵の読者は、購入する本を決めるときは、まずタイトルを見て、カバーや表紙のの宣伝文を見て、次は最初の1~2ページを読んでみます。

この一連の行動で、その作品が引きつける力(面白み)があるかどうか見分けて購入の有無を決めるのです。下読みさんが審査でやることは、こうした読者の行動を反映したものなのです。


最初の1~2ページで「おもしろそう」と思わせなければ予選で落ちる

小説新人賞の予選通過率は1割程度と上で書きましたが、1000編に及ぶ多くの応募作品のうち、わずか100編程度しか予選を通過しないということは、9割の作品は新人賞通過の基準を満たしてないことになります。

つまり最初の1~3ページで読み手を引きつける力がなく、中程のストリーの展開も上手くなく、最後のクライマックスの盛り上がりにも欠けるというような作品なのです。

9割が予選で落選するということは、こうした作品が9割もあるということになります。

これで分かるように最初の部分で読者をひきつけ、中程でストーリーの展開を充実させ、最後のクライマックスで盛り上げる、というのは簡単にできることではないのです。

これが小説の難しい点なのです。でもそう言って書くことを諦めたら小説家へ道は断絶してしまいます。

なんとしても書き出しを読者を引きつけるおもしろい内容にすることに精魂を傾け、是が非でも第一次予選に合格する強い決意を固めなければなりません。

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