2023年6月19日月曜日

年金生活Webライターの告白 ネットで稼ぐのは楽ではない シリーズ(1)~(4) (その4)最終回

 


Webライター5年でどんな記事を書いてきたのか

依頼を受ける記事のテーマは、できることなら自分の経験の深い、いわば専門分野のものが歓迎できるのですが

そればっかり目指していると市場が限定されるため対象ターゲットが狭くなりますから発注を受けるチャンスはうんと少なくなります。

したがってより多くの注文注文を受けようと思うなら、分野は限定せず、未知のジャンルも含めて、ターゲットはできるだけ幅広く設定するのが望ましいのではないでしょうか。

未知の分野といってもネット検索や書籍資料を駆使すれば記事の執筆は何とかなりますから。


「ホテル」に関する記事がもっとも多かった訳は
専門分野は作業効率が良くて時間短縮ができるから

とはいえ、作業効率の面から言えば専門分野の記事に限ります。

専門分野だと記事に必要な知識はすでに頭の中に入っていますからネット検索やその他の資料に頼る必要がなくなり執筆に専念できるため、それが大きく時間短縮につながるのです。

そうしたこともあって、執筆時間量が少ない割には記事量は多く、結果的には扱った案件の中では、専門分野のホテル関連記事が最も量が多かったようです。

理由はいうまでもなく、ホテルマンとしてのキャリアが20年以上あったからです。


ホテルの次に多いのが消費者金融

ホテルの次に2番目に多かったテーマは消費者金融です。こういえば「あれっ、消費者金融でも働いた経験があるの?」と誰かに聞かれそうですが、そういうことはありません。

ではなぜ記事が多く書けたのでしょうか。ずばり、それはこの業界に関わったことが多かったからです。どういうふうに関わったかというと、言わずと知れた利用者(客)としてなのです。

20~30歳代前半のころは務めていたホテルの給料が安かったこともあってお金に苦労することが多く、このころ初めて世に出現して急成長を見せた「サラ金」(当時はサラリーマン金融と呼ばれていた)が非常に便利の思えました。

それゆえ、よく利用するようになり、それまで金策で利用が多かった「「質屋」」から鞍替えして、度々利用するようになったのです。

最も利用が多かった業者は「マルイト」というところですが、ここは後に大企業に急成長した「アコム」の前身です。

でもマルイトだけではありません。次いで出てきた「プロミス」や「アイフル」なども併せて利用していたのです。

これほどいろいろな業者を業者を利用してきて消費者金融の事情に詳しくないといえばウソになるでしょう。



 意外だが、住宅に関する記事も多かった

意外だったのは、どちらかといえば未知の分野と言っていい「住宅」に関する記事がホテル、消費者金融に続いて3番目に多かったことです。

住宅はホテルや消費者金融のように、働いた経験とか客として深く関わったこともありません。したがって専門知識など皆無といってもいいはずなのに、なぜ3番目に多い量の記事が書けたのでしょうか。

その理由は記事報酬の額にあります。執筆料金がそれまで受けた他のどの分野よりうんと高かったのです。

このシリーズ(その1)で記事の平均報酬は1文字0.8円と書きましたが、最初に注文を受けたある建築業者は、なんとその2倍以上の1文字2円の料金で記事を発注してくれたのです。

これにすっかり気をよくして執筆に精を出したことが、多数の記事を書く結果につながったのです。

その執筆に際しては、ネット情報だけに頼らず、書籍を中心とした多くの資料を取り寄せて、必死に取り組んだのは言うまでもありません。


DeNa問題がWebライターの存在を危うくした

インターネットの普及とともに順調に成長を続けたWebライティング業界ですが、成長のピークを迎えたころになって、思いがけないところでほころびが見えてきました。

ピーク時に盛んになっていた「まとめ記事」というジャンルで落とし穴が待っていたのです。

まとめ記事というのは人々の検索が多い様々な分野の便利情報を利用しやすくまとめたお役立ちサイトのことです。

インターネットでの人々の膨大な数の検索に応えるべく記事の数もまた膨大ですから、これを調達するためには執筆してくれる大量のWebライターが必要でした。

ここに目を付けたのがDeNaで、いきなり業界に参入してくるや否や、多くのライターを雇い入れ記事の大量発注を始めたのです。


「DeNaまとめ記事サイト」は大きな社会問題になった

しかしことを急ぎすぎたため大きなミスを犯してしまったのです。それはライターをせかしたり、あおったりして短期間に大量の記事を要求しすぎたためクオリティが追いつかず、そのため品質の低い粗雑な記事が大量に出てきたのです。

粗雑な記事とはライティング技術が低いのはもちろん、それ以上に問題視されたのは他のサイトからの盗用、つまりコピペ記事が大量に発覚したのです。なにしろこれを大企業のDeNaがやったのですから問題にならないわけがありません。

「DeNaのまとめサイト問題」として、新聞に大きく取り上げられ、当時の一大社会問題になったのです。



Webライター5年間で稼げた金額はやっと200万円

5年間にわたって15以上のいろいろなジャンルで20あまりのサイトに載せる様々な記事を書き続けて、その結果いったいどれくらいの額の報酬が獲得できたのでしょうか。

Webライターを始めた当初の目標は月額報酬5万円でした。それで計算すると、年60万円ですから、5年で300万円になるはずでした。

しかし何事も目標通りには進まないのが世の常です。私の目標もその例にもれず、達成には至らず、目標より100万円強も少ない200万円弱に終わったのです。

これだと月になおせば、5万円にははるか及ばない3万5千円程度程度でしかありません。

年金生活者としてのWebライターの世界はなかなか厳しいものでした。


(終わり)




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