2018年10月19日金曜日

村上春樹氏が語る・「小説を書くのは簡単?な作業」


下に掲げた記事で、村上春樹氏は小説執筆について「登場人物が勝手に動いてくれるので、それを静かに見つめるだけだ」と語っています。ということはそれを文章にまとめるだけでいいことになり、聞きようによっては小説づくりはたいして難しい作業でないようにも感じます。でも小説とはそれほど簡単に書けるものなのでしょうか。

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小説を書くのはそれほど難しい作業ではない


村上春樹さんは6日、長編小説「騎士団長殺し」の英語版がアメリカで発売されるのを前に、ニューヨークで企画されたイベントに登場しました。
編集者の質問に答える形で英語で語った村上さんは「年齢を重ね、小説家であるとともに紳士であろうとしているが、トランプであると同時にオバマであるかのように難しい。

大事なのは、払った税金の額や過去のガールフレンドについて語らないこと、そしてノーベル文学賞について考えないことだ」などと、トランプ大統領を念頭にユーモラスな語りを披露し、会場の笑いを誘っていました。
また創作活動について聞かれると「登場人物はゼロから創作しており

登場人物がひとりでに動き始め、その様子を見つめるだけだ」

と述べたうえで「小説に集中すると、現実か非現実かわからないどこかに行ってしまい、深い地下、無意識の部分に入る。そして、また現実に戻ってくる」などと話しました。

村上さんは会場からの質問も受け、「怒ることはあるのか」と聞かれたのに対し、「不公平なことやハラスメントなどには怒りを感じます。しかし、小説を書くときには怒らないようにします」と応じていました。
村上さんが公の場で語ることは珍しく、訪れたおよそ500人のファンらが聞き入っていました。


出典・NHK NEWSWEB 201810月7日


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小説を書いていると、登場人物が勝手に動く、というのは本当なのか


小説など書いたことのない一般の人には想像もつかないことでしょうが、村上春樹氏に限らず、主人公が勝手に動きだす、というのは多くの小説家が語っていることです。

小説を書く上で最も大切なことはプロット(あらすじ)の設定です。これが上手くいってこそ良い小説を書くことができるのです。

良い小説とは読者が読んで興味をひく面白い小説です。この面白い小説を書くためにプロットの設定が大切なのです。

とは言え長編小説ともなれば、この設定は簡単なことではありません。これを考え出すのには長い時間が必要になり、下手をすると小説の執筆時間の大半を占めることになるかもしれません。

ということは、プロットの設定さえうまくいけば、それに沿って書けばいいのですから、後はスラスラ楽に運ぶことができるかもしれません。


小説は必ずしも決められたプロット通りには運ばない


これも多くの小説家が語っていることですが、実際に小説を書き進めていくと、あらかじめ決めていたプロットとは異なる展開になることが珍しくないのです。

でもいったいなぜそうしたことが起こるのでしょうか。ズバリ、これは登場人物が勝手に動き出すからなのです。

例えば探偵小説としましょう。ある日、主人公はプロットに沿って犯人の足跡を追います。プロットでは函館、札幌、旭川へ足を運ぶことになっています。ところが主人公はその通りの行動をせずに、急に思いついて函館から一気に根室へ飛んでしまうのです。

うなると、札幌や旭川がと回しになるだけでなく、筋書き自体が変わってくるのです。でもこれは悪いことばかりではありません。

長編小説の場合だと著者は文字数稼ぎに苦労しますが、主人公が勝手に動いてくれると、それだけ字数が増えページ数が稼げるからです。

それに村上春樹氏が言うように、主人公の行動をそのまま文章にすればいいのですから、執筆がそれだけ楽になるのです。






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