2012年8月13日月曜日

うまい訳、下手な訳 ・ 翻訳のいろいろ


翻訳名人、宮脇孝雄が書いた本

図書館で偶然目にしてこの本を手にしたとき、ずいぶん懐かしい思いがした。


というのも、一時期、かなり長い期間に渡って、英字紙「Japan Times」の姉妹版である「Student Times」というタブロイド版の日英対訳紙を購読していたのだが、それに翻訳についての連載コラムを執筆していたのがこの方である。


さて私たちは日ごろ翻訳小説を読んでいる。なにげなく読むそうした翻訳物であるが、訳者によって内容は大きく変わるということにお気づきであろうか。

つまりその訳によって面白くもなり、つまらなくもなるということである。


最近のことだが、私自身それを強く感じることがあった。


ある週刊誌の記事に1冊の本が紹介してあった。少し古い海外の小説である。

紹介文が魅力的ですぐにでも読みたくなった。翌日本屋でその本を見つけて早速購入した。文庫本なのに分厚いせいか値段は840円もした。


家に戻るや否や、期待いっぱいで読み始めた。ところが最初の部分も含めて、いくらページを繰っていっても、内容が理解できず引き込まれることがないのである。

はっきり言って、お世辞にも上手な文章とは言えず、脈略も乏しく、読み手を惹きつける要素が少ないのである。4分の1ぐらいのところで、ついに読み続けることを断念した。


要するに訳が下手なのである。どういう訳し方をしたのかは不明だが、文章技術が未熟なのである。そのとき私は翻訳の大切さということを嫌というほど気づかされた。


少し前置きが長くなったが、そこで登場するのが宮脇孝雄氏である。この方の翻訳の上手さはまさに舌を巻くほどのもので、知らないうちに読み手を虜にしてしまうほどである。


どれくらい上手いのか、この本の一ページをご覧いただきたい。



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